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〜7.処刑令嬢、冒険者ギルドに行く〜

 アルカディア公爵邸での「国家予算級ダイヤモンド騒動」から一週間。

エルシアは、絶望のどん底に叩き落とされていた。


(終わった……私の人生、完全に詰んだわ……!)


自室のベッドに突っ伏し、枕に顔を埋めて悶絶する。

なぜなら、妹、セレナの「勘違い」が、なぜか屋敷を飛び越えて社交界にまで爆速で広まってしまったからだ。

貴族社会だけにはバレたくなかったのに…


(違うのよ! 私はただ過去の知識を利用して、処刑を免れようとしてギャフンと言わせたいだけなのよ…)


貴族社会にいたら、いつか「処刑エンド」を迎える。エルシアは自分の運命の歪み方に激しいめまいを覚えた。

本能的な危機感を察知したエルシアは、ポシェットに少々の路銀と、前世の知識を書き留めたメモ帳を詰め込んだ。


(こうなったら、身分を隠して『冒険者ギルド』に登録よ! いつでも国外逃亡できるように準備するのよ!ついでに、私の処刑に関わった裏社会のルートも洗い出してやるわ!)


思考のパニックが一回りして、エルシアは完全に開き直り、覚悟を決めた彼女の口元は素敵な笑みを浮かべていた。


変装用に地味なフード付きマントを深く被り、エルシアは平民のフリをして自室の窓から跳んで脱出。

王都の隅にある冒険者ギルドへと足を踏み入れた。

ガラリ、と無骨な木の扉を開ける。

中は昼間だというのに薄暗く、酒と汗の臭いが漂い、筋骨隆々の荒くれ者たちがギロリと新参者のエルシアを睨みつけてきた。


(酒臭いわね… でも、ここなら公爵令嬢の私を知る人はいないはず……!)


エルシアが受付へと歩みを進めた、その時だった。


「おいおい、お嬢ちゃん、迷子か?」


ギルドの荒くれ者の一人が、下品な笑みを浮かべて近づいてきた。

あまりにもお約束な展開に、エルシアは開いた口が塞がらないほどの呆れを覚えた。


「ここはガキの遊び場じゃねえんだよ。おうちに帰ってママのミルクでも飲んどきな!」


(こういう輩が大体関わっているのよね…今すぐギロチンを持ってきて今すぐその首をはねてやりたいわ……)


エルシアが内心でドスの利いた毒づきを放ち、手に持っていたメモ帳を握りつぶそうとしたその時、受付の奥から、ギルド長らしき強面の隻眼の男が顔を出した。

エルシアが持っていた前世の知識がビッシリと書かれたメモに目を留め、ガタガタと震え出した。


「お、おい…あの手に持っている書物、あれは王都を救ったパーティーのうちの一人の魔術師「サリア・ルーマン」が遺したとされる極秘の魔導書(※ただのメモ)じゃねえか……! 」


(「サリア・ルーマン」…?)

エルシアがその名を聞いて頭を悩ませていると、ギルド中の荒くれ者たちが、一斉にざわつき始めていた。

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