24話 弟子は成長する
猿の魔の手を剥がれアルファと成ってからすぐのこと、グレンの初の使徒として少しだけ修行をつけていたところ、とんでもないやつが現れる、アルファを絶対的に圧倒する。
「ふん!雑魚が!」
「うく!?」
極限を超えた極限、自食作用から捻出した予備バッテリーすら使い果たし、自身を構成する全ての細胞から限界までエネルギーを捻出し切っており、生きるミイラ状態、本当の意味に空っぽに成った状態に成っていた。
「愛弟子よ、感情、記憶、本能行動、自律神経、を司る脳味噌の器官、大脳辺縁系と、思考、判断、感情のコントロール、計画の立案、そして随意運動を司る前頭葉に疲労が見られる、随分と感情を生じさせて、更には気力を消費したようだな、仲間の為に普段は温厚なこいつがここまで精神や肉体を摩耗するとはな、この状況だけで、貴様がクソ野郎だってことが一目瞭然だぜ」
「随分と切れてるなぁ、そんなにピキんなよwどうせ死ぬしかねぇんだからさ!」
舐め腐った敵に対して想うことなどただ1つ。
「万死に値するぞ貴様ァァァ!!!」
師匠が吠えた瞬間、大気が揺らいだ、師匠の声か?否、男が立ち上がっていた。
「フッッッ巫山ッ戯ルナァァァ!!!」
[絶叫]。
その咆哮によりシャウト効果を誘発する、副腎髄質内から分泌する刺激素で有る副腎素、副腎髄質の機能を怒りの感情を通じて活性化することでその副腎素を過剰分泌して一時的に従来の身体機能で発揮可能な最大の性能、つまり限界値を外し、更なる性能を発揮することが可能に成る。
戦闘能力の上限を引き上げ、いつもの最大限を100とした時に101%〜⚠︎(身体が保つ限り何処までも)にまでも辿り着く、そんな身体能力を引き出す。
「もう良い!愛弟子よ!それ以上はもう!」
「グッッッ!」
120%にも成ると従来の人間、常人なら自身の肉体、特に機能の向上した筋肉による異常なまでの収縮と弛緩により、骨に掛かる膨大な過負荷に全身の骨が押し潰されてしまうレベルだが、常人とは掛け離れた骨密度が故に影響力は皆無。
「ぶっ殺す」
「やってみろや死に損ないがぁ!」
アドレナリンによる急激な血圧上昇と、怒りによる代謝パニックで、血液中の「赤血球」を自ら破壊(溶血)、血中に含まれる本来は手を付けてはならない成分、赤血球を分解、血漿やミオグロビンっと融解して血流すら燃やし尽くして肉体を機能させるエネルギーとして捻出する。
「愛弟子ィィィ!!!」
「ガルアァァァ!!!」
生存本能などもはや機能しない、内臓にまで手を伸ばし、エネルギーの捻出が始まる。
骨髄と造血組織、五感(視覚・聴覚・痛覚の遮断)、脳細胞(大脳皮質・人間性の喪失)、魂・精神力(気力そのものの結晶化)、このようなもので闘争だけに特化させていく。
起伏する心の電気信号(感情)にとってその波動、瞬間、その人が発しているエネルギーの振動数(状態)、それは奴に対する殺意だけの波動が埋め尽くしていた。
「ここまで待ってやってこれか?雑魚が」
骨髄も、脳も、記憶も、五感も、魂の最後の1滴も、文字通り全てを一度に限界まで搾り尽くした彼は。
「愛弟子、、、」
「ふ」
最後まで搾り尽くした先、ミイラですらない、灰と化し、今にも風に連れ去られる一歩手前、なぜ存在しているかすら分からないような状態だった、しかし。
「、、、」
「愛弟子、、、ここまで極めていたのか、精神力(最期を見届けなければ)」
「くくく、堪忍袋の尾を固く締め直した忍耐力、深くにまで地に張った根性、その精神力は感嘆に値するぞ、さぁ最期の絞り尽くし切り絞る為の力まで使い尽くし、小数点も残さず死ねや!」
その時、始めて知覚した何も考えず無心で、考えていなかったこと、考え得なかった筈のこと、本来なら考えられないものにまで思考が及ぶには、ただボーっとするだけだ。
そして無心に泳ぐ鯉、感謝と言う名の余裕。
「な!?(何故動ける、ここまでのパワーも、何処に隠していた!?)」
「ありがとう、経験値をくれて、ありがとう、ありがとうしか言葉に出ないよ」
ストレスを感じることにストレスを感じさせること、怒ることに憤る、そうして更なる段階の冷静に至るとストレスをエネルギーとして活用するようになる、そうなるとエネルギーを産んでくれるストレスに感謝が始まり、気付けばストレスを自分が生成しなければ発生しなくなる状態になっていく。
無駄に考えない、考え過ぎない、ただ洗練されていく、必要以上を態々持つなど、愚の骨頂、ただ身を自然体に任せて、直感的に最適な解答が弾き出せたなら、態々迷う必要性などはなから存在しないのだ。
指導に従い、勝ち負けではなく、自分が何をすべきかを知り、理解して、実施・実行するだけで有る、だけ最適なだけでなく後を見据えてマイナス秒的に過去を歩いて、現在にとって最も良い結果を齎す為の最善手を取るだけことができる。
