表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/25

■第22話「氷の巨塔②」

『我々が書き上げた『本』は、単なる魔導書ではない。世界そのものが分割されて封じられている。いつの日か、この本を携えてこの地へ戻ってくることを信じている。選ばれし者よ』

“The "book" we have written is not merely a grimoire. It contains a division and sealing of the world itself. I believe that one day, you will return to this land with this book in your possession. O chosen one.”

今、オレは、そびえたつ氷の塔の前に座り込んでいる。

まあ、ひとり作戦会議ってトコだ。

この「氷の書」の力は、リスクなしで無限に使えそうなんだが…。

ここは元々が氷に覆われた世界だ。外からは入れねぇ。

外からよじ登って、最上階には窓らしき隙間があったんだが…中からの攻撃で地上まで落とされちまった。

まったく、やってくれたぜ。

おそらく向こうの方が、氷の「強度」ってやつが上なんだろうな。


だが…確かにあそこには「ゲート」があった。

航大さんが言っていた“二層の光の環”…。

あそこから出られるのは、間違いねぇ。

問題は、どうやってここを登るか…だが。


冷気に体力が削られていくのを考慮すると、もってあと半日ってトコか。

正面突破しか残されていないが、この扉をどうやって開けるか…。

取っ手も鍵穴もねぇ。突き破るしかないだろう。

リュックの中のアイテムの殆どは、落下時にぶっこわれちまったんだが。


「ラストにこいつが使えるとはな、ラッキーだったぜ」


試練としては反則なんだろうが…今更だぜ。

「へへっ。冒険者アイテムの一つ『アフタヌーン・バーナー』」


特殊な熱線で1000度まで出力できる小型バーナーだ。

だが、最大火力はせいぜい1分だ。…いけるか?


…ゴォォォォォォォ…


細い熱線だが、確かに効いてる。

よし! 破れそうだな…っておいっ!!

…チッ、穴としては貫通したが、せいぜい1センチ大の穴だ。


「だが、これなら“冷糸(れいし)は通せる”。『1-1 コルド・フィンガー』でな!」


シュルシュルシュルルルルルル…

指から出た冷気の触手が、氷の扉の裏側をくまなく()い回る。


「かんぬき…があるな。『“固質化” 3-1 ルーン・ビルド』!」


ガキガキガキッ…!

氷の糸がそのまま固まる。


「へっ、皮肉にも、墓泥棒とは良く言われたもんでね…“硬化!”『3-3 ルーン・ステイン』!」


ビキキキキッッッッ!!


氷の針金が出来上がる。あとはテコの原理…で。


ガッッチャン…

かんぬきが抜け落ちた音だ。


「よし」


あとは、片手で簡単に扉を押し開けることが出来た。


「ヘッ。反則上等ってね。待ってろよ、最上階のヤロー」


中に入ると、、、氷で出来ているとは言え、造りはしっかりとしていた。

まるで氷の世界のホテルって感じだが、誰かがいる…って気配は全くないな。


「やはり、最上階のアイツか…」


階段を探す。左右に二つか。


「俺は右派なんでね」


右側にらせん状になっている氷の階段を上る。すると、武器庫の様な小部屋に出た。

様々な武具を模した氷の模型らしきものが並んでいる。

だが、所詮は氷。一振りでもすれば壊れそうなものだが。


「何かある…とすれば」


オレは手近にあった、氷の斧を手に取り、外壁に強く切りつけてみた。


ズガガガガガ。


同じ氷のはずなのに、斧には全くダメージが無く、壁が削れていた。

「やっぱり…氷にも強度があるのか…? 質か…何か種類が違うってのか?」


オレはハッとする。…氷の錬成術…!

オレは咄嗟に『本』に目を通す。

錬成自体は載っていないが…、さっき橋を作った要領…で!


『2-2 アイス・ブロッキング』と『3-3 ルーン・ステイン』を同時発動!

加えて…『4の章、1の節。蓮氷(れんひょう)!!!』


オレの前には、強化された氷が形を変え、そっくりな斧を作り出した。

クロカの用意したこの結界世界の中じゃなかったら、とても使えない大技だ。


「さて。ここからだが」


オレが作った氷の斧を、さっきと同じように壁の亀裂に打ち付ける。


ガキィィッィィィィィン…


「ッッッッ!!」


思わず両手を離す。とんでもない衝撃だ。

斧は折れてこそいないが、ところどころ亀裂が入ってやがる。

氷の壁は……ダメだ効いていない。

しかも、時間と共に徐々に修復されて来ている。

アイデアは悪かなかったが、オレの錬成はまだまだ甘いってことを認めねぇとな。


「ま、ここにある氷の武具で壁に穴開けて、最上階に外からリベンジって手段もあるが…」


…いや、やめとこう。最上階の内部がどうなっているかも分からないし、さっきのヤツの攻撃もやばかった。

とりあえず、この氷の武器庫は使えそうだな。

いくつか、持てる武器を巻き付けて部屋を出た。


ビキビキビキッ…バラバラバラ…。


「!!」


部屋を出た瞬間、氷の武具は砕け散って見る影も無くなってしまった。

この部屋でしか使用できない…だと?

…チッ…持ち出し禁止…塔の機密ってやつかい。

オレはもう一度部屋に引き返して、辺りに隈なく目を見張らせる。


「……………………。」


この部屋には≪意味≫がある。それは紛れもなく、“氷から錬成する技術”だ。

…もうひとつ、試してみたいことがあった…

オレは、もう一度両手をかざして唱える。


『2-2』×『3-3』×『4-1』。使うのは同じ公式だ。だが違うのは…!


ピキィィィィィィン…!


…今回生成したのは盾。それも大型の雨傘くらいはある重量級。

試すのは、もちろん“強度”だ。


氷の武器庫に残っている武器を探す。…適したエモノは決まっている。槍だ。


「ホコタテ検証といこうじゃねーか」


オレは氷の槍を手に取ると、渾身の力で、出来立ての盾めがけて振り放った。


バキィィィィィィン! …カラカラカラ…ン。


何てこった。オレ特製の盾が真っ二つに割れちまった。

やはり、根本的に何かが違う。錬成するための「何か」…!?


「チッ。このまま先に進んでもいいんだが…」


オレの直感が言ってやがる。ここで“強化”を学んでおかないと、後がヤベェってなぁ。

…考えろ。そもそもこの世界はクロカの与えた『試練』なんだ、この『本』の中に必ずヒントはある。


…次回へ続くぜ。

この「氷の武器庫」には、錬成に関する情報が必ずあるはずだ。

オレは自分の直感を信じて、その謎を解き明かす。

トレジャーハンターを舐めるなよ。


次回、『氷の巨塔③』でまた会おう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