救世主・魔王たち
シリーズ内に登場する救世主・魔王の特性や能力の詳細です。
既出キャラクターに関しては、各作品の人物紹介にて、そのキャラの生い立ちや性格などを載せています。ここではあくまで、能力の詳細のみを載せることとします。
ノエル・イノセンス 精霊魔法使い
性別:女
アルファベット表記:Noel Innocence
能力詳細:救世主としては頭一つ飛び抜けている、掛け値なしの人類最強。
精霊魔法とは、古くは世界を創成したほどの精霊王に似た、人には見えない力を扱う魔法。先天性の救世主であり、イノセンスの名を持つ家系に度々生まれる。
精霊魔法と言っても、「精霊に力を貸してもらう」というようなものではなく、「精霊の力を扱う」である。
精霊の力とは、「敵と定めた相手に害をなす」「味方を守る」といった、主に人間や世界を慈しみ守るための力。こと〝守る〟という方向に特化した事象であり、精霊の種類によって力が変わることはない。
基本的に、その場に多くいる精霊に詠唱を用いて声をかけ、集まってもらって力となし、敵に向けて振るうのが主な使い方。濃密なものになると、光精霊の場合は強い光が、火精霊の場合は猛々しい炎がという風に、素養のない人間にも可視化できるほどの力となる。
精霊を集め、〝人間や世界を守る力〟として振るう。これが精霊魔法。例外的に、イレギュラーが重なりまくっているノワールがこれに似た魔力を持っている。
また、精霊魔法を用いずとも、知性を持った精霊と友誼を結ぶことで、その精霊が独自に行える技能を以て手助けをしてもらうことは可能。火精霊にお願いして火を熾してもらうなどがこれにあたる。
人類にとっては創造神である精霊王、それと同質の力であるが故に、不完全ながら〝世界への優先権〟を保有する。これは「子が親に勝てない」といった類いの絶対法則に等しく、精霊魔法に対してパルムの者が逆らえる道理はない。
ちなみに、あくまで精霊の力に優先権があるのであって、ノエル本人はそれを持たない。加えて不完全な代物なので、精霊魔法に対して本能的に上下関係を悟るだけのものである。
また、Innocenceの通りに〝無垢であれ〟と定められていたりもする。そのため、14歳程度の外見から成長しない・身体に傷がつきづらい・妙に影が薄い(世界に溶け込んでいるような感じ)、などの特性を持つ。変に髪が頑丈で切りにくく、ならばと放置した結果足元より伸びることがなくなり、現状の髪型に落ち着いている、という裏話もある。
ノワール・ブランシュ・ハイラキア 剣の魔法使い
性別:男
アルファベット表記:Noir Blanche
能力詳細:生まれた時から〝自らの言葉が他人へ浸透しやすくなる〟という力を持つ、先天性の救世主。扇動者とも呼ぶことができる、マインドコントロールの天才。
とはいえそれは肉体と魂双方が揃っていなければ成り立たないもので、現在のノワールが扱えるのはその名残でしかない。
家系に関係なく突然変異として生まれた救世主。人の中から生まれた救世主故に、人に影響を及ぼす力を持つ。
世界から認められた救世主とは違い、力の性質そのものからして異質。正に突然変異であり、しかし当人がそれを自覚することはなかった。
とある一件以後、精霊に似た魔力を獲得。これは元々の突然変異のそれとは別の要因で獲得した特殊な魔力であり、これを用いた魔法で救世主に数えられるまでの才能を開花させる。
呼び名の由来は、彼が好んで使う魔法が剣を模したもののため。初めて見た精霊魔法が彼にとって印象的で、それを真似ているのだとか。
アンリ=ルイ・カース 滅びの黒勇者
性別:男
アルファベット表記:Henri-Louis Curse
能力詳細:人間が持つ憎しみや恨みなどの負の情念を原動力にした、黒い力場。憎しみを形にし、現実世界にそれを顕すおぞましいもの。
先天性の救世主で、カースと名の付く家系にたびたび生まれる。
感情を持つ生物なら誰しもが持ち合わせる〝最も簡単な呪い〟に〝救世主の役割〟を持たせ、世界が利用しようとして作られたのがこの力。
性質上なにかを恨むことでしか発現できない力だが、力の持ち主は迫害を受ける傾向にあり、それはデメリットになりえない。
