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第15話 遺産相続


 結晶石の吸収後は朝から元気さが違う。

 身体の調子が良過ぎて、今から山を頂上まで登り往復しても大丈夫な気がしてきた。

「みなぎるパワー……へへ……」


 朝起きてから私は収納の空間を確認すると、庭付き一軒家より広い空間になっている事が分かった。

 嬉しい。

 これだけ広くなれば、もっと食糧を詰め込める筈だ。


「よ〜し、サツマイモじいちゃんに電話しよ」

 話をしてサツマイモをもう30万円分、それから他の野菜類や穀物も買える伝がないか聞く。

 農家や農園にも声をかけてくれるらしい。

 一旦電話を切って、鶏舎のおばさまにも電話して、後日卵千個を買いたいと言うと明日には用意してくれると答えてくれた。

 周りの対応が早くてありがたい。


 ピンポーン。


「はーい」

 朝一番でおからパウダーが400キロ届き、倉庫に入れてもらう。

 軽い会話でお店の人気の豆腐ドーナツや、おから揚げ菓子も買いたいと話したら大量なら届けてくれると言われ、購入が決定した。


 賞味期限が保つ揚げ菓子は味が5種類あったので3箱ずつ、賞味期限が数日の豆腐ドーナツは3種類味があり2箱ずつにしてもらった。

 次いでに日保ちする乾燥豆腐も10箱頼む。

 常温保存の豆乳パック無調整は10箱にして、オススメの合わせ味噌と醤油も2箱ずつ頼んだ。

 支払いは店頭、又は入金なので今日の午後に払う事にした。


「商売上手だなあ……」

 元気な売り込みに、予想外に買うことになって笑ってしまったけれども、空腹の彼らの胃が膨れるなら良いかと納得する。


 終わってから丁度サツマイモじいから折り返しの電話が来て、色々と話をつけてくれたらしい。

「明日、持ってきた時で現金支払い大丈夫って……良いのかな? 私、初対面だけど……」


 私に、そこまで信用は無いと思う。

 しかし、サツマイモじいの信用は高いみたいだ。

 田舎ならではのコミュニティ内での、やり取りになるようだ。


 皆、明細書と領収書は用意してくれるみたいなので、そこも助かる。

 小娘との口約束の商売に皆の事が心配になったけれど、裏切らない為にもお金を下ろしてくる事にした。


 ブロロロロ……。


 今日は、昨日貰ってしまった銀、金を2店舗ぐらいに分けて換金しようと思う。

 あの薄板を換金して、全部物資に変換するのだ。


 持っている資金が底をつく事は無さそうなのは良かった。

 けれどもだ。


「銀や金の換金かあ……これも税金かかるよね? 店で売り買いしたら情報は出るだろうし……」

 換金するにあたって現実的な問題が頭をかすめた。


……──どうしよう……


「確定申告に書くとしても、これらって……うーん後から出てきたばあちゃんの遺産? 一族の遺産……?」

 出所が不明過ぎる貴金属。

 どうしよう。


「所有者が不明とされる埋蔵金は確か落し物扱いで1年後で6割かあ……だとしたら遺産の方向かな?」

 チラっと助手席に置いてある鞄の中を見る。

 薄板の銀や金には全然知らない印がしてあり、この国、和宮国感は無い。


「埋蔵金は4割取られるからなあ……」

 埋蔵金は1年後、帰ってくると精算済み金になり税金はかからないが、貰えるのは6割となり残りは国預かりだ。

 恐ろしい事に国は均一、4割持って行く。

「うーん……まあ値段を聞くだけでもしよう」


 カラーン……コローン……。


 お店に入って鞄から薄板の銀金を取り出して渡した。

 一瞬、お店の人はギョッとした目をして、直ぐに笑みになり鑑定を承諾する。

 奥の部屋で椅子に座らされ、緑茶と薄皮饅頭が出された。

 こしあんが美味しい。


 鑑定が終わり、お店の人は今の相場の話をしてきた。

 やはり本物なのか。


「先ず、こちらの銀の今日の売値相場は1グラム395円です。そして、こちらのプラチナは1グラム1万2千です。そして、そして! こちらの金は1グラム2万4千5百です! いや〜! どれも純度が素晴らしく良いものをお持ちですね!」

