18話
続きです。
Lv2 フロア1攻略編に入りますので、よろしくお願いします。
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暗闇の中で炎が両サイドに燃えており、得体の知れない不気味な空間であった。その奥に怪しげな黒い仮面を被った男がおり、その男の目の前には同じような仮面をつけていたが、デザインが異なり、笑っているのか苦しんでいるのかを判別することができない不気味な仮面をつけた者がいた。
「遅かったな。ミスト」
「申し訳ございません。母の看病で遅れてしまいました」
「そういえば、お前には病気を患ってる母親がいると聞いたな」
「はい、それで俺を呼んだ理由は何でしょうか」
「仕事の依頼だ。お前に新人攻略者を殺す任務だ」
「攻略者…!」
ミストは拳を握りしめ、歯ぎしりをしながら、怒りが籠った言い方で言った。
「そういえば、お前も元攻略者だったな」
「はい、あの日の出来事を思い出すだけで沸々と、怒りが湧いてくるんですよ」
「だからこそ、お前には最適な仕事だと思うが、引き受けてくれるか」
「はい、もちろん引き受けますよ。忌々しい攻略者を殺せるなんて願ってもないこと」
「さすがだな。ここからだとユグニアまでは6日かかるからなしっかり準備をして行くといい」
「はっ!承知いたしました」
ミストは殺す対象のリストをもらい、ユグニアへの出発準備をした。ミストがその場を去ると、二人ほどがボスの前へと出てきた。二人とも同じヴェネチアンマスクのように、口元が開いており、鼻から目までは隠れていた。
「おいっ!ボス。俺もユグニアへ行かせてくれよ。ミストだけずりぃぞ」
「イーグルか。君にも丁度、新人攻略者を殺してほしいと思っていたよ」
「へっ!なかなか気が利くじゃねえかボ…」
すると、イーグルとボスの会話の途中で、横から勢いよく何かがイーグルを壁に押し付けられた。
「ボスに対する無礼、万死に値する…」
「ウォッチャー…てめえ…何しやがる」
横から押し付けてきた正体はウォッチャーと呼ぶ者であった。ウォッチャーはイーグルの服の端を剣で突き刺し、壁に拘束する形ではりつけた。
「いいよ。ウォッチャー、私は別に怒っていない。彼を離してくれ」
「御意、ボス」
ウォッチャーはボスにそう命令されると、服の端を突き刺した剣を抜き、鞘へと仕舞った。
「てめえ…俺を殺そうとしただろ」
「ボスに対する無礼をしたあなたが悪い」
「は"あ”!!?どうでもいいだろうが!!!ぶち殺すぞ」
「そう。あなたがそういう行動するなら、私もあなたを殺さざるをえない」
二人はバチバチに殺気を放ちながら、戦闘態勢に入った。その最中、奥から全身に寒気を感じる巨大な殺気が二人を襲った。両者はその殺気に圧倒され、思わず腰が抜けてしまった。
「や め る ん だ 。二 人 と も」
ボスがそう言うと、ウォッチャーはボスに向かって、膝をついた。
「も、申し訳ございません!!ボス!お見苦しいところをお見せしました!」
「分かっているならいい」
「すんません。ボ、ボス」
「この組織は殺しを生業としているから、血気盛んなやつも多い。せめて仲間内での争いはやめてくれよ」
「も、もちろんです!」
「イーグル」
「は、はい」
「お前がユグニアへ行くのはミストがやられてからだ。それまでは待機だ」
「分かったぜ。だが、あいつが新人攻略者相手に苦戦するほどそんな軟じゃねえぜ」
「まあ、あくまでお前は保険のような役割だ」
「はあ…分かりました」
イーグルは渋々、ボスからの任務の条件を承諾した。
その頃───
「さて今日もダンジョン攻略に向けて頑張るか」
輝は昨日の買い出しで、買った薬草を20個ほどアイテムボックスの中に入れた。加えて、次は砂漠ステージということで、水分補給が必要になってくると思い、ボトル入りの2Lの水を念のため、5本入りを6セットほど入れた。
しっかし、アイテムボックスって便利だな。物を持たずに、収納できるなんて。まあ、その分取り出すのは面倒だけどな。
