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        5 ハロルド王子

 ハロルド王子は別室でマリエールと話しがしたいと言い出した。鉛毒の話しだった。気付いて言えない風潮のある中でマリエールが何故言えたか。

           5  ハロルド王子


 ハロルド王子は別室でマリエールと話したいと言い出した。マリエールは側近と思われる人の様子をうかがった。応じろと言っているようなのでシオンに後を託してハロルド王子と別室に移った。開口一番マリエールは、

「私の試飲会なのに、ハロルド王子はやりたい放題ですね。」

と文句を言った。ハロルド王子の側近達は殺気立ったがハロルド王子平気なようだ。

「きみの様子を見たかっただけさ。未成年なのに鉛毒に関して論じている。今の王朝でも鉛毒で精神に障害を負ったと考えられる国王は何人もいる。疑い持った者は多いが咎められる事が怖くて言い出せない者ばかりの中で平然と怖れる事もなく言い放った者がいる。良く聞いてみると男爵の娘にして最近マリエール商会という良く流行っている店を立ち上げた未成年の娘だと言う。年はまだ10歳に満たないそうだ。何を持って鉛毒という確証を得たか知りたいと思ってチャンスを狙っていたら。私の側近にきみの試飲会の招待状が送られて来たんだ。千載一遇のチャンスと見てこうしてやって来たわけさ。」

意外とそれらしい理由を述べられた。単に乱入してきた我が儘王子と思ったがそうでもないらしい。本当は筋を通して来て欲しいものだがそうもいかないのだろう。

「判りました。鉛毒の件ですね。私も貴族ですからこの国の歴史は勉強しました。この王朝は誕生した当初名君が続き、領土も拡大して大陸全土を支配しました。国も安定しました。200年ほど経ってから愚か国王が続くようになったのです。正史では明確に書かれていませんが異教徒を虐殺したり奴隷を殺しあわせて見世物にしていました。他にも口では言えないような野蛮な行為していました。そして共通しているのが鉛のコップを用いたワインの大量飲酒です。一度はこの王朝は滅亡しかけました。再び名君が現れこの国を救いました。それ以来国王は鉛のコップでワインの大量飲酒をしなくなりました。でも今でも鉛コップでワインの大量飲酒で精神障害を起こす人々がいます。かつての国王が鉛コップでワインの大量飲酒をして精神障害を起こした事実を公言する事をタブーとする風潮がある事を私は知っています。でも今でも鉛毒はなくなっていません。今でも鉛毒によって精神障害になる人はいます。状況を改善する方法があります。私はワインを改善して鉛毒を無くしたいのです。協力して下さい。」

ハロルド王子は神妙に聞いていた。

「やはり公言すべき事だな。精神障害になる知らず鉛コップでワインを大量に飲酒している者は今でもいる。精神障害とまでとは言えずとも気が荒くなっている者もいるかも知れない。」

客観的な判断だ。飲酒するだけでも気性が変わる人がいる。鉛毒なら少量でも気性が変わる可能性はある。ハロルド王子は、

「実は父の頼みだったのだ。本人に会って話しを聞いて欲しいと。国王の呼び出しでは本人は緊張するだろうからお前が行って聞いて来いと。いい話しが聞けた。父にいい報告できる。お礼を言うよ。」

ハロルド王子はそれで帰って行った。マリエールは会場に戻った。

 ハロルド王子は国王の命令でマリエールのところに来た。現在の事を嘆いての事である。国王も現在の状況を変えたいと思っている。

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