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呼子の噺
この『呼子』という妖怪は山彦やコダマとも言われている。
山に住んでおり、山に向かって出した音や声が返って聞こえるのは、この呼子の仕業と言われている。
日本各地の山岳に伝説が残るが、その姿は統一性がない。猿のような姿という話もあれば、木にとまっている鳥だという話もあったり、人の形をしているが一本足である、もしくは人の言葉を理解する岩が正体だと言う話もある。
◇
ある山では、呼子が山中で蕎麦屋を営んでいた。
便の悪い場所にも拘らず、中々の賑わいを見せる人気の蕎麦屋であった。
その蕎麦屋に足繁く通う客たちは、店の味を聞かれるとこう答えた。
「呼子の蕎麦屋は、とにかくツユがうまい。良い「かえし」を使っている」
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