また、最も簡単な呪いと言うだけあって単純明快に強く、命あるものがこれに対抗できる道理はない。世界から認められていない外法であれば加護などで防げるだろうが、この力は世界から認められている特権行為故に、精霊魔法とは別の意味で最強である。
人には過ぎる力を持たせることで嫉妬心を作り、それをわかりやすい形で誘導し、それさえも利用して救世主の力とする――この力は、世界の悪辣さの権化とも言える。
しかしそういった悪の力のお約束として、それを持つアンリには様々な身体的欠陥がある。睡眠時間がとても長い、食事の摂取量が極めて少ない、妙に体重が軽い、毒に対する耐性がないのでウイルスや細菌などが由来の病気に罹りやすい・重症化しやすい、など。
けれど曲がりなりにも救世主のため、身体的欠陥のせいで苦労はしても死ぬことはなく、戦えなくなるようなこともない。これは世界が「死なれては困るから」と保護をしているせいであり、欠陥があるくせに微妙に頑丈だったり運動神経がよかったりする。
カミーユ・ブレス 光の御子
性別:男
アルファベット表記:Camille Bless
能力詳細:戦場では人知れず幸運を呼び、味方には利益をもたらし、敵には裁きを下す。〝世界を救う〟という行為の具現化こそが、彼の力である。
世界から愛された救世主で、ブレスの名前を持つ家系にたびたび生まれる。
その性質はわかりやすく、光という神聖な代物を魔法として扱うのはその性質が色濃く出たせい。誰から見ても好印象を覚えられ、誰からも迫害されることはない。
筋金入りの〝世界の味方〟であり、それは同時に〝世界からも味方される〟ということを表している。
誰の剣も彼へは届かず、彼の剣は必ずや敵を貫く。主人公がご都合主義に助けられて勝ち続けるヒーロー物語のように、理不尽で反則的な強さを誇る。
しかしその性質上、それはあくまで〝世界の敵〟に対してのみにしか働かないため、光の御子は〝世界の味方〟とは戦えない。要は仲間とは戦えないのである。
光の御子の力は世界を守るためのもの、故に世界を害する用途で使うことは叶わず、また光の御子本人もそれを考えつくことはなく、必要に迫られることもない。
……このように、力の用途が光の御子当人の行動原理にまで馴染んでいる。それはまるで、自ら培った為人でさえも、世界によって「救世主たれ」とデザインされたかのよう。
光の御子自身がどう行動しても、周りがどのように動いても、光の御子の味方は〝世界の味方〟、光の御子の敵は〝世界の敵〟となる。
ご都合主義と言っても過言でないその運命も、世界にデザインされたかのようなものである。見方によっては悲しい生き方と言えるかもしれない。
エール・ブレスも同じ力を有しており、救世主の呼び名も同じである。
メラニー・ティベリ 大魔道士
性別:女
アルファベット表記:Melanie Tiberi
能力詳細:こと〝魔法〟という分野において、人類の中で誰の追随も許さなかった魔法の最高峰。
保有する魔力は桁違い、魔法を使うためのイメージも精強、魔法に対する理解も優秀。持ち得る才能だけでも人類の叡智を鼻で笑えるレベルだが、彼女はそこに努力を重ねに重ねて救世主に並び立つ。
後天性の救世主であり、特別な力は持たない。しかし魔法の実力によって彼らと肩を並べる、純粋な人間の中でならば最強だったであろう女性。
彼女がその実力を保ったまま歳を重ねれば、人類の魔法の歴史が変わっていたかもしれない。
〝魔法使い〟ではなく〝魔道士〟、しかも〝大魔道士〟とまで呼ばれたのは後にも先にも彼女一人だけで、そこからも彼女の魔法の実力がいかほどであったのかが察せられる。
魔法において、彼女にできないことはない。只人にできることは必ず彼女にもでき、しかし只人が彼女のなしたことへ追いつくことは難しい。
その知性故か魔法以外の分野にも優れ、多方面への才能も見せる。世界の真理を解き明かす幾多の学問に加え、実戦レベルでの戦術や、果ては政治の分野でも凄まじく有能。
彼女の救世主としての真価は、持ち得る魔法の実力や才能ではなく、その知性にこそあるのかもしれない。
