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㉕決闘決着!重軽音と爆脚

おはようございます!

《イーノ視点》


 【道化師の食卓】と関わりのある冒険者として、ジェイとマリー兄妹の指導をして観客席から見守っていたがいたが絶句した。


 最初マリーの試合は、同じパーティのウルとティマが指導しているのを見ていたが、どうして強くなったのか理解に苦しむ。

 獣人の2人の指導は、人間の難しい言葉で説明できないからオノマトペでグッとしてネジネジしてバンと感覚的なのだ。

 俺達は全く理解できないし、できても理解するのには時間が必要だ。

 マリーは幼いし経験が少ないからか、瞬時に理解する。

 対戦相手は魔法ギルドの研究主義に嫌気を差したかわり者で、エリート思考のある奴だったが魔法使いとしては筋の良いと聞いたことがある。

 それを魔法を使えなくして一撃とは末恐ろしいというか、天才っているんだなと思った。

 観客からは【魔術師殺しのマリー】と呼ぶ声もあり。

 幼女なのに二つ名とは⋯⋯。



 次の魔法ギルドマスターの孫ユアも圧巻だった。

 スローと魔法ギルドの指導があったからか、対剣士との一対一の基本ができている。

 魔法で牽制して剣士の間合いには入らせない。

 数日前に冒険者になり、動物のウサギにボコられたとは思えない戦いぶりだった。

 最後は【穴掘り師】らしく落とし穴に誘導して落とし、埋めるという恐ろしさ!

 見た目がモロお嬢様なのにギャップが恐ろしい!

 誰かが【螺旋姫】と叫んだが相応しいと思った。



 次は俺が主に指導したジェイの出番だ。

 俺は【レンジャー】なのでスピードのある彼とは相性が良い。

 時間がなかったから、足運びとナイフ術の基本しか教えられなかったが、スローから【重力魔法】の考察を聞いていたからか、中堅冒険者にも通じる腕前になっていた。


 対戦相手は【魔法戦士】モフ。若手でも俺達中堅にも序盤が聞こえる奴。

 こいつは【生き残り(サバイブ)】という二つ名の持ち主で、所属したパーティが大怪我や引退に追い詰められても必ず生還することで知られている。

 別に汚い事した噂は、無かったから冒険者として命あってこそだから付いたのだと思う。


 開始の合図がすると


「お前の罪が重さになる【ペタン】!」


 サバイブの身体は何倍も重くなり動きが鈍くなる。その後、軽い音がしたが圧倒的なスピードで近づくと鈍いサバイブにナイフでの上段の振り下ろしで、ナイフの攻撃とは思えない重い音で剣をへし折り秒殺で決めていた。


「それまで!勝者【道化師の食卓】ジェイ!!」


 スロー考察で自身を魔法で軽くすれば移動速度は倍増し、攻撃は逆に重くすれば攻撃力が上がるという単純なものだがシンプルだけに応用は無限だ。

 妹のマリー、魔法ギルドマスターの孫ユアといい、スローという才能の塊に【天才】が集まっている!

 稽古を付ける中で俺はジェイに二つ名を送った。【重軽音じゅうけいおん】素早さと攻撃力をもつヤツに相応しい!


 これからの冒険者の勢力図が大きく変わる予感がした!

 次のドワーフのコルトの試合も楽しみだ!



《ガバメント視点》


 【鍛冶ギルド】でピーラーの話し合いを終えて店に帰ると、息子のコルトはカウンターで木を削っていた。型を取るためのヤツか?

 他には何かのアイデアを記した紙もある。


「やっと帰ってきたか親父!ちょっと依頼されたのあるから自分は作業する、今日は一人で酒飲んでくれ!」


 どこか楽しそうに炉に向う息子に


「何か問題あったか?」


「客も少なかったし問題はない!依頼をしたいんだ、もういいか?」


 息子のコルトは鍛冶師としての才能は俺よりもある、十年もあれば越えられると思っているが、父として師匠としてそれは言えない。

 だからなのか、独自の考えで俺を越える道を考えた。

 人間の鍛冶師にも腕のよい職にはいる、その多くは剣術や格闘術の経験のある者が多い。だからコルトは自分も武器の扱いを覚えれば、俺を越える近道と考えたようだ。

 コルトも一人前なので収入があるし、冒険者を雇い指導を受けるも気に入らないらしい。


「アイツら金を支払っているのに、どこかドワーフを見下して真剣に教えない!」


 ドワーフの国には戦士はいるが冒険者はいない。種族特性上、脚が短いために機動力がないからだ。

 戦士の戦い方も長い槍などの長物で置き盾や柵からの攻撃が多い。あとは怪力を生かして投げ槍や投石だ。

 コルトは冒険者用の武器を作るから冒険者の戦いを学びたいらしい。


 今日は一人で飲むのかと思いつつ、酒場で買ってきた料理をテーブルに出して飲み始める。結構時間が経過してからコルトがやってくる。


「親父、鬼人族のボツ鎧貰っていいか?金なら払う。」


 数年前に依頼されて作ったものの、完成後サイズが合わずボツになった鎧だ。

 こちらのミスではなく制作期間の間に依頼者の身体がデカくなったからだ。

 キャンセル料金は貰ったが完成度のよい物なので倉庫に残してあった。


「金などはよいが何をする気だ?」


「ちょっとした思いつきを試したいが鎧を作る時間が惜しい。」


 コルトは炉に戻って行った。

 しばらく飲んで寝るかと思い立ち上がるとコルトの様子を見に行く。

 炉のある鍛冶部屋に入ると変な道具に、変な棒が散乱しコルトは鎧の脚を弄っていた。


「この道具と棒はなんだ?」


「道具はスローに依頼された【ドリル】という穴を開ける道具で、棒もスローから教わった人間の子供の遊び道具【竹馬】だよ。」


 手に取ると便利な道具なのはすぐ理解できた。


「特許の書類とかも作ってあるぜ!今は竹馬だと戦えないから義足を作っているんだ。」


 どうなったら、遊び道具から義足という発想になるんだ?しかし、この義足が完成したらドワーフ界に衝撃が走るぞ!!

