勇者魔王の[一日目]書類確認・⑸
バンヘルトが今日の対戦結果を最後まで読み終えると……。
最後の一枚をみて、やっと終わると思った。
……――明らかに読みが軽やかである。
《獣人族 男性》
・①番 ミケフェズ・ニャニャン(◯)
・②番 トラシド・スリゴロニャン(✕)
・③番 ライオドン・オウディア(◯)
・④番 トライデン・ジュンオウ(✕)
・⑤番 ゴリバン・ドラムドン(◯)
・⑥番 チンパン・ヤンキースキィ(✕)
・⑦番 カンガ・ルンバ(✕)
・⑧番 ベアキョウ・ガオウ(◯)
組み合わせをみて疑問に思い首を傾げた。
《獣人族 女性》
・①番 ミュウ・ピョン(◯)
・②番 ユキ・ターン(✕)
・③番 ハナコン・セツナ(✕)
・④番 ミイニャン・ネコ―ン(◯)
・⑤番 カナタヌ・ポンナ(✕)
・⑥番 バヒルン・ハイス(◯)
・⑦番 ホル・パン(◯)
・⑧番 リン・キン(✕)
……――読み終えたあと書類をテーブルに置き、やっとだと思い伸びをする。
「終わった〜! だが獣人族……これじゃ力の差がありすぎじゃないのか?」
そう言ったと同時に空間が裂けた。
「その通りだニャ!」
「この組み合わせじゃ納得いかないピョン」
空間の裂け目から猫と兎の獣人が現れる。
裂け目は何もなかったかのように音もなく消えた。
その声を聞きバンヘルトとルシファーナと幹部五人は咄嗟に身構え猫と兎の獣人へ視線を向ける。
「何者だ!?」
そう言いバンヘルトは猫と兎の獣人を順にみた。
「オイラはミケフェズ」
「ワタシはミュウだピョン。待ってても中々バンヘルト様に合わせてもらえないから魔道具を使って直接来たんだピョン」
二人は悪気のない表情でバンヘルトをみつめる。その仕草は可愛らしい。
「あーそうでした。別室にて待たせていたのです。お伝えしておらず申し訳ありません」
そう言いタウリグセは頭を下げたあと冷や汗をかいていた。
「オレに用があって城に赴いたってことか。だが勝手に入ってくるのはよくないぞ」
「申し訳ありませんですのニャ。ですが、どうしても話をしたく」
「お願いですピョン。この武道大会の組み合わせを見直してくださいピョン」
それを聞きバンヘルトは無表情のまま悩んでいる。
「そこの獣人族の二人……許可もなく直接バンヘルト様と会話をするなど無礼であろう。許可を得てなら別じゃが……」
「ライナネ……まあいい。確かにオレも獣人族の組み合わせがおかしいと思ってたところだ」
「と言いますと……我の落ち度になりますのじゃ。しかしながら三日間では、これがベストなはず」
獣人だけでなく種族を細かく分けるのは無理だと思いライナネは困り果てた。
「他の種族だと力の差はそうない。だが獣人族の全てとなると別だろう。だが確かにライナネの言う通り三日間では無理だ」
「でもさ……猫人族や他の弱い獣人族は間違いなく倒されるニャ」
「難しい……変更するにも時間がない。今更開催日を増やすのも難しいしな」
そう言いバンヘルトは俯き考え始める。
(どうする? これはオレの失態だ。ちゃんと対戦の組み合わせを確認していれば、こんなことにならなかったはずだぞ)
頭を抱えバンヘルトは思いっきり悩んでしまった。だが相変わらず無表情である。
「勝てないと分かってるから逃げるのか? 力がないから勝てない? それなら頭を使ったらどうだ!」
「ルシファーナ様……そう言われても無理だピョン」
「オイラ達の実力じゃ上位の獣人族に勝てないニャ!」
それを聞きバンヘルトは首を傾げた。
「ルナの言う通りだ。できないと最初から諦めるのはよくない。そもそも、お前たちは上位の獣人族と対戦したことがあるのか?」
「それは……ニャ」
「怖くて……そんなことできる訳ないピョン!」
ビクビクしながらミケフェズとミュウはバンヘルトをみる。
「うむ……戦わずして強さが分かるのか? 我は見た目では分からぬのじゃ」
「そんなの分からないニャ!」
「おい……やらねえで負けを認めてんじゃねえぞ」
余りにもミケフェズとミュウが対戦する前から弱音を吐いてるためダイゼンはイライラしているようだ。
「強い種族なんかにオイラたちの気持ちが分かる訳ないニャ!」
「確かにオレも分からない。オレら人間も弱い種族だと思う。だけど相手が強くても立ち向かう勇気はある。一人が駄目なら複数人と案を出し合い強くなろうとするぞ」
「その例がバンヘルト様……そして、お仲間でございますね」
そうタウリグセに言われてバンヘルトは頷いた。
「それは極一部だと思うピョン」
「最初から強いヤツなんていない。だから、どうやって強くなるのかを考え模索するんだ」
そう言いバンヘルトは無作為に遠くをみたあとミケフェズとミュウの方へ視線を向ける。
「オイラ達にもできるのかニャ」
「本当に強くなれるなら……努力でもなんでもするピョン!」
「お前たち次第だ。但し今すぐには無理だけどな」
それを聞き二人は頷いた。
「やれるだけ、やってみるニャ」
そう言いミケフェズとミュウは詫びの言葉を添えて一礼をすると扉から出て通路へとでる。
それを確認するとバンヘルトとルシファーナと幹部五人は再び話し始めた。
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