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リビルド・スターシップ! ~SFゲームの世界に転生したゲーマー男は、初期化されてしまった愛機の理想の姿を取り戻したい~  作者: 矢代大介


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18/18

第18話 再びの邂逅

作者よりお知らせ…

昨日投稿させて頂いた第17話ですが、作者の不手際により今回の18話と取り違えて更新されていたため、今朝方本来の内容へと差し替えを行わせていただきました。

読者の皆様へ混乱を招いたことと、先の展開をネタバレするという痛恨のミスを引き起こしてしまったことを深くお詫びいたします……。


《オイオイどうしたぁ? わざわざ自分から動きにくくなるほうへ突っ込むとはご苦労なこったなぁ!》


 通信越しにこちらを煽り立ててくる宙族の頭目を無視して、俺とリベルタはひたすら小惑星帯の中を駆け抜ける。

 向かう先は当然、先ほど届いたメッセージの座標。それを信じる根拠は、メッセージの末尾に記されていた、「彼女」の名前だ。


 確かにあの子――ウィスタなら、珍しいこの船に俺が乗っていることも認知しているし、助け舟を出そうとする気質にも納得がいく。なんともありがたい偶然だった。


「シールドは……まだ保つ。着いてこいよ!」


 小惑星の隙間を縫うように飛びながら、牽制にレーザーをばら撒き、宙族の小型艇たちを挑発する。

 狙いもへったくれもない射撃はさしたる脅威にこそならないが、相手に彼我の優劣を勘違いさせるには充分な行動だったらしい。小型艇の攻勢はとどまるところを知らず、レーザーの斉射を受けるたび、リベルタのシールドは青白いスパークを上げて明滅していた。


《何を企んでいるのか知らねぇが……どのみちお前はもう逃げられねぇぞ! その憎たらしいどてっ腹に風穴空けてやるぜ!!》


 驕り高ぶったような頭目の声と共に放たれる、スキュラの高火力砲を用いたロングレンジ砲撃。

 普段ならなんということのない攻撃なのだが、回避すれば惑星に船体を擦り付けてしまうような位置へ来た時点でぶっ放して来ている。族の頭を張るだけあるというべきか、実に正確でいやらしい狙い方だった。


「ちっ!!」


 最小限のバレルロールでギリギリかわすが、掠めた高出力弾はシールドを着実に削り取る。小型艇の波状攻撃に晒され続けているせいで、自動回復機能もロクに働かない。


 だが――愚直に前進を続けていたおかげで、リベルタはウィスタから送られて来た座標へと足を踏み入れていた。


「ここまで来れば――っ!」


 ぐるりと転回し、追い縋ってくる宙族たちへリベルタの船首を向ける。

 そのまま、再充電を終えたレーザー砲を構え、迫る宙族目掛けて引き金を――




 そう思った、その矢先。


《ビンゴ!!》


 凛と張り上げた声と共に、一条の光線が、小型艇のうち一隻を()()()()()()()()()()()



「は?」

《あ……?》


 目の前で起こった現象の正体を一瞬掴み損ね、俺と頭目が同時に間抜けな声をこぼす。


 かと思えば、次の瞬間、レーダー内に傭兵ギルドに所属していることを示す船の信号が出現。

 想像以上に近い位置から浮かび上がった信号を目にして、やや遅れて俺は何が起こったかを理解するに至った。


「……そうか、サーマルステルス!」


 熱源隠蔽潜伏(サーマルステルス)。スラスターや内部機構の電源を落として船を冷却し、船の温度を周囲の宇宙空間と同程度まで落とすことで、熱を感知する索敵機構の目をごまかす潜伏テクニック。

 ゲーム時代、〈エンフォーサー〉と呼ばれるNPC勢力に対して特に効果的だったこともあり、俺自身も何度か実践していた戦術だ。それが、今まさに迫っていた脅威を欺き、粉砕したのを目の当たりにして、俺は歓声にも似た驚きの声を上げた。



《――MTS-07・リベルタ。聞こえますか? こちらはギルド所属の傭兵です。これよりそちらを支援します!》


 次いで飛んでくる無線の声。

 了解の言葉を返そうとした――その矢先、奇妙な違和感が脳裏をかすめる。


 ウィスタの声とは違う。だが、その声にはひどく()()()()()()()