「あはは……」


 待ってほしい。

 全部、5百グラムずつある。

 収納した中には、もっとある。

 どうしたら良いのか。

 他から見たら、この量は異常だ。

 しかし聞かなきゃ先には進めない。

 物資も、どうしたって現実的な金額が必要だ。


 ごくッ。


 唾を飲み込み、覚悟を決めて訊いてみた。

「売るとしたらお幾らに……?」

「全部をまとめまして買い取り手数料を頂くと……1千5百万円で如何でしょうか?」

 店員の目がキランと光った。


 薄板5枚ずつ。

 それで遺産並みの金額が来て、頭がクラッとする。

 現状、これの何倍もあるのに、どうするか。

「なるほど……」


 それにしても買い取り手数料というものが存在するのかと思ったが、元が食糧の支払いなので大儲けではある。

 悪徳販売をしている気分だった。


 一呼吸。

 ちょっと難しい思考をしよう。


 田舎の安さもあって家・土地は私が成人した時に祖母が私名義に変え、そこでモロモロの手続きは終えた。

 我が和宮国では土地を生前に譲渡すれば1千万以下なら税はかからない。

 それ以上の場合は億手前まで均一、百万の税だ。


 しかし譲渡した相手を虐待や追い出すなどすると重い刑罰に処される。

 死後も先祖を大切に最低限の簡易葬をしないのは余程の理由が無ければ、一時土地の差し押さえの可能性も出てくる。

 手続が複雑な正当な縁切り、又は故人が重罪をしていない限り、大切にしなければならない。


 祖母は私が怪我を負った年から毎年、和宮国では無税となる贈与の範囲内300万円を私名義の貯金通知に入金してくれていた。

 死にかけたからか唯一の血の繋がった孫だからか、随分な甘やかしに戸惑う気持ちと愛情の具現化に胸が熱くなる。


 私受け取り名義の祖母の保険金は1千8百万円あり、和宮国での保険税免除は2千万まで、それ以降一億前までは特別税で0.5%取られる。

 その為、保険金に税はかかっていない。


 祖母の貯金には6千6百万。

 和宮国の相続は基礎控除5千万円があり相続の人数×8百万までは免除額となる。

 縁を切っている我が親と叔母、叔父が本来の相続人だったが、生前弁護士を立てた遺書が読まれた。


 《最愛の孫ユノに8割。残りを3人の子に3等分とする。ただし孫ユノに他が危害を加えた場合、3人の子に渡す筈だった金額は最愛の孫、ユノのものとする。またユノが亡くなった場合は最愛の孫ユノの葬式と墓を建てた後、全額孤児院への寄付とするように。》


 田舎の不便なこの土地自体は最初から要らない3人は、貯金のみの遺産について異議を申し立てたが結局は危害によって遺産を失う事を恐れ、440万ずつ貰って去ったようだ。


 全体の基礎控除は8千2百万だ。

 そこから5千280万引いて残りの基礎控除は2千920万となる。

 なので単純計算だと今回の1千5百万円を売っても基礎控除範囲内と考えられる。

 ただし祖母の遺産とするならば売り上げから2割を親族に渡さなくてはいけない。

 なので300万は減る。


 ちなみに基礎控除の後は1億以内なら10%の税率で、それ以上は均一で国に40%取られる。

 間違っていなければだ。


 過去に起きた事柄と鑑定中にネット知識で得た情報に、祖母の通信機に残っている弁護士へ折り合いを見て相談するべきだろう。

 思考が長くなった。

 戻ろう。


 ソワソワと期待した瞳で待っていた店員に思い切って言う。

「とりあえず売ります」

「ありがとうございます! 入金にしますか? 現金もご用意可能です!」

「あ……あ〜……現金で良いですか?」

「かしこまりました!」


 ブロロロロ……。


「うぐぐ……小難しくて頭が痛くなってきた……」

 車のポケットを開けて角砂糖の袋を取り出す。

 祖母が生前好きだった角砂糖で考え事をした後は、ポリポリ食べていた。


 ポリポリ……。


「……ばあらぶ日記のネット漫画書き出した頃に一応商業登録してるから、商売の方に移転できれば、もう少し違うかな? 税理士さん雇った方が早いかも……その場合、先にインゴットを全部精算した方が良い?」


