㉟思惑
《ドルフ王国、王都ラングレン》
スローの話を会議室で国の重鎮と聞いた国王レイノルズは目をつむり深く考えた。
最近代替わりをした若き王は、安易に答えを出さず深く考える。
「他国と摩擦は多少ありますのでヌエを王国で取り込むべきでは?」
「それはよいな!ヌエの力があれば世界を手に入れるのもできよう。」
「ヌエなど国にいられては他国に警戒されるから討伐するべきでは?」
「わが国は長い歴史がある!ヌエに滅ぼされた村や街も存在する。借りを返すのも道がしれませんな。」
様々な意見を聞き、王は目を開ける。
「ブライアンが見極めと後ろ盾になった以上、危険は無いだろう。警戒は当然するが基本は手出しを禁ずる。
わが国では権力で国民に無理強いをしいるは禁じているから、徹底させよ!」
「ヌエを放置するということですか?」
「伝説の魔獣が身近に存在するのは国民が不安になるのでは?」
「それを見極めるのがブライアンなのであろう?アイツなら国に被害を及ぼす選択はせぬだろう。
下手に接触し国に悪い感情を持たれて他国に流れる方が国益に反する。」
「息子や娘と友好を結ばせても?」
「命じるのであれば禁ずる。欲が混じれば判断も鈍る。普通に出会い友情を育む分には国が関与すべきではない。監視はさせる故、下手な真似は私の耳に入ると心得よ!」
「「「「ハッ!」」」」
一同は返事をし会議は終わる。
ラングレン王国の面々は、特権を持って傘に着る貴族は少ない。逃げ道を塞がれているしバカは出てこないだろう。
会議に出席した者で動き出す者はいた。
彼の目的はなんなのか?
★
「ギルダー様、会議の議題はヌエですか?」
「ああ、兄の命で無闇な接触は禁止されたがな。」
「それでは動かないのですか?」
「ヌエに関しては、どうも思わんよ。伝説になる強さには興味あるが俺程度が扱えるはずもない。それよりも【道化師の食卓】の面々には興味がある。ハズレと言われるスキルであり魔法を活用してCランク試験に行くのだからな。」
ギルダーは王の歳離れた弟である。
全てにおいて平均より上の能力を持つが特筆した才能があるわけではなく、王位継承争いでは後ろ盾が誰一人つかなかった。
だからこそ、会議には呼ばれるほどに警戒されていない。
「そもそもロブには行く予定ではあったから予定は早める、準備をさせよ!」
「かしこまりました。」
ギルダーは何を思いロブに行くのだろうか?
★
「父上はどう動かれるので?」
「王に釘を刺された異常下手には動けまいて、だがラングレン王国の歴史を記録するお役目の我が家としては伝説で語られる話の真実は確かめばなるまい。」
「それが目的で仲良くなるのは仕方がないですね。」
「幸いラングレンとは旧友であるし尋ねるにはお題目は要らぬだろう⋯⋯ただ。」
「ただ、予定が詰まっておるからヒルダ、オマエに頼みたい。」
「お任せ下さい、ライカ様に色々聞いてきます。」
「他国も動くだろうから、あの夫婦に護衛を頼めば良い。」
他の貴族も静かに動き出す。スローの屋台の道は険しそうだ。