「――その声、ティルナか?」


 思わず無線に向けて問いかけると、スピーカーの向こうからは「へっ?」という面くらった声が返ってきた。


《……まさか、昨日のお兄さんですか?!》

「っ、やっぱりか!」


 確かに、ティルナは傭兵をやっていると言っていた。

 それに、「エンジニアとして姉の補佐を務めている」という旨の発言もしていた覚えがある。まさかその言葉が、こんな形でつながるとは思いもよらなかった。


《え? なに、ティル。レンと知り合いだったの?》


 そして、サブモニタに投影された通信画面の向こうに現れたのは、メッセージの送り主――ことウィスタの顔。

 やや当惑気味なのは、俺とティルナが思いもよらない形で接点を持っていたことに驚いているからだというのは容易に推察ができた。


「久しぶりだ、ウィスタ。昨日商業区画でいろいろあってな。妹さんには世話になったよ」

《昨日……あー、ティルが言ってたわね。ずいぶん嬉しそうだなとは思ってたけど、まさかあんたが関わってたとは思わなかったわ》

「こっちこそ、ウィスタとティルナが姉妹だなんて思ってもみなかった。世間って狭いな」


 肩をすくめると、通信画面の向こうでウィスタも同じように苦笑を漏らす。


《それはこっちのセリフよ。――ま、これも何かの縁ね。協力するわ、レン!》


 力強い宣言とともに、リベルタへ迫る宙賊の小型艇めがけて、レンジ外から再び強力なビームが放たれる。

 今度はさすがに直撃とはいかなかったものの、その火力は圧倒的だ。掠めただけで小型艇のシールドは瞬時に飽和し、推進器が溶け落ちたことで、小型艇は推進器の誘爆とともに爆散する結果となった。


《とくと見せてあげるわ! あたしたちの〈サジタリオ〉から逃れられるとは思わないことね!!》


 そんな通信とともに、小惑星の陰からブーストとともに姿を現したのは、銀色の塗装がまぶしい小型船だった。


「あれは……」


 流線が多く用いられた、シャープなシルエット。

 船体そのものはリベルタより二回りほど小柄だが、船の両サイドから延びる、前に突き出した腕を思わせる二門の長距離砲は、それを補って余りあるほどに大きい。

 

 シップメーカーの一角〈エルサ・コンステレーションズ〉が手掛けた砲撃船〈サジタリオ〉。

 専用に設計開発された主砲の存在により、ゲーム中において「火力だけなら小型船最強」とも称された船が、二門の巨大な長距離砲からスパークをほとばしらせて、宙賊たちの前に立ちはだかった。


《次弾チャージ完了!》

《宙賊死すべーし!》


 どことなく緊張感に欠ける掛け声とともに、サジタリオの長距離砲が再び火を吹く。


 むろん、相手もバカではなく、先の超火力を警戒してか、小惑星の裏に回り込んで回避を敢行。

 ――しかし、小型艇一隻を消し飛ばして余りあるその火力は、小惑星程度の壁では止まらなかった。


 小型艇の隠れた小惑星めがけて叩き込まれた極太レーザーは、着弾と同時に小惑星へ亀裂を刻み、一秒と経たずに粉砕。

 その陰で体勢を整えようとしていた小型艇を容赦なく飲み込み、その小さな船体に大きな風穴をぶち開ける結果となった。


《仲間がいやがった、だと……クソがぁッ!!》


 そんな光景ののち、無線の向こうから響いてくるのは、頭目が絞り出した怨嗟の声。

 

 数的優位は未だ向こうにあるが、あちらの主戦力は火力に乏しい小型艇。スキュラの存在は確かに脅威だが、一対一なら初期状態のリベルタでもやりようはある。

 それに、こちらの援軍は小惑星の天然防壁をものともしない超火力持ちのサジタリオだ。彼我の戦力差は、もはや決定的と言っても過言ではなかった。


《てめぇら、何ぼさっとしてやがる! とっとと囲んで叩き落とせ!!》


 頭目の怒号と共に敵の小型艇が動き出し、同時にスキュラも砲火を放ってくる。

 一気に形勢が変わったことに、焦りを覚えたのだろう。だが、本気を出すにはあまりにも遅すぎるタイミングだった。


「っと!」


 スラスターを唸らせて、リベルタの船体をバレルロール。

 先ほどまではいろいろな障害のおかげで不可能だった芸当が、いくつかの小惑星を粉砕したウィスタの支援砲撃と、それによって生じた空間の余裕によって、実現できるようになっていた。


