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六喰の鍵師  作者: 長月 こたつ
ギルド編
41/63

41.戦争準備

 魔人族襲撃の知らせが各ギルドを通じ、大陸中へ届けられた。首都エルパムへの侵攻が予測されるなか、各都市の警戒対策も同時進行していた。


 魔人の言葉を鵜呑みにせず、エルパムに戦力を集めつつも監視や偵察部隊を派遣していった。

 期日の十二月まで、早くてもおよそ二ヶ月。

 だがその言葉が真実を語ったかどうかは分からない。

 それを踏まえ、光帝は出来る限りの防衛態勢を整えていった。


 特に進行が予測される首都エルパムの防衛は、強固な布陣を敷くことになっている。

 それは、人族の総力戦とも言えた。


 街の外側を鍵師ギルドが請け負い、街の内側は王国の国王軍が守護し、鍵師警察─通称「鍵警(けんけい)」が民を間近で守る。三層の防衛ラインが今回の布陣だ。

 ギルドが魔物の荒事を専門とするなら、鍵警は対人の荒事を専門としている。


 ギルド、王国、鍵警。

 この三つが、人族社会における三大権力で、三大勢力でもある。

 それが総出となる今回の戦争は、まさに人族の総力戦と言えよう。


 稀に見る三大が集うなか、他所の二組織に嘗められる訳にはいかない。それはギルドとて、同じであった。

 ギルドは二つ名の首都エルパム集結を決定し、ギルド支部は合鍵を主軸に動き始めていた。


 戦力が集中してしまうと、どうしても遠方に隙が出来てしまうのは仕方のないことだ。今までの戦力のままならば、全てを補うには大陸は広すぎる。

 だがここ最近、 降って湧いた様に強者がギルドに現れた。

 それを、光帝が遊ばせて置く訳がなかった。






「くそっ!人使いが荒すぎる!鳴神っ!」


 紅葉の周囲を、光が敵に向かい何本も枝分かれしながら走った。


 現在、紅葉は六喰の鍵師としての依頼で、各地に赴き奮闘していた。いや、させられていた。

 魔人族の言葉では、決戦日は早くても二ヶ月後。その間に他所の魔物が大人しくしているかと言われれば、それはないだろう。

 今は戦力が首都へ集結する最中で、六喰の存在は幹部の者しか知らされていない。開戦時の士気向上の為と、光帝の発案で発表が十二月頭に行われることになったからだ。

 だが日の目を見ていない最高峰の戦力を、光帝が自由にさせるはずがなかった。

 紅葉は光帝が直々に選んだ依頼を、無理矢理(二つ名の持ちの規則を盾に)紅葉へと押し付けた。

 内容は、東側の大陸で手に負えない魔物の討伐である。

 残る西側は、別の二つ名持ちが対応することが決まっていた。


 日の目を見るまで残る二ヶ月、紅葉の依頼スケジュールは光帝の緻密な計算の下、こなせるギリギリのラインを維持された過密スケジュールと化していた。






 ただ不平不満を言いながらも、


「うはっ!?これ旨い!」


 見知らぬ土地の見知らぬ魔物、食したことのない味に、紅葉は喜んでいた。


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