 キキーッ。


 一応、新しい貴金属店の駐車場に着いた。

 小難しい悩みは先に終わらせておきたい気がするので売って税を一括払い。

 それが良いと思う。

 多分。

 素人思考だが。


 瞼を瞑り収納空間の中を覗き見る。

「残り……えーっと、銀の小さい板が287枚、中ぐらいが63枚、でかいのが31本。プラチナの小さい板が311枚、中ぐらいが57枚、デカいのが30本。金の小さい板が380枚、中ぐらいが124枚、デカいのが22本……はい、いっぱい!」


 多すぎる。

 小さいの5枚ずつで1千五百万円だ。

 金額もとんでもない事になる。


「うーん……此処の店、銀を積極的にって書いてあるし銀だけ売ろうかな……」


 カラーン……コローン……。


 先程とは違う貴金属店、銀に強化を入れている店に入り言う。

「すみません。銀を多く売りたくて来ました」


 ガタンッ!


「まぁまぁまぁ! ありがたいことですわ!」

 店舗の支配人だろうか、瞳をキラキラさせて側に来る。

「お手数なのですが……持つのが重いので車のトランクにあるのですが台車を貸して頂けますか?」

「あらまぁ! 勿論ですともッ!」


 ガチャンッ。


 女性店員は若い男性2人を呼び寄せ、3人で車のトランクに向う。

 トランクを開けると木箱が3箱、前に桃が入っていた箱だ。

 その中に布を敷いており上に大きいインゴット、中、小と並べてある。


「まぁ〜♡ 貴方達、丁寧に運ぶのよ!」

「「はい!」」

 台車の上に店から持ってきたらしい布が敷かれ箱が2人の青年で持たれて、置かれた上で布で蓋をされる。


 4人で店の個室へ行き、私はお茶と高そうなケーキを出されて待機となった。

「……!?」

 びっくりするぐらい美味しいケーキだった。

 お茶も初めて飲む美味しい風味で、ちょっと気分が良くなる。

 悩みには糖分が大切だ。


「今、工業用の銀が不足してましてね。知り合いに買いたいと急かされてましたの〜!」

 戻ってきた彼女に売値の説明をされる。


 どうやら数がある為に手数料は取らないらしい。

 その代わりにグラム数での値段を少し減らすとの事、前の店とどちらがお得かはとくに考えず頷いた。

 1グラム380円、確かに15円減った。

 でも充分高い。


「100グラムのが287枚、1キロのものが63枚、13キロのインゴットが31本。全て純度が高く……なんて素晴らしい……全部で1億8,511万6千円ですわ〜!」

「ひゃ〜……」


 この中だと銀が一番安かったから売ったけれど大変な金額になってしまった。

 もうプラチナや金を売るとか厳しい気がする。

 遺産にしても一気に億超えだ。


……──お蔵入りにしても、これだけあれば物資は買い放題だよね? 余程のことが無い限り収納しとこ……


「あの……これ祖母の遺産でして……棚から出てきて……」

「あら〜! それは非常に幸運ですわね!」

「ええ。そうなんです。ちなみになのですが……こういったことに親身になってくれる税理士さんを、ご存知ないですか……?」

「あらあら〜! お任せくださいね! 優秀な者を今すぐご紹介いたしますわ〜!」

「ありがとうございます」


 色々と悩んだけれど大まかな計算やらはして、税理士に手伝ってもらい納税を行い、差額分から2割払うとの事を弁護士にも相談しなければいけない。


「ふぅ……」

 今後も、やる事がいっぱいだと思った。


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