しかし反面身体能力は平凡で、武芸の才はなく、女性ということで腕っ節も弱い。魔法により補うことは可能だが、肉体面に限ってしまえば彼女は一般人である。
レイナルド・ミネル 魔剣士
性別:男
アルファベット表記:Raynald Mesnil
能力詳細:後天性救世主で、元は国の騎士だった。ひょんなことから魔剣に触ってしまい、解けない契約を結ばされて人間をやめることに。その結果騎士団を抜け、救世主としての活動を始めた。
ちょっとやそっとでは傷つかず病も負わない肉体と、瀕死でもない限り放っておいてもすぐに怪我が治る、すこぶる頑強な超人ボディをしている。これは魔剣の契約によってもたらされた恩恵で、身体能力も人間をやめた域にあるとか。
出自はただの一般人ながら、魔剣に触れたおかげで人間をやめることになった悲惨な男性。とはいえそのおかげで仲間と出会うことができ、人々を救うことができたため、一概に「悲惨」とは言いきれないかもしれない。
アシル・クラヴィエ 魔剣士
性別:女
アルファベット表記:Achille Clavier
能力詳細:レイナルドの死後、彼の扱っていた魔剣がアシルの故郷の村に流れ着き、第一発見者である幼い彼女と契約成立。
しかしアシルの素養が可哀想なくらいなく、また幼い年齢による身体的能力の不足などが原因で契約は不完全なものに。
不完全な契約のため、魔剣士と言えど魔剣の恩恵を扱うことがほとんどできず、無理をすればなんとかといった感じ。
しかしレイナルドでは無理だった魔剣人格の懐柔を行っているため、魔剣から受ける恩恵は不充分ながら魔剣の機能はフルで使える。
魔剣からの恩恵は、すこぶる頑強で生命力の強い超人ボディ、身体能力の大幅な強化。魔剣の機能とは、魔剣が独自に持つ魔力を用いた魔法、魔剣の形態変化。
アシルの場合、超人ボディは不可能で身体能力は微弱ながら強化、魔剣の機能はフル活用である。
無理やり魔剣から力を引き出せば恩恵を全て扱うこともできるが、肉体や魂にかかる負荷が尋常ではない。主導権が魔剣側にあることも関係し、アシルがそれを用いることはないだろう。
アシル本人に素養がなく、契約以前の実戦経験や訓練経験もなく、少女ということで体格にも恵まれず……とことん魔剣士に向かない少女のため、恐らく彼女が救世主として戦うことはない。
メガーヌ・ドルジア 癒しの聖女
性別:女
アルファベット表記:Megane Dorziat
能力詳細:元は神に仕える修道女で、生まれつきの救世主ではなかったが持ち得る素質がすこぶる高く、それを神に見初められて加護を獲得し救世主に至る。
神は人々の想像上の仮想存在だったが、信仰によって力を得た。〝信じる〟ことによって存在する、というクライアントの性質上、彼女の精神面が能力に大きく影響する。そういった事情で、光の御子とはすこぶる相性がいい。
加護の力は〝癒し〟。「傷ついたモノを、神の定めた〝在るべき姿〟に近づける」、というイメージの魔法に近い。そのため生物・無生物の区別なく癒すことができ、時間と労力をかければ部位欠損なども治療できる。ちなみに死者の蘇生は不可能。
信仰心がダイレクトに力の強度に反映されるため、神を信じる者に対してであれば効果が強くなり、逆も然り。メガーヌ自身が持つ信仰心についても同様。とある戦い以後、彼女が加護を扱えなくなったのはこの法則が関係している。
セルジュ・ドロン 剣聖
性別:男
アルファベット表記:Serge Delon
能力詳細:後天性救世主で、魔法の才覚も超能力もなく、純粋な鍛錬と剣の才のみで救世主に至った剣術バカ。
光の御子に小さい頃に会っており、彼に憧れて剣の道を志した。
こと〝剣〟に関してであれば右に出る者はおらず、魔法ありだったとしても近距離の白兵戦ならば掛け値なしで人類最強。
剣を振ることを突き詰めた挙句、目に見えぬ魔や業を斬る芸当を体得している。たぶんその内、斬撃を飛ばして遠くを斬ったり、空間を断裂させる技を発現したり、分身っぽいことをやって全く同時に複数回斬ったり、同じく分身っぽく全く同時に複数回突いたりするようになるだろう。
