勇者の調査
夜になりバンヘルトはリンナの家にくると……。
夜になりバンヘルトはラベンディアの町のリンナの家のそばに置かれている大きな銅像と壁の間に潜んでいた。
あれからバンヘルトはマイキア草原に暫く居たが一旦デルティアの洞窟に向かい考えることにする。
洞窟にくるなり色々と考えた結果、夜を待ちリンナの家に向かうことにした。
そして現在、周囲を警戒しリンナの家の中に入るタイミングを窺っている。
(警備の兵士がいない。普通なら何かあれば暫くの間は交代で監視するはずだ。誰も見張りをつけないって変だよなぁ……)
そう思い更に警戒しバッグの中から黒紫の球体を取り出した。
(異空間から取り出しておいて正解だった)
この黒紫の球体は【罠見分け解除の玉】と云う遺物である。そのままだと突っ込みを入れたくなるような名前だ。
リンナが名付けた。恐らくは面倒で適当に名付けたのだろう。
なぜバンヘルトが持っているのかと云うと。『これから必要になるからバンヘルトが持っていて』とリンナからもらったのだ。
(もう使うことなんてないと思ってたが)
黒紫の球体を掲げリンナの家に向ける。
《トラッルクキャセル!!》
小声で唱えた。
するとリンナの家が微かに発光する。だが、その光は【罠見分け解除の玉】を使用している者にしかみえない。
(罠が仕掛けられていれば赤く発光するはずだ)
ぐるりとリンナの家をみる。
(罠がない?)
家の中に罠が仕掛けてあれば対象物全体赤く点滅するはずなのに何も起きない。
(どうなってる? まあ……罠がないなら好都合。だがなんか気持ち悪いけどな)
そう思い警戒しながら扉までくる。
(本当に大丈夫なのか?)
周囲を気にしつつ扉に手をかけた。
(何も起きない)
不思議に思いながらも扉を開けて中に入る。
★★★★★
中に入るとバンヘルトは周囲を見渡した。
(暗いがなんとなくみえる……人の気配はないな。リンナを殺して、それで終わりってことか? だけど……なんでだ!)
そう思いながら家の中を歩きみる。
(物色した形跡がない)
一部屋ずつ調べていった。
(ここも変わっていない……工房の方をみてくるか)
そう思い工房へと向かう。
★★★★★
工房の中を探していると床に血痕があり、それを目で辿ってみる。
(殺害現場はここか?)
そう思い血のあとの終点であるテーブルへ視線を向けた。
(なんでここにある? 滅多に保管箱から出さないはずだ)
テーブルの上には鏡が置かれている。
(確か貴重な物だって言ってたな。真実をうつす鏡で名前は……【ミーネの鏡】だったはず)
鏡に手を添えた。
(まさか……誰かくることを知ってて、この鏡をテーブルの上に置いていたのか?)
そう考え鏡を持ってみる。
(確か……)
前にリンナから教わったことを思い返していた。
(まあ、やってみるか)
鏡の両端に設置されている取っ手を握る。
《ミラージュ ミラー 解!!》
そう唱えると鏡が発光し徐々に映像がみえてきた。
(やはりか…… グレンライズと逢う約束していた。そのため鏡をテーブルに設置して、ここで話をするように誘い込んだ。
話の内容……オレのことだ。グレンライズはオレが魔王に乗っ取られたとリンナに言っている。そのことをリンナは信じず反論した。
なるほどな……【本音本】か。テーブルに置いてあったのを開いて言わせたみたいだな。だが、そのせいでリンナは殺された)
【本音本】がある場所を探してみるも見当たらない。
(持っていったみたいだ。まあ……馬鹿じゃない限り気づくか)
鏡をテーブルの上に戻した。
(これは動かさない方がいい。変に勘ぐられても困るしな。とりあえず……何かバレないような物を持っていくか。このぐらい……リンナは許してくれるよな)
そう思い探し小さな物はバッグに入れて大きな物を異空間に放り込んだ。
(長居は禁物だ。そろそろ行くか……それに余計にツラくなるしな)
周囲をみたあとリンナに別れを告げる。ここに居なくても天には届くと思ったからだ。
リンナの家を出ると、デルティアの洞窟へ向かった。
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デルティアの洞窟までくると周囲をみる。
(誰も居ない良かった。まあ……洞窟に用がなければ休憩や寝泊まりするヤツなんて滅多に居ないからな)
棚から丸められた布を取ると地面に敷いた。
バンヘルトは布の上に座って壁に寄りかかる。
(これから、どうする? 恐らく他の仲間の所にも行くはずだ。だけど、なんでリンナのことを知っていた?)
どうして知っているのかと思考をフル回転させた。
(あー……そういえば、あの晩アルクに話したっけ。そうなると……オレのせいだな。早く向かった方がいいか……明日の朝早く出る。ただ何処に向かう?)
何処に行けばいいかと悩んだ。
(ここからだと……シオンの所が近い。と言っても七日ぐらいかかるけどな。その間、町や村へは立ち入れない。
ってことは……野宿か洞窟のセーフポイントを使って寝るしかないな。まあ……魔獣や魔物は襲ってくることはないだろうけどな)
そう考えが纏まり眠ることにしたのだった。
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