12話
投稿がかなり遅れましたが、続きになります。
ウォォォォォォォンンン!!!!
フォレストヴォルフの雄叫びを上げると、その雄叫びの威圧が視界を遮るほどであった。
なんつう…威圧だよ、これがこのダンジョンのボスか…。
輝と天川は戦闘態勢に入った。すると、目の前の遠くにいたフォレストヴォルフは一瞬にして消えた。
消えた…どこに…
輝が探そうとすると、突然、自分の前に巨大な尻尾が現れ、上から高速でたたきつけてきた。
「がはっ!!」
「夜宮!」
馬鹿な…複雑に木々が入り組んでいるのに、こんな素早く動けるのか。
すると、フォレストヴォルフは天川をターゲットにして、飛び上がり、手を使って襲いにかかった。
────天川は手の攻撃を剣で防ぐ。
キィィィン!!
うおっ!!前のウッドロックの攻撃よりも威力が重い…!!
天川は必死に剣で防ごうとするが、逆に押し返され、ぎりぎりであった。
その時────
『聖光斬』
光の斬撃がフォレストヴォルフの背中を斬り裂いた。
ギャウウウンッ!!
フォレストヴォルフは叫び、天川への攻撃を中断した。天川はその生まれた隙を見逃さず、スキル技を放った。
『烈風閃』
ズシャンッ!
すると、また斬撃をくらい、フォレストヴォルフはのた打ち回った。それを見て、天川はダメージを与えた後、すぐさま距離を取り、次の攻撃に備えた。
助かった…あの攻撃まさか…
「はぁ…はぁ…はぁ…」
天川は遠くを見ると、疲弊している輝の姿であった。
「夜宮!無事だったのか!」
「ああ、なんとか…でも、さっきの攻撃が俺には効きすぎた。次、あの攻撃をくらったら、確実にやられる…天川はあの動きが見えたか?」
「ああ、かろうじてだが、それより驚いたのはあの素早さだ。木々が複雑に入り組んでいるにも関わらず、あんな素早く動けるなんてね…さすがボスモンスターって感じだよ。攻撃力もウッドロックを軽く上回るほどのパワーだね」
やっぱり、天川はすげごいな…。修行の成果の片鱗が垣間見える感じがする。でも、すごいって憧れてるだけじゃだめだ。この世界はステータスの概念があるが、その数値を越えた力を発揮するしかない。
すると、輝は背後から物凄い威圧を感じ取った。その威圧は圧倒的強者を思わせるものであった。すぐさま、振り返り戦闘態勢に入った。
ウォォォォォンンンンン!!!
フォレストヴォルフは高い唸り声を上げ、物凄いスピードで、その場から消えた。
「消えた!?」
輝が急に目の前からフォレストヴォルフが消えたことに、驚いた。
「いや、違う上だ!」
天川が上の方向を向いて、そう叫んだ。輝も同様に上の方向を見た。よく見ると、何かが風を切るように木々の間を高速で動き回っていた。
「天川、あいつの動きを把握できるか」
「さっきより、早くて目で追うのは厳しいね…というか全く追えない」
「まじかよ」
天川でも、あいつの動きを目で追えないほどなのか…!これがLv10。
「来るよ!上から!!」
天川が叫び出すと、すぐさま輝と天川は走って、うんと遠くへと離れた。離れている最中に轟音が空間全体を響き渡せたが、気にせず真っすぐに走ることだけを考え、ひたすら走った。
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「ここまで離れれば、大丈夫かな」
天川はかなり遠くまで走って、かなりの距離を移動したので、一度立ち止まって態勢を立て直した。
「はぁ…はぁ…はぁ…天川どうして遠くまで離れる必要があったんだ。見える範囲まで離れればよかったんじゃないか」
「いや、あの時は嫌な予感がしたんだ。見える範囲にいたら、確実に死ぬんじゃないかって思った。でも、勘でその場を離れたら、さっきの轟音を聞いてそれを確信したんだ」
さっきの轟音…。確かに離れている最中に聞こえたな…。
「それに場所も悪かった。あんな障害物が多い場所で動き回るのは僕らにとって不利な状況だったし、この場所は多少障害物があるけど、動きやすい場所だからね」
地の利ってやつか…。俺が見ていたアニメでも地の利を意識した戦法もあったな。
そう思いながら、輝は天川の方を見ると、その背後に巨大な青純色の物体が突然現れた。
「天川!!後ろ!」
それは一瞬の出来事であった。先ほどまで天川の背後には何もいなかったはずなのに、いつの間にか音もなく、天川の背後に現れた。
輝は大声でそう叫ぶと、天川は振り返り剣を構え直す。
しかし──。
ズシャァァァァッッ!!!
