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おそらのきみへ  作者: ひかり
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こうたろう

こうたろうの両親は20歳になる前に結婚した。

きっかけは中学の同窓会だった。同級生同士だったがお互い話もあまりしたことがなかった。たまたま、同窓会で隣に座って話をすると思いの外、意気投合し交際に発展した。高校を卒業後、お互いニートで遊び呆けているのも共通の話題となった。

父親が職に就いたのを機に結婚し、母親はこうたろうを妊娠した。

新婚生活、新しい家族、2人にとって新鮮なものだった。毎日が幸せいっぱいで我が子の誕生が楽しみだった。

しかし、年齢以上に精神的にまだまだ未熟だった。臨月頃になると、父親は夜遊びを始めた。母親はこうたろうが産まれてたら治るだろうと思って我慢していたが、日に日にエスカレートし、とうとう家に帰ってこない日が続き、たまに帰宅してもケンカが絶えなくなった。こうたろうの出産後もそんな状態が続いた。特に、こうたろうの夜泣きがひどかったので父親はほとんど帰ってこなくなった。

そして、こうたろうが1歳になる前に父親は家を出ていってしまった。仕事もとっくに辞めていたことを後で母親は知った。母親は出会い系サイトで知り合った男と交際し始め、その男が家に転がり込んできた。

この男がこうたろうの言う『あいつ』だった。はじめはこうたろうをかわいがり、遊んでくれていたが、なつき始めたこうたろうがだんだん鬱陶しくなって、怒鳴ったりなぐり始めた。そして、母親を連れて夜、遊び回るようになった。こうたろうは当然泣きながら母親を引き止めようとした。

「ママ!ママ!」

「うるさい!あんたの世話に疲れたの!息抜きぐらいさせてよね!1人で寝といて!」

こうたろうが夜ずっと号泣しているので近所の人が児童相談所へ通報した。それが、さらに虐待に拍車をかけた。また夜に遊びに出るとき、こうたろうが泣いても外に聞こえないようにポリバケツに閉じ込めて出ていった。

こうたろうはポリバケツの中で窒息死した。次の日の昼頃帰ってきた母親は救急車を呼ぼうとしたが、男が止めた。虐待で色々調べられるのが嫌だったからだ。ポリバケツをベランダに放置しておいた。腐乱臭に気づいた近所の人が警察に通報して2人は逮捕された。

「私がもっと早く気づいていれば…」

「町内会で話していたところだったのに…あの子は何にも悪くないのにね…」

「こうたろうちゃんの笑顔見たかった…」

ニュースでも大々的に報道され、近所の人たちは涙した。

こうたろうの魂はおっちゃんに生前の記憶を一時的に封印され『おそら』に連れてこられたのだった。

『おそら』の子供たちは生前の記憶を思い出すと生前に罪を犯していない人たちがいく『極楽』にいくか、生まれ変わるかの選択をしなければいけない決まりになっていて、こうたろうも記憶が戻ったときにおっちゃんから伝えられた。


「おっちゃん…もう1度だけ…ママに会わせて…」

嗚咽をこらえながらこうたろうがおっちゃんに頼んだ。

おっちゃんはこうたろうの頭を優しく撫でた。

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