出会った縁4
ゴールデンウィークも中盤に差し掛かった頃、優香と彩夏が私の家に遊びに来た。
「お姉ちゃんたちとも遊んでくれるかな?」
少年は、小さく頷く。
「みんなで遊ぼうって思ってたから色々持ってきたよ」
彩夏が、机の上にトランプやパーティーゲームを並べ始めた。
「彩夏張り切りすぎ」
「優香だって楽しみすぎて寝れないから私に電話かけて来たくせに」
優香のつっこみに、彩夏が応戦する。
「君は、何で遊びたい?」
少年は、トランプを指差した。日が暮れるまで四人で遊んだ。
「そろそろ彩夏準備しよ」
「そうだね」
「準備って?」
「今日は、私たちが夜ご飯作るからゆっくりしてて」
「いいの?」
「いいからいいから。キッチン借りるよ」
その日の皆で笑い合った夕食は、今までで一番美味しかった。
それからも、優香と彩夏は、暇を見つけては我が家に来てくれた。
この日も、午前中から二人が我が家にきていた。
「この子の事は、私に任せて」
「え?」
「美咲は、彩夏と遊んできて」
「いいの?」
「うん。気分転換してきなよ」
「ありがとう。優香」
彩夏と電車に乗り込み、ショッピングモールに向かう。
電車に揺られながら、外の景色を眺める。友達と遊びに行く。それは、珍しくもなく普通なことだと思うし、思っていた。しかし、今の私は、当たり前のそれがとても楽しみでワクワクしていた。
ショッピングモールで私は、様々な服や雑貨を彩夏と見て回り、映画も観た。映画館を出た私の顔を彩夏が覗き込む、
「みーちゃん、あとどこか行きたいところない?」
「美味しいもの食べたい」
「いいね。じゃあ行こう」
彩夏に手を引っ張られ、一緒に駆けていく。
その日は、大学の講義が午前中で終わりバイトも無かったので、昼前に家に帰ってきた。
「ただいま。お昼ご飯すぐに作るから待っててね」
少年が来てから自炊に慣れた私は、すぐに昼食を作り終えた。
少年の対面に座り、両手を合わせる。
「いただきます」
「い、いただきます・・」
「え?」
小さな声だったが、はっきり聞こえた。
「話せるようになったの!」
「す、すこし」
「すごいじゃん」
少年は、恥ずかしそうに俯く。その姿が、愛おしくて。
私は、この時聞いた初めて少年の声をいつまでも忘れないでいたい。
セミの大合唱が鳴り響き、夏の日差しを受けた私は、背を伸ばす。
「テスト終わった~!」
「みんなお疲れ様」
「夏休み二人は、予定あるの?」
優香と彩夏は、互いを見て頷いた。
「四人で色んなところに行きたい。だから、美咲の時間を貸して」
親友たちの誘いを断るはずがない。
「うん。私たちを連れてって」
これから始まる私たちの長い夏休みに心が躍った。




