ネクロマンサー
「起きましたか?」
「、、君は、、」
ここは何処だ?
部屋を見渡しながらベットからゆっくり体を起こす。
「ここは私の家です。そして、この世界はあなたが死んで300年後の世界です。」
「は?何を言って、」
「私の魔法で、傀儡として復活させました。」
何が何だか理解できない。死んだ?今は300年後?理解が追いつかない。
ていうか思い出せない。
「待ってくれ、なんだか頭がぼやぼやしてる。それに魔力もほとんど感じない。一体どうなっているんだ」
「順を追って説明します。どうか落ち着いて下さい。」
「、、、」
何が何だかわからないまま話が始まった。
「あなたは生前有名だったので死んだ後死体は保存されていました。そこで私はあなたの死体を盗み出して私の魔法で復活させたんです。」
「今サラッととんでもないこと言わなかった?死体を盗んだ?」
「盗んだは言い方悪かったかもしれません。正確にはあなたの墓が魔物によって荒らされていたのでどさくさに紛れて回収しました。結界が緩くなってたんだと思います」
結界が張られるほど俺の遺体は丁重に管理されてたのか。
「なるほどね」
「そして、私の魔法ネクロマンサーであなたの死体を傀儡として復活させたというわけです。」
「ネクロマンサー、、、」
ネクロマンサーとは、死体を操る魔法。習得することができない魔法で、魔法というより呪いに近い。昔は死体を操るという理由だけで迫害されていた。
魔族が使う魔法というイメージが強く、俺が生きている時はネクロマンサーという理由だけで殺されることも珍しくなかった。
「別にいいですよ。嫌われるのには慣れてるので。でも私の傀儡になったからには協力してもらいます。」
「別に嫌いってわけじゃないよ。ネクロマンサー使いが悪いやつじゃないのは知ってる。今まで会って来た人たちがそうだったし」
「だんだん思い出してきましたね。なにしろ300年ものをかなり無理やり復活させたので記憶は時間がかかると思います。残念ながら魔力は私依存だし筋力やその他諸々は生前の10分の1ほどです。」
だから魔力を感じなかったのか。体もなんだか重い気もするし、だいぶ弱くなってるな。
「魔力や筋力は私の魔法のレベルが上がるとだんだん戻ると思います。」
「なるほどね。それで、俺を傀儡として蘇らせた理由は何?」
「私の親友を死体を完成させたいの。そのためには魔法のレベルを上げないといけなくて、でも一人じゃ無理だから、、。」
そう言って彼女は俯いてしまった。これ以上の詮索はやめておこう。
「まぁ、俺に拒否権はないから。よろしく」
傀儡となった今では彼女の魔法なしでは生きられない。
「そうするしかないしね。私の名前はメグ・リーベスト。貴方は、、、」
名前も知らずに起こしたのか。
「リベラ・ベゴニア。リベラでいいよ。よろしく。」
「そう。よろしくリベラ。私のことはマスターって呼んでね。後、私はもう寝るからその部屋にある本とか読んでいいよ。まだわからないことだらけだろうし。多分傀儡って眠くならないから。」
言われてみればお腹も空かないしもしかしたら三大欲求が消えてるのかもしれない。
「ありがとう、そうするよ」
「じゃあ私は寝るから。おやすみ〜」
そう言って彼女はこの部屋から出た。そしてガチャっと鍵を閉める音が聞こえた。そういう信用されてないのは内心結構心にくる。マスターって呼ばせるなら少しくらいは信用してくれ。
俺は部屋の本棚を物色して、一番ボロボロな本を手に取った。
『魔王討伐記』
と書かれたその本は勇者たちが魔王を討伐するまでを綴った伝記だった。文字が同じで少し安心する。読み進めたが俺の知ってる名前は出てこない。俺が死んだ後に起こったことなのだろう。
「ハァ〜」
大きなため息が溢れる。この世界に俺を知ってる人はいない。生前僕はパーティーを組んでたような気がするけどそれすら思い出せない。
窓から差し込む月明かりだけは変わってなくてよかった。
この夜は本を読み耽り、世界に適応する時間に使った。変わっていることも多いが僕にできることは昔から頑張るしかない。
右も左も分からないが記憶を思い出すためにも俺はこの世界で彼女のために頑張るしかないと理解した。




