19話
投稿が遅れてすみません。それでは続きです!
輝と雪姫は次なるダンジョンである"荒れた砂漠"へと入っていった。
「あ、暑い…!」
入ると、そこは太陽が燦燦と降り注ぎ、雲一つない青空が広がっていた。そして、乾いた砂が地平線の彼方まで広がっており、砂だけでなく、あちこちに建物らしき残骸が砂に埋もれていた。
「確かに暑いですね。体感温度は32度といったところでしょうか」
「このダンジョンは長期でいるのは危険だな早めに攻略しよう」
「その方が賢明ですね」
輝と雪姫は進むたびに、足がまるで水の中に沈むように砂へと埋もれていったが、不思議と重さは感じなかった。
多少、足が砂に埋もれる程度で、そこまで体力は使わないみたいだな。問題はこの暑さだ。この環境で、戦うとなると、体力がほとんど暑さで、もってかれるな…。
輝がそんなことを思っていると、突然、気配を感じた。この気配はLv1のダンジョンでも経験したような魔物が出てくるような気配であった。
「来る」
「ええ」
目の前に三つの魔法陣が現れ、光を放ちながら、魔物が現れた。
Lv5 サンドリザード×2
Lv7 キャメラン
二体は同じ魔物であり、四足歩行で、体長は2mはあるトカゲの姿をしていた魔物であった。そして、残り一体は二足歩行で、長い首と骨ばった四肢を持つラクダ型の獣人で、背には瘤のような岩質の甲羅があり、体長は1.7mほどであった。
「トカゲとラクダの化け物か」
ちょうどいい、俺がどれくらい強くなったのか。試すチャンスだ。あのLv1のボスモンスターを倒したときのステータス上昇がどれほどか!
輝は剣を抜いて真っ先に飛び出した。それに続いて、雪姫も剣を抜き、後に続いた。
すると、向かってくる輝と雪姫に対し、サンドリザード二体は口を開けて、大きさは直径1mはある巨大な砂球を放った。
輝は目の前の砂球を剣で、相殺した。相殺された砂球は散布され、輝と雪姫の視界が砂に覆われた。
「くっ!目に砂が」
「私も目に少し砂が」
輝は必死に瞬きを繰り返し、涙を無理やりに滲ませて砂を洗い流した。視界がかすかに戻ったその瞬間、空気を裂くような殺気が正面から迫ってくるのを感じた。
───その正体はサンドリザードであり、口を大きく開け、輝を喰らってきた。
輝はまだ視界が完全に戻ったわけではないが、気配を頼りに斬撃を与えた。
シュインッ!ズシャッッ!
サンドリザードは頭と胴体に分かれ、消滅していった。
雪姫は少し目に砂が入った程度で、視界は砂で遮られていなかったため、襲ってくるタイミングで斬撃を与えた。
シィン!シュバッ!!
もう一体のサンドリザードも雪姫の斬撃をくらい、消滅していった。
───すると、雪姫がサンドリザードを倒した直後に、まだ砂煙がわずかに残っている中で、突然、雪姫の前方からキャメランが現れ、素早い動作で殴りつける。
いつの間に…。
雪姫は突然、自分の前にキャメランが現れ、拳で殴りつけてくる動作に少し肝を冷やしたが、冷静に剣で防ぐ。
ガギンッ!!
拳の威力により、立ったままの態勢で、地面を足の裏で掠りながら、後退した。
キャメランが走り出し、拳で殴りつける。
───すると、キャメランの横から輝が斬りつける。
シュンッ!ズシャッ!
キャメランは斬撃の威力のあまり空中で弾け飛ぶかのように吹っ飛んだ。
「雪姫大丈夫か?」
「ええ、私はなんとか。あとはお任せしてもよろしいですか」
「ああ、分かった」
Lv7…昔の俺だったら、倒せるか危かったけど、確信を持って言える…。こいつは倒せる!
輝はそう意気込んで、剣を構える。
──キャメランはターゲットを雪姫から輝に切り替える。すると、キャメランは口から大きく息を一気に吸い込んだ。
息を吸い込んだ!?まさかブレス系の攻撃か…!