一瞥すらしなくて良い、ただ感じる、たったそれだけで文字通りなんでも解ってしまう、ただ出来てしまうから出来る、やれるからやれる、それだけだ。
「うぼぁ!?」
「不可能な筈、なぜ愛弟子は急に覚醒した、粉塵と化そうとしていた肉体に何が起こったんだ!?」
危害を加えるとも害そうともない、未来的な危機になる事も事前に動いて過去で有る今を未来を予測しながら行動するような計画的(過去的)な既に決定打を放っているような危険性もない、が故に対峙すること事態に矛盾が発生しない。
敵意など態々発するまでも無く、気力を消費した意思決定、その部分を完全に自分自身を制御すること(自制)しなければ、否、その自制心すら持たない偶然性を装うことこそが、この場に繋がったのだ。
作法に基づいた動作や行動なと起こすまでもない、作為的で有る必要性はない、ただ自然に身を任せるとは、形式も非形式もない、価値や意味もない、完全なる無意識の必然に身を委ねるだけだ、真実(本質)に事実(現象)が伴う(溶け合う)、それこそが必然的無意識、あるい自然無意識。
終わりのなき事終わりの如く、始まりのなき事始まりの如し、始まりが無いところから(0)から始まり(1)が始まるのだ、必然的無意識とは無から転じ始まり(0から1)無に終わる(1から0)のだ、産み出し、壊し、壊すことを壊し、生み出すことを産み出す、、、それこそ必然的無意識。
(0・1)と(1・0)の二つの循環の輪を左右のものとして本来は未分化なものをも分化可能、それが必然的無意識。
「宿命付けられた死の運命、その道理から、決定論から、その自分の道から外れたというのか、ならば貴様は誰だ!」
「脇役さ、主人公でも有り、エキストラでも有る、今やなんだって有り、それが俺だ、お前らみたいに才能、元の数値にだけ依存して、後は技術で掛け算する後追いどもは開拓者が0から1に変えた物事に足し算をして2や3に変え、掛け算をして10や100にし、累乗して2の3乗やらと、、、結局やってることは真似事さ!原型(原因)をパクった派生系!それが無けりゃ存在しなかった代物だ、、、なぁ、お前よぉ、登場人物でも舞台装置でもない、舞台そのものに勝てるか?お前は台本に書き綴られた存在、なんてことすら言う気はねぇよ、第四の壁を認知してメタ発言してる程度の擬似的な作者の化身じゃない、自分自身を記述する現実の私小説の作家そのもののに、勝てるか?」
瞬間、愛弟子が敵を既に殴っている。
「ん!?(いつ来た、何をされたんだ俺は)」
「すっ」
あらゆる負の感情をエネルギー源としてそれらを劣等感だと再定義、劣等感を仮に火薬だとした時、自分自身は着火剤を手に入れた、溜めればすぐに沸く燃料を注ぎ続ける。
「(アルファはテレポートを使いながら殴り合ってるのか、人間には不可能な芸当をこうも易々と)」
空間を捻じ曲げることで自身の現在地点Xと目的地点Yを連結する(空間Xと空間Y同士を繋げる)ことで、実際にその距離間に存在する距離を無関係にすることが可能で在るのだ。
言ってしまうなら距離自体の概念が空間転移には適応不能だと言うことなので在る。
未来的な分岐までも含めた時間軸の干渉、相手の時間を遅延or加速またズラす(タイムラグを引き起こす)などで時間を制御、より精密に制御したら原因と結果と言った前後の時間まで操作可能。
「んぐ!?(次元だけじゃねぇ!)」
「因果律は常に、俺と言う原因から流出する」
始まりの打撃、始まりの始まりの蹴り、始まりの始まりの始まりの頭突き、始まりの始まりの始まりの始まりの噛みつき、、、。
メタフィジカル的なバトル、それに入り込んだアルファは、一転攻勢→二結守勢→三起攻勢→四承守勢→一転攻勢に戻る、これが起承転結の攻防一体をする。
死んだって蘇生可能なのが内部、より根本的な部分、自身とそれを攻勢する概念的構造(精神・魂)を含めた不可逆的な死がその一段上の死、だが不可逆的な死を克服した自身の再構成と言う不滅性(可逆死生)までの二分法的に存在している、より上段の死生に行けば行くほど殺傷能力は高まるし、生命力も高まる。
ゲーム内のコマンドを操作するではない、データを書き換える方が圧倒的であるが如くだ。
「手を取るように分かる、なんともお粗末な蜚蠊野郎、いや蜚蠊が可哀想だな、滓お前なんかに滓って言葉すら相応しくないな塵、塵に謝れゴミ、ゴミに謝れ屑、屑に謝れ
ドゴ!バギィ!グシャ!ゴリャ!
自分の脳味噌をコンピュータとして見立てて、PCに対して自身の行動を命令形でプログラム(コマンド)を入力すると、それを身体が出力される。
意志を介さないから行動時気取られることなくプログラム上にて戦闘力や攻撃性を極限まで高める命令を組み込んだ。
自身を救済する救世主(聖油を自分自身に注ぐ)我こそが聖人君主、我だけの聖人君主は我だけに他ならない。
「さようなら、私の経験値」
「ブボ!?」
こうしてアルファは強敵を退けたりグレンから助言を貰いながら成長していた。