《逃げんじゃないわよ!》


 そして、リベルタの背後からは、ウィスタの駆るサジタリオがぶっ放す長距離砲撃。

 小型艇をまた一隻叩き潰した狙いの精度は、俺が想像していたよりもはるかに高い。リベルタを包囲しようと高速で動き回る小型艇をピンポイントで狙撃するなど、やろうと思ってもなかなかできない芸当だ。


「よく当たるな、今の!」

《まぁね! 伊達にサジタリオを乗り回しちゃいないのよ!》


 軽口を叩き、また一射。宙賊の小型艇が、再び数を減らす。


《クソッタレがぁ!!》


 怨嗟の声を上げつつも、頭目はなおも俺めがけた砲撃を続ける。

 

 だが、小惑星と小型艇の妨害が薄くなった今、俺とリベルタにそんな当てずっぽうの攻撃は通用しない。

 確かに火力は目を見張るものがある。だが、所詮は当たらなければどうということはない話なのだ。


 横滑りや上下移動といった回避軌道を取るたび、リベルタを捉えきれなかった高出力砲が無意味に駆け抜けていく。

 機動を阻む小惑星が減った以上、今度は掠らせることすら許してはやらない。うちのリベルタに、宙賊の与えた傷など相応しくないのだ。


「お返しだッ!」


 返す刀を振るうがごとく、リベルタのレーザー砲を唸らせる。

 サジタリオや、目の前のスキュラが抱えるそれに比べると遥かに火力は劣るが、それでも軍用機の基本装備だ。着弾したG8ガンシップのシールドは、ガリガリと削り取られていく。

 

《があああッ!!》


 雄叫びともに再び放たれた高出力砲を避けて、俺とリベルタは、スキュラの至近に張り付いてみせた。

 

 ――スキュラは驚異的な火力こそ持つが、その代償として運動性能に大きな難を抱えている。

 頭目自身も、おそらくその弱点は把握していたのだろう。だからこそこんな小惑星帯に罠を張り、獲物を狩ろうとしていたのだ。


 しかしその目論見は、こちらの想定外の粘りと、サジタリオという援軍の出現によって、完全なる破綻を迎えていた。


《レン、雑魚は片付けといたわよ!》

《さ、サジタリオは撃ちすぎで砲身がオーバーヒート中です……あとはお願いします!》

「OK、助かるよ! なら、あとは俺の仕事だ!」


 ウィスタとティルナ、姉妹それぞれから入った通信にそう返しながら、リベルタのレーザー砲を一斉射。シールドが飽和し、無防備な船体をさらしたスキュラめがけて光の弾丸を叩き込み続ける。


《テメェ、許さねえぞ! 絶対に許さねぇ!!》

「人を恨むなよ! 自分の不幸と、俺を仕留めきれなかった自分の腕前を恨むんだな!」


 吐き捨てるようにそう返したところで、スキュラの船体から大きな爆炎が噴き上がる。

 それはとりも直さず、俺とリベルタの猛反撃が身を結んだ瞬間だった。


《この借りは必ず返す! いつか必ず、テメェをブチ殺してやる! 必ずなァァァァァ!!》


 直後に入った通信を引き金にするかのようにして、スキュラの船体が破断。


 小惑星帯に大きな火の玉が花開き、思いがけない襲撃者は、再び宇宙の闇へと消えていったのだった。

なんと! なんと!! なんと!!!

読者様諸氏のたくさんの評価のおかげで、


【[日間]宇宙〔SF〕 - すべて】 1位


という多大なる栄誉を賜ることとなりました!!!!


正直自分としても前代未聞の出来事すぎてどんな顔をしていいか分からず若干情緒がバグってる節もありますが、何はともあれこんな奇跡が起きたのは皆さまから頂いた応援のおかげです!


この場をお借りして、深く深くお礼申し上げます!


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