しかしそれらは全て、魔力や超能力の絡まない純粋な剣技のみで成されている。先天性救世主のなんたるかを知る者から「救世主よりも規格外」「世界もあんなん想定外」などと太鼓判を押されるほど、剣に関してだけなら本気で意味わからん奴。
牧瀬 哲 魔弾
性別:男
能力詳細:パルムにおいては異世界からの漂流者。地球の日本出身。
謎の召喚現象によってパルムに引き寄せられた、平凡な学生をやっていた高校生。よくある異世界転移モノの主人公ポジ。地味にパルム生活が長く、もう何年も暮らしているらしい。
本人の類まれなる素質により、地球にいた頃から魔力を所持。それがパルムに来ることによって眠っていた魔力に火がつけられ、魔法使いとしての才能を開花させる。
現代日本人にとって最も〝武器〟として身近な、刃物、もしくは銃器を魔法で模倣して戦う。使い勝手の関係で銃器を多用し、本人がイメージを行うために魔弾と呼称していたのでそれが救世主としての名称にもなった。
空中に銃器を大量に並べ、それらを一斉に放つバ火力が十八番。バリエーションも豊富。
これにより、たった一人で大国を相手に戦争ができるほどの制圧能力を実現している。
アレクシア・プロフェシー 予言者
性別:女
アルファベット表記:Aleksia Prophecy
能力詳細:先天性救世主として、生まれた時から未来を視る千里眼を保有する。プロフェシーの名前を持つ家系からたびたび生まれる。
千里眼のチャンネルは過去・現在・未来とあるが、彼女はその内の未来を視ることができる。とはいえ範囲は世界全てのため、実質的に世界全てを見渡せると言っても過言ではない。
未来の事柄であればなんでも見られるため、一秒先の未来に焦点を合わせて遠視をすれば、なんちゃって千里眼の完成である。
以前に生まれた予言者は、未来の他に現在もしくは過去を視ることができる千里眼を持つ者もいただろう。
人ならざる目を持つため、どこか余人とは一線を画した価値観で動く。行動原理が人間のそれとは大きく違う、ある意味で最も救世主らしい救世主。
世界を救うためならば聖人にも外道にもなる、純然たる世界の味方。救世主を優先してどうにかしようとはするが、どうにもならないと判断した時はとっても非情。結果的に世界が存続するなら救世主だろうといくら死んでも構わないと思っているし、世界存続のためなら魔王を助けたりもする。
後天性救世主を「救世主だ」と任命するのは主にこの人。この人から魔王討伐などの依頼がくれば正式に救世主になったと言える。
原理としては「世界から与えられる情報を元に未来を予想する」。そのため、視た未来は決定したものではなく、回避することができる。例えるならば、枝分かれしているすごろくのマス目――ゴールまでの道のりはどのルートが短いのか長いのか、マス目にはなにが書かれているか――を、あらかじめ全部知ることができるようなもの。
未来を視る目を活用し、普段から災厄や災害に関する〝先回り〟を怠らない。彼女のおかげで救世主の勝率は飛躍的に上がり、魔王の策略が実ることは少なくなってきている。
また、本物の未来視を持っているということで、洒落にならないくらいいろいろなところから身柄を狙われる立場でもある。その悉くを未来視によって躱し、悠々自適に他救世主を顎で使う生活を続けている。
そのためか、たとえ救世主や国王などが相手でも人前に姿を見せることがなく、どこから調達してきたのかわからない人材を遣いとして方々に飛ばし、伝言によって指示を伝えることが主。
予言者としてのネームバリューや長年の信頼と実績、なにより未来視というアドバンテージで、彼女の指示が破られることはほとんどない。
仮に無視しようとしてもそれは当然のごとく先読みされ、無視できないようお膳立てをされた上で指示が飛んでくるため、断ろうにも断れないケースが多いのである。
イミナ (認知されていないため呼び名はなし)
性別:女
アルファベット表記:(本名不明)
能力詳細:魔王にも、救世主にもなれる特異な存在。曰く、〝忌まわしき儀式の果てに生まれた忌み子〟。