息を限界まで吸い込み、口を膨らませながら、一気に地面へと解き放つ。その解き放つものは息ではなく、大量の水であった。
地面だと!?しかも息じゃない。水!?
すると、今までサラサラであった砂が水が浸入し、まるで沼のように地面がぬかるんだ。その範囲は直径30m以内がぬかるみになっていた。
「こいつ…吐いた水でぬかるみの地面で動きを封じるやつか」
ぬかるみの地面…。これでは自由に動くことは不可能ですね。さて、夜宮さんはどう動くのか。
雪姫はそう思いながら、輝のどのような行動を取るのかを見極めた。
キャメランは輝の行動が封じられるのを確認すると、ぬかるみに走り出した。
なっ!こっちに向かってきた!馬鹿なのか…。お前までぬかるみで行動が制限されるってことを…。
輝は自分と同じようにぬかるみに浸かり、行動が封じられると思った。
しかし、そのぬかるみに入った瞬間───
キャメランはスピードを落とさず、こちらに接近してきた。
嘘だろっ!動きづらいはずなのに!なぜあんな平然と動けるんだ!?
輝はキャメランの地上同様に平然と動けることに驚いていた。
あの魔物はぬかるんだ地面でも、動ける性質を持っていると言わんばかりに、減速することはなかった。
キャメランは輝の間合いに入り、拳で殴りつけた。
「かはっ!」
その威力は骨まで届く痛みであり、ぬかるみになっている地面に倒れた。すぐさま、輝は起き上がろうとする。
───キャメランはさらに追撃をし、拳の連打を放った。
ジュドドドドドド!!!
輝はその連打になすすべもなかった。キャメランの連打により、身体がぬかるんだ地面に沈み込んでいく。
まずい…息が…
輝の顔はすでにぬかるんだ地面に浸かっており、呼吸ができずにいた。しかし、連打は止まらず、輝は沈む一方であった。
夜宮さんも所詮はあの人たちと同じレベルですか。あの触れた瞬間、全身を電撃が走った感覚で、潜在的な強さに期待はしていましたが、私の勘も鈍りましたね。
雪姫は剣を抜き、キャメランを倒す行動に移る。
しかし、その瞬間───雪姫は何かを感じ取り、キャメランの攻撃をやめた。
すると、連打をくらい続けていた輝はキャメランの腕を掴み、こちらに引っ張った。キャメランは必死に抵抗する。その抵抗する動作を利用し、ぬかるんだ地面から脱出する。
輝は剣の持ち方を変え、切っ先をキャメランの喉元目掛けて突き刺す。
ズチャッ!!!
メゲェェェェェ…
さらに輝は突き刺したまま、ぬかるんだ地面へと押し倒す。キャメランは喉元を貫通されながらも、叫び声を出し、あちこちに泥をまき散らしながら、必死にもがいていた。
しばらく、もがいていたが、やがてシンと静まり、消滅していった。すると、輝と雪姫がいる範囲のぬかるんだ地面が次第にサラサラな砂へと変わっていった。
「はあ…はあ…危なかった」
輝は何とかキャメランを倒せたことに安堵した。
まさあ…あの不利な状況からキャメランを倒すなんて…。さすがですね。やはり、あの人は私のご主人様になる可能性は少しですが、私の中で確信に近づいてきました。もう少し様子を見る必要がありますね。
「雪姫、無事だったか」
「ええ、私は大丈夫です。それにしても先ほどの戦い見事ですね。あの状況から勝つなんて」
「いや、正直、危なかったよ。あいつの腕を掴んだ時、に蹴りでもくらってたら、二度と起き上がれず、死んでたと思う」
「それでも、あの土壇場で、勝てたのはあなたの実力ですよ」
「ありがとう。雪姫も強いな。サンドリザードを一撃で倒すなんてな。こんな弱い俺でもよく分かるような無駄のない動き。すごいよ」
雪姫はそう言われ、顔を赤くし、思わず、輝の顔から目を逸らした。
「どうしたんだ」
輝は彼女が突然、自分の方から顔を逸らしたので、不思議に思い、聞いた。
「べ、別になんでもありません。さあ、暑いですし、早く進みましょう」
「ああ、分かった」
雪姫はそう言って、輝もそれに従い、先へと進んでいった。
次回 20話