 これは面白いと思い協力して朝までに義足を完成させた。


「親父、今日はスローに依頼品を渡すし武器の扱いを学ぶから店をあけるぜ!じゃあな!」


 眠さも感じさせない足取りで出かけていった。コルトの成長を見送り、親として嬉しく感じた。


 夕刻になるとコルトが決闘するとドワーフ界に震撼し多くのドワーフがやってきた。


「何がどうなったら決闘になるんだ!?」


 コルトは義足を付けたまま帰宅してきた。

 後ろには、大勢の若手ドワーフを引き連れていた。

 我々ドワーフは酒と技術に敏感で本能的に集まる習性があるから、集まったのだろう。


「おう親父!飯と酒を買ってきたぜ!」


 息子は上機嫌だった。


「俺に何が言う事あるだろ?」


「あん?義足はうまくいったよ。」


「違う!決闘とはどういう事だ?武器の扱いを習うだけのはずだろ!」


「それか?少しムカつく話だし酒飲みながら話そうや!皆も話を聞きたくて着いてきた。」


 その後は宴会になり、決闘の経緯の話になる。

 戦わぬドワーフでも魔物の擦り付けはご法度中のご法度とわかる。

 それをスローと分かった上でやったとなるとたちが悪い!


「どうせ犯罪奴隷落ちだから言いたいことを飲み込んだんだよ。

そうしたら、パーティ【道化師の食卓】の幼女マリーが決闘だ!と言い出してな。

自分が何故言わなかったかと情けなさと、決闘という言葉に興奮したね!」 


「お前、戦闘経験ろくにないのに決闘なんて勝てるのかよ?」


 誰かが聞いた。


「アイツラがビビって逃げ出したビッグボアを一撃で首を落としたんだぜ、余裕だー!」


 アイテムバッグがビッグボアの首を取り出す。

 

「「「「「おおおーっ!!!」」」」」


 ビッグボアにしては大きいサイズ、一番驚いたのは切り口だ。力任せではない剣と技術がかみ合わないとできない。


「武器はロングソードか?」

「ビッグアックスじゃないと、この太い首は無理じゃないか?」

「大剣もあるんじゃないか?」


 若手は切り口を見て武器を予想し合っていた。

 俺も切り口を見たが本当に鮮やかだ。


「コルト、これは【刀】だな?


「流石、親父にはわかるよな!スローが師匠から貰ったやつを借りたんだ。

刀の指導受けている時にビッグボアが出たから他の武器を使う余裕なかったんだよ。」


「よく、そんな状況で刀を使わせてくれたな。」


「もし折れたら、自分にさらに良い刀打ってもらうと笑ってた。」


「大物だなスローは!!」


 話は義足になり


「俺たちも義足作れるのかな?」


「それは難しいと思うぞ、【ゴーレム作成】スキルを使っているから、それがないと人間に近い動きは難しいぞ。」


「あっワシ、一度も使ったことないけど持っとるぞ!試してみるぞ!」


 色々話が盛り上がり、宴会が終わる。

 【決闘】まで色んなドワーフが現れ店は大賑わいした。

 怪しい奴が現れたが仲間たちが追いかけ回したらしい。


 決闘当日、スローの仲間達は快勝し最後は息子の出番だ。

 対戦相手は大柄で屈強な重戦士、大きな盾と槍を装備している。

 一方コルトは義足は鎧としてしっかりしているが上半身は軽鎧、両手には棍棒を持っている。

 義足を付けたコルトは重戦士と互角の体格だが、決闘を舐めているように見えなくもない。


「試合開始!」


 コルトの義足は物凄い音をさせて加速すると大盾に棍棒を叩きつける。

 ドワーフ特有の怪力で何度も何度も叩く。

 余りの猛攻に重戦士は耐える一方だ。

 コルトは疲れたのかいつも短距離を取る。


「このまま、やられたら格好つかないだろ?来いよ!」


「舐めるなドワーフ如きが!」


 重戦士は職業技【チャージ】を使いコルトに急激に迫るも転ぶ。


「あーあー、盾は丈夫だけど中身は弱いのな(笑)棍棒の連撃の衝撃で脚がおしゃかになったか!降参するか?」


 コルトは両肩にこん棒を乗せて余裕の発言。


「ち、ちくしょうー!!」


 降参はしなかったが戦闘不能とみなされコルトの勝利が確定した。

 大歓声に応え手を振る息子を誇らしく思った。

 そして、歓声を抑えるジェスチャーし歓声が止まると


「自分は【道化師の食卓】の【爆脚】コルトだ!

ドワーフを舐める奴は相手するぜ!!」


 またもや大歓声となり!

 周囲のドワーフは泣きながら叫んでいた。

 俺も泣いたが息子には見せられないな。


お読み頂きありがとうございます!

一日24話アップというアホなことしたのでストックがありません(T_T)

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