悪魔召喚を目論んだ魔王が、数多くの実験を行っていた村があった。その実験の一つで生贄を使用する機会があり、彼女はその際に選ばれた村の孤児。
悪魔をその身に降ろす器として使用されるも、中途半端に成功。中途半端だったため魔王には破棄され、しかし異様な特性を得た。結果周囲の人間から忌み嫌われることに。
「悪魔を降霊する」というイメージの魔法を施された、という原理で、人の身には余るほどの大魔力を真正面から食らい変質した〝元人間〟。魔剣士に似た形で人外となっており、しかし魔剣士よりも醜悪。
「悪魔に呪われた」とされ、名前を呼ばれることもなくなり、その際の「忌み子」や「忌み名」が呼称名となっている。
情緒の育ち切っていない幼女であり、また真っ当な教育が施されず、育った環境も劣悪極まりない。それ故自我が薄く目的意識に乏しく、そのおかげで魔王にも救世主にもなっていない。
彼女が人に害を成そうと復讐に動けば魔王に、世界を救おうと志さば救世主に、それぞれ予言者によって認められることだろう。
現時点では「世界を救うにも役に立たない」と予言者からは放置されており、なにもしなくても死ぬことがないため、村全体から迫害を受けたまま生き続けている。
不死と見紛うほどの異様な生命力を持ち、外傷や病で死ぬことがない。また、飲まず食わずでも死なない生命力を持つ。変質した結果獲得した彼女の特性の一つであり、他にも多数の特性を持つが、本人は自覚していない。
悪食
性別:(一応)男
アルファベット表記:(本名不明)
能力詳細:パルムに突如出現した、全てを食らう魔王。
七つの大罪モチーフの魔王。よくある〝なんでも食べる〟系災厄。本名はなく、本人的には「食った」、正確には「忘れた」。
彼の性別は、元になった人間の性別が男だったために一応は男になるものの、半不老不死のような生命体に改造されているため生殖能力は全くなく、真っ当な〝人間の男〟とは言えない。
人類最強のお嫁さん、野良猫等にて出現する、複数の救世主が討伐にあたる大厄災。予言者主導の下各地の救世主が集められる。
パルムにおいては異世界からの漂流者であり、彼が元いた世界は彼の手によって滅ぼされた。
出身世界が滅ぼされた後、そこにある技術が偶然暴発してパルムへと召喚されたようだ。
「なんでも食うからどうでもいい」と、周りの名称やらなんやらの情報には酷く無関心。
地面や木、岩などの〝自然生成物〟には興味を示さず、その代わりに怪物や魔王、動物や人間問わず〝生物〟や、人間の作った人工物や建造物を捕食対象としている。とりわけ、人間の作った被造物を優先的に捕食するようだ。
捕食行為は彼にとっての使命や義務であり、またコミュニケーション方法。周りのモノに対し、〝捕食する〟という以外のアプローチをすることのできない欠陥者。
ちなみに捕食したからといって対象物の能力を奪ったりすることはできず、あくまで食らうだけ。食べたものはゴミ箱に行っているらしい。
こと〝食べる〟という行為に関わる行動全てが、既存の法則――物理法則など――を全て無視する。それ故に、なんでも食べられるし対象物のスケールは無視できるし、胃袋は底なしだし出すもん出さないしと、いろいろ規格外。
彼の〝食べる〟という行為を邪魔することは、その行為と同等以上の理不尽パワーでないと不可能で、その上なんでも食べられる。それは力とは別種の〝理〟のような、それそのものが法則じみた強制力を帯びている。その強制力は、彼の生まれ故郷に起きた出来事と関係しているようだ。
彼の元いた世界は、魔法や科学に似た〝人類の叡智〟が、誤って世界を壊してしまえるほど強大なものにまで発展していた。
その結果、偶発的に生み出されてしまった、地球における放射性廃棄物を優に超える危険度の廃棄物。空間を隔離して封印するくらいしか手立てのない危険物の処理のため、試行錯誤の末に誕生した手段が悪食の行う〝捕食〟。
三大欲求の内の一角、七つの大罪にまで数えられた、命あるものが必ず持つ〝自己への吸収〟という機能。その〝吸収先〟、いわば食べたものが流れ着く場所を〝世界のどこにも存在しない場所〟に直接繋げ、能力を制御できるように人間にこれを施した。