「ごはっ!」
「天川!!」
天川は剣を構え直す前にフォレストヴォルフの爪で腹を貫通された。フォレストヴォルフは深くまで突き刺し、そのまま天川を遠くまで投げ飛ばした。
まじかよ!天川も気づかなかったのか…!いったいどうやって背後に…。
ウォォォォォォンンン!!!!
フォレストヴォルフは雄叫びを上げ、輝の方を見ると、こちらに高速で加速してきた。
シュンッ!キィンッッ!!
──輝はかろうじて剣で防ぐ。そこから輝は全力で、はじき返し、斬撃を与えた。
ズシャッ!
しかし、ダメージ的には皮膚を斬った程度であった。
まじか…!スキルなしの斬撃でかすり傷程度かよ…!
輝はスキル技を放とうとするが、すでにフォレストヴォルフの姿はなかった。
どこに行ったんだ…
輝がフォレストヴォルフを探そうとした瞬間、背後から巨大な複数の爪が腹を貫通した。
「ごはっ!!!」
そのまま高く輝を飛ばして、その空中を尻尾で素早く地面に叩きつけた。
シュンッ!バチィィン!!
輝はそのまま地面に叩きつけられた。
何が起こったんだ…もう…動けない…死…
輝の目の前は暗闇の世界へと変わっていった。
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『ここは…』
輝は目を再び開けると、さっきの森とは異なる場所であった。そこは見覚えのある懐かしい部屋で、沢山の本棚に、勉強机やベッドが配置されていた。
『ここは俺のいた世界の部屋…』
『君は僕がいないとやっぱりダメだね』
輝は声のする方を見ると、そこにはかつての幼い少年がそこにいた。
『お前は何者なんだ』
『君が一番よく知っているはずだよ』
『ふざけるな…俺はお前を知らない!』
『ふうん…君はそうやって僕を遠ざけるんだね』
『遠ざける?どういうことだ』
すると、自分の周りの空間が歪み、急に雨が降っている場所へと出た。
『なんだ急にどこかに飛ばされた!?』
『ほら見てみてよ』
少年が指を差した方向を見ると、そこには4人の死体が散乱していた。
『なっ!し、死体!?でもどこかで見たことあるような』
輝はその死体を確認すると、そこにはかつての友人の死体であった。
『あ……綿村…蔵元…松下…真花ちゃん…』
輝はそれを見て、トラウマが蘇り、その場で嘔吐した。
『君の友達…いや親友たちだよね。特に真花ちゃんは思い入れのある子だったよね』
『俺のせいで…俺のせいで…俺のせいで…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…』
『そう…全部君のせいだよ。あの時、君が守れなかったから』
『俺のせいで』
『そして、君は異世界に転移して力を得た。でも、また君のせいで仲間が死んじゃうね』
『嫌だ…嫌だ…嫌だ…嫌だ…嫌だ…』
『あの時みたいに繰り返したいの?』
『嫌だああああああ!!!!!』
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輝はそう叫ぶと、突然、死にかけていた輝の身体は赤いオーラのようなものが湧き上がり、目を大きく開けた。
──その頃、遠くまで吹っ飛ばされた天川は何とか立ち上がるのが精一杯で、両足を交互にゆっくり動かしながら、フォレストヴォルフのところまで向かっていた。
「夜宮…無事でいてくれよ…」
そう天川は輝の無事を切実に願うのであった。
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