輝は寮を出て、攻略者協会へと足を運んだ。寮の1階に降りると、そのロビーに誰かがいた。
「昨日ぶりですね。夜宮輝さん、あなたを待っていました」
そこには昨夜に出会った青紙のメイド美少女、雪姫奏がいた。
「雪姫だよね」
「はい」
「俺を待っていたということは何か用か?」
「実は夜宮さんにLv2のダンジョンの攻略をする際に協力をしてほしいんです」
「協力?それって、パーティを組むってこと?」
「まあ、そうですね。仮のパーティみたいなものです」
天川みたいにまた、仮のパーティか…。いつになったら、正式なパーティを組めるんだ。
「どうします?」
「分かった。俺としても仲間がいるのといないとでは攻略難易度が段違いになるから、助かる。だが、その前に疑問がある。なぜ俺と組むんだ。俺じゃなくても、他にも組むやつはたくさんいただろうに」
「それは…すみません、言うことはできません」
どうやら、何か訳アリな感じか。まあ、ここではあまり詮索はしないでおこう。
「分かった。まあ人にはそれぞれ言えない理由があるわけだしな」
輝と雪姫は仮のパーティを組み、攻略者協会へと向かっていった。ダンジョンのある部屋へと入っていくと、そこには何人かのパーティの塊で、行列を成していた。受付では、犬飼があたふたと手続きを進めるのが見えた。
「結構、たくさんいるな」
「そうですね。おそらく、ダンジョンの情報関係の伝達を行っていますね」
「へえ…俺がダンジョンに入るときはそういう情報は教えられなかったな」
「このフロア1のダンジョンギミックは上のフロアと比べて、そこまで難しくありませんからね」
「ダンジョンギミックってボスエリアだけじゃなかったか」
「確かにダンジョンギミックはボスエリアにありますが、それ以上に上のエリアになれば、なるほどダンジョンエリア全体にギミックがあり、良くて軽傷、悪くて重症、もっとも悪い時には即死もあり得ます。なので、こうして情報を聞くことができるんですよ」
そういえば、天川も似たようなことを言っていたな。
「雪姫は詳しいな」
「この程度なら、常識ですよ」
「俺は遠いところから来たからそういう常識はよくわからないんだ。良ければ、また分からないときは色々と教えくれると助かるな」
雪姫は輝からそう言われると、頬を少し赤くした。今まで自分が人から素直に頼られるなんて今までなかった。それによって、嬉しさと同時に、彼に対する気持ちが少し揺れ動いていた。
しばらくして、行列が減っていき、ついに受付の番が輝と雪姫が回ってきた。
「お待たせしましたニャ。本日はどのダンジョンを攻略しますかニャ?おやっ、夜宮さんと雪姫さんじゃニャいですか」
「はい、Lv2の攻略に行けますか」
出会うのは三度目だが、相変わらずの可愛らしさと猫耳のカチューシャが可愛いな…。
「分かりましたニャ!それにしても二人がパーティを組むなんて珍しいですニャんね。何かありましたのかニャ。もしかして、雪姫さんは夜宮さんの彼女かニャ?!」
「違いますよ」
即答~!まあ、事実だけど、それにしても会話の応答が正確すぎる。本当にメイドみたいだ。
「う~ん、まあいいニャ。君たちの関係については詮索しないでおきますニャ」
「はあ…はい」
「それでLv2のダンジョン攻略なら、攻略者証を見せてもらえますかニャ」
輝と雪姫は攻略者証を呈示した。
「オッケー、確認しましたニャ。次のダンジョンは"Lv2 荒れた砂漠"ですニャ。ここ砂漠ステージでも気温は低いですがニャ、進めば、進むほど気温が上がってくるのでご注意ですニャ。最高気温で40度ですニャ」
砂漠といってもそこまで気温は高くはないな…。だが、暑い事には限らないから、水分補給に気を付けることか。
「Lv1のダンジョンの隣がLv2のダンジョンになりますニャ。幸運を祈りますニャ」
「分かりました。ありがとうございます」
輝と雪姫は犬飼の指示に従い、Lv1の隣の入り口へと入っていった。
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