その上、〝捕食〟という行為に法則じみた強制力を付与し、不老不死研究を応用して彼をビックリ人間に改造。人格崩壊までは起こしていないが、知らず知らずの内に彼の精神が蝕まれていき……結末は世界の終焉だった。
呼称名の「悪食」は、あくまで予言者がつけたものなので、悪食が元いた世界の終焉とは一応関係がない。しかし偶然ドンピシャな名前になった。
彼の悪食とは、「悪いものを食べる」ではなく、「食べることが〝悪〟になる」。彼の〝食べる〟はパルムにとっての〝悪〟だ、というだけの話だが、しかして悪食の元いた世界のそれと符合した。
悪食の元いた世界は、彼の〝食べる〟によって滅ぼされた。〝食べる〟が〝悪〟となった典型であり、廃棄物処理の目的で作られた〝食べる〟でもあるので「悪いものを食べる」という意味でもそのまま符合する。
精霊が呼ぶ「グラトニー」はそのまま、「食べることしか知らない奴」という意味。哀れみを込めた同情の名であり、その同情の念さえも彼は理解し得ないだろう。
災厄の父
性別:男
アルファベット表記:(本名不明)
能力詳細:レイナルド、アシルが契約した魔剣や、過去に猛威を振るった危険な怪物、ガチで世界をぶっ壊せる概念兵器……それらの造物主たる魔王。
人の身で世界を滅ぼすことは不可能だ、と早々に結論づけた彼は、世界を壊せるだけの兵器を作ってしまおうという方針を打ち立てる。
その結果様々な失敗を積み重ね、けれどその末に成功させ……しかし望みを叶えることなく、当時の救世主に打ち倒された。
元々は、「対象を改変する」という、物体改造の技術を魔法として会得した魔法使いだった。救世主にもなれるほどの逸材であり、彼が救世主用の武器を作成して光の御子辺りが振るえば、高位の竜種でさえもワンパンで仕留められただろう。
その素質を周囲の人間に見込まれ、利用された挙句、彼が愛した人まで不幸になってしまったため、人や世界に敵意を持つように。
世界を壊すために試行錯誤を重ねたことで、物体改造だけだった魔法がいつしか〝無からの創造〟の領域にまで踏み込むものとなり、その果てに概念武装まで作り出してしまった。
複数の作品に絡むキャラクターや設定に関連する割と重要な人物だが、出番の予定はない。
悪魔崇拝者
性別:男
アルファベット表記:(本名不明)
能力詳細:悪魔召喚を目論み、その末に行った儀式によって自身の命を断つことになった魔王。
イミナを人外にした張本人。悪魔が実在すると信じ、魅入られ、狂気とともに悪魔に殉じた狂信者。
魔法陣を書いて呪文を唱えたり、生贄を殺して捧げたり、最後には自分を依り代にしようとしたり。ろくなことをしていないが、最終的に自滅している。
この結末は予言者によってきっちり予見されており、なにがどうあっても自滅に向かうという意味不明な未来が見えたため、救世主に声が掛かることもなく「こいつに世界は滅ぼせない」と放置されていた。
もちろん悪魔なんてものはパルムには存在しない。異世界から召喚されればワンチャンあるかもしれないが、彼がお目にかかることはなかった。
ちなみに、後述の悪魔王とはなんら関係がない。
悪魔王
性別:なし
本名:ジゲンの悪魔王
備考:哲などなど、地球から日本人がパルムへ召喚される原因になった魔王。
元々は、パルムでも地球でもない異世界にて、神々に敵対し人を拐かす者として崇拝されていた超常の存在。
本名、というか正式名称の「ジゲン」には「次元」や「時限」が含まれ、空間を渡ったり時を飛び越えたりすることのできる悪魔だった。
元の世界にて、遂には神々やその使徒に敗れ倒されかけるも、一縷の望みをかけて異世界転移を試みる。運良く成功してパルムに行き着き、そこでも悪逆を働くように。
その世界を渡った経験を元に、別の世界にも干渉できないかとあれこれ試し、地球に接触。偶発的に大量召喚に成功し、この悪魔王のせいで地球とパルムが次元的に繋がりやすくなってしまっている。
人類最強のお嫁さんのノワールを召喚した魔法陣もこいつ由来だったりして、パルムにおける日本人召喚の原因はだいたいこいつ。
ちなみに、この時パルムから地球へとアクセスができたのには地味に理由がある。
