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異界管理者  作者: 幸人
10/22

出会った縁4

 ゴールデンウィークも中盤に差し掛かった頃、優香と彩夏が私の家に遊びに来た。

「お姉ちゃんたちとも遊んでくれるかな?」

 少年は、小さく頷く。

「みんなで遊ぼうって思ってたから色々持ってきたよ」

 彩夏が、机の上にトランプやパーティーゲームを並べ始めた。

「彩夏張り切りすぎ」

「優香だって楽しみすぎて寝れないから私に電話かけて来たくせに」

 優香のつっこみに、彩夏が応戦する。

「君は、何で遊びたい?」

 少年は、トランプを指差した。日が暮れるまで四人で遊んだ。

「そろそろ彩夏準備しよ」

「そうだね」

「準備って?」

「今日は、私たちが夜ご飯作るからゆっくりしてて」

「いいの?」

「いいからいいから。キッチン借りるよ」

 その日の皆で笑い合った夕食は、今までで一番美味しかった。

 それからも、優香と彩夏は、暇を見つけては我が家に来てくれた。

 この日も、午前中から二人が我が家にきていた。

「この子の事は、私に任せて」

「え?」

「美咲は、彩夏と遊んできて」

「いいの?」

「うん。気分転換してきなよ」

「ありがとう。優香」

 彩夏と電車に乗り込み、ショッピングモールに向かう。

 電車に揺られながら、外の景色を眺める。友達と遊びに行く。それは、珍しくもなく普通なことだと思うし、思っていた。しかし、今の私は、当たり前のそれがとても楽しみでワクワクしていた。

 ショッピングモールで私は、様々な服や雑貨を彩夏と見て回り、映画も観た。映画館を出た私の顔を彩夏が覗き込む、

「みーちゃん、あとどこか行きたいところない?」

「美味しいもの食べたい」

「いいね。じゃあ行こう」

 彩夏に手を引っ張られ、一緒に駆けていく。


 その日は、大学の講義が午前中で終わりバイトも無かったので、昼前に家に帰ってきた。

「ただいま。お昼ご飯すぐに作るから待っててね」

 少年が来てから自炊に慣れた私は、すぐに昼食を作り終えた。

 少年の対面に座り、両手を合わせる。

「いただきます」

「い、いただきます・・」

「え?」

 小さな声だったが、はっきり聞こえた。

「話せるようになったの!」

「す、すこし」

「すごいじゃん」 

 少年は、恥ずかしそうに俯く。その姿が、愛おしくて。

 私は、この時聞いた初めて少年の声をいつまでも忘れないでいたい。


 セミの大合唱が鳴り響き、夏の日差しを受けた私は、背を伸ばす。

「テスト終わった~!」

「みんなお疲れ様」

「夏休み二人は、予定あるの?」

 優香と彩夏は、互いを見て頷いた。

「四人で色んなところに行きたい。だから、美咲の時間を貸して」

 親友たちの誘いを断るはずがない。

「うん。私たちを連れてって」

 これから始まる私たちの長い夏休みに心が躍った。

 

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