光の御子によって倒されかけ、またしても異世界へ逃亡を図る。が、危ない綱渡りであることを忘れて気軽に実行してしまったため、二度目の異世界転移は失敗。次元の狭間にて、押し潰されるようにして消滅した。
正真正銘の〝悪魔〟であり、本来は生物とさえ呼べない知性体。食料は人間の魂で、人間の恐怖や絶望を好む悪魔的感性も持つ。
悪魔王にとっての人間苛めは、趣味であり調理行為でもあるとか。
奸計の魔王
性別:男
アルファベット表記:(本名不明)
備考:世界を裏から牛耳る、ラスボスに相応しい所業をしていた魔王。
とかく奸計に優れ、人を言葉巧みに操って食い潰すことにかけては超一流。
他人や自分の不幸、人生の波乱や騒動を「面白い」と感じる破綻者で、その度合いも一級品。魔王として光の御子に追い詰められた時は、それさえも「最高に面白い喜劇だ」と言ってのけた。
光の御子一行との戦いでは、初戦は敗北するも逃げ延び、その一戦で光の御子たちの戦力と内情を把握。一行の内、最も奸計に弱く全員の弱点となり得る人物を人質にとり、見事光の御子一行を壊滅せしめた。
おとぎ話にもなった光の御子一行の物語に幕を下ろした張本人であり、正にラスボスである。
その後に活動を開始した予言者が、自身の未来視を用いて片っ端から彼の奸計を潰して回り、最終的に立場を失くして自分の部下だった者に殺された。
呪詛の魔王
性別:男
アルファベット表記:(本名不明)
備考:「野良猫と少女」が開始する少し前、滅びの黒勇者によって討伐された魔王。
滅びの黒勇者の力と同じく、負の情念を形にした呪いを用いて戦う。
しかし彼の場合は独力で成した力で、また世界に認められていない外法だった。世界に認められた滅びの黒勇者の力との差は歴然で、同じ性質故に単純な力比べとなり、出力差のせいで敗北した。
なにかを憎み、呪うことでなにかを害する力を使うが、彼の場合は「憎む」ことが先だった。憎んだが故に力を欲し、その結果獲得した。
反面、滅びの黒勇者は力を生まれ持って、起動するために「憎む」ことが必要だった。たとえ滅びの黒勇者の憎悪が本物でも、動機はあくまで「必要だったから」。
そのため、呪詛の魔王と滅びの黒勇者ではスタンスが違う。呪詛の魔王はなによりも世界を滅ぼすため、滅びの黒勇者は己の出自を理由にしていた。
皮肉なことに、自らの意志で世界を滅ぼそうとした魔王の方が力が弱く、「救世主として生まれたんだから」と無気力に世界を恨む滅びの黒勇者の方が力が強い。
レノラ・メイベン 日陰の魔女
性別:女
アルファベット表記:Lenora Maben
備考:類まれなる魔法の才能を持ち、新たなる法則を初めてものにした魔法使い。双子の妹にルミアを持つ。
新たなる法則の名は呪術。彼女が初めて成功させ、その後を追う形で彼女の妹が成功させた。
生い立ちや育った環境、抱えた病によって、知らず知らずの内に妹や魔法を憎むように。
既存の魔法を踏み躙るともとれる呪術に感じる愉悦、妹よりも自身が優れているのだという自負から、次第に呪術へとのめり込むように。
――病弱で、木陰に座って穏やかに微笑んでいるような娘。
――日の下に出ず、部屋にこもっては研究ばかりの魔女。
故に、彼女は〝日陰の魔女〟。自身を理解してもらうための努力を捨て、呪術の探究に傾倒し、唯一寄り添ってくれた妹さえ切り捨てた悲しき女。
ルミア・メイベン 日向の魔女
性別:女
アルファベット表記:Loumia Maben
備考:類まれなる魔法の才能を持ち、新たなる法則を初めに見出した魔法使い。双子の姉にレノラを持つ。
新たなる法則の名は呪術。彼女が考案し、それを聞いた彼女の姉が初めて成功させた。
生まれないはずの黒髪、不吉の象徴だとまで言われたそれを抱えながら、奇跡的なほど人を憎むことを知らない心優しい少女。
魔法の鍛錬を続ける内、魔法の仕組みを自分なりに感覚的に理解して、疑問を覚えた。それについて考えていく内、彼女は呪術の原点となる法則を考案する。
……しかし彼女は知っていた。魔法も、新しい法則も、所詮は〝手段の内の一つ〟に過ぎないということに。
人付き合いが図抜けて上手く、また人を愛してやまない善人である彼女は、人のなんたるかを感覚的に理解していた。
人の本質は多様性。あちらが立たずともどこかでなにかが立つものだと、ある種無責任に周囲を信頼していたのである。
故に、彼女は魔法にも呪術にもこだわらなかった。自分には、そして周囲には、もっとずっと価値あるものがあるのだから。
――活発で明るく、外で走り回ることが好きな娘。
――日の下に出て、常に誰かに囲まれて笑顔を咲かせる魔女。
故に、彼女は〝日向の魔女〟。あるがままに生き、あるがままの全てを愛し憎むことを知らず、だからこそその精神性を誰にも理解してもらえなかった悲しき女。
天使
性別:なし
アルファベット表記:(本名はパルムの言語で発音できない)
能力詳細:パルムに突如出現した、天使を名乗る醜悪な神の使い。
異世界からの漂流者であり、その異世界は樹木が世界を支える世界だった。イメージは北欧神話。
そんな世界の神とは、世界を支える樹木そのもの。日本の樹木信仰などとは全く違い、正しく樹木が神様をやっているし自我もある。なんなら動くし喋る。
その神の使いであるため、この天使も植物的な見た目をしている。木の根が寄り集まって人の顔と上半身を成し、葉のない枝のような翼で空を飛び、下半身は根っこが垂れ下がっている形状。
天使だと言うだけあって、木の根が寄り集まっている身体なりに起伏のある女性のような外見だが、間違っても人型などではない。
件の世界は、神が〝樹木という概念〟であるばっかりに、世界を支える神そのものが成長する。
物理的、概念的に拡大・成長を続け、それはいつしか一個の世界の中では収まり切らないほどにまで肥大化してしまった。
肥大化しすぎ、そして生産されすぎる神様エネルギー。世界を運営するだけでは到底使い切れないエネルギーを駆使し、樹木神様は世界そのものの拡張を試みたりしてエネルギーを使おうと画策する。
そんな〝供給過多のエネルギーの需要模索計画〟の内の一つがこの天使。
神の力を担い、神の意思の代弁を行える〝端末〟を作り、〝世界の外〟――真実なにもない空間。数多の世界はそこにポツポツと浮かぶように存在している――に派遣。
派遣された多くの天使は、世界間の航行の間に耐えきれず死に絶えたものの、この天使だけはパルムに到着。なんとか試みを成功させる。
ちなみに、世界には境界線があり、世界の外からのアプローチに対しては防壁のような役割を果たすため、本来は生半可な方法だと門前払いされるのだが……天使は植物らしく〝寄生〟に似た手段を用い、世界そのものに干渉。自身の写し身を世界の内側に投影している。
天使の目的は、あわよくば寄生した世界を樹木神様の世界のように作り替え、天使こそを新たな樹木として世界に根付くこと。
もちろん、基本となる世界創造の理念そのものが違うので、構造的に不可能。例えるならば、全く違う鍵穴に鍵を突っ込もうとするようなもの。
しかしそこは腐っても一世界の神の使い。神様パワーの強制力そのものはパルムの精霊王と同等なので、単純な出力差の勝負となり、歪な形ながらこの度寄生には成功している。
……が、世界の外からの侵略者ということで、残念ながら精霊王と到竜が対応する案件である。
片や、ガチ創造神と〝生物としての極点〟。片や、神の余剰エネルギーを編んで作った〝端末〟、それも世界の外側を旅して疲れ果てている。
勝ち目は本来なかったが、世界に寄生したことで、天使を殺せば世界も壊れかねないなんてことに。世界の内側、パルム現地人の手によって内側の天使を撃退する必要が出てくる。
予言者が本気を出す案件なので、尋常でない速度で対処が行われていく。
世界全土に広げられた天使の根。予言者の指示により、一部の者を除くほとんどの救世主が出張り、世界中で根の破壊が起こった。
大部分の根は人間の救世主が対処したが、世界共通の敵ということで、本来なら動かないはずの高位竜種や魔族領域の怪物など、正しく総出でフルボッコ。
せっかく内側に伸ばした根を端から切られ、堪らず力が緩んだところを到竜が引き剥がし、精霊王が叩く。あえなく天使は消滅し、残滓でさえ到竜に燃やされてしまった。




