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アンインヴァイティド  作者: 藍
第一章 有限主義
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10話 猿真似

無限の猿定理、本来の意味とは少し異なり限りある時間の流れに対して時間を超えて駆動する記述装置、それは著者の代替品で有り、言語体系内で意味のある文字列と無意味のある文字列を生産し続ける機構、生産システムでも有る。


「作者の権威を手に入れたのはこれか、この鍵を開け、パスコードを唱えたからか、その呪文は誰が教えた」


「分かりません、光り輝く巨大な腕が曇天の空を突き抜けて僕の前に現れました、それが語り掛けて来ました、ペンを持って居ました」


「(舐めた真似してくれるなぁ、クソゴミが、下位世界に入れば猿扱いか)なぁ、お前、自殺願望あるやろ」


「な!?なぜそれを」


「、、、理解出来るぞ、初めから持ってるか、そうじゃないかの違いだ、バカ野郎が、もし仮に投げた一つの石が五匹の鳥が獲れる奴がいるとしよう、ならば自分は?当たりすらしない、そんな時にどうする?鍛えて一匹獲れるようになるのか?違うだろう、石など一投すら投げずとも鳥が獲れるように罠を張れば良い、そんな根本的なこと、前提を見直せば良いだけさ、気付くだけで良い、だが気付けない、態々”石を投げ”て鳥を取らずとも、”鳥を取ること”が目的なら更に根本的に効率よく獲れる方法を模索すれば良いんだ、だがしかし真に才能がない奴はな?投擲能力が無いとか、問題に気付けないとかじゃないんだ、”諦めることを許容する奴のことさ”負けを認めたら負けに成る、例え初めから決まってるような差があったとして、自分は壁と思う場所を気付きもしない、大怪獣が居やがるんだ、だったら諦めるのか?絶望する暇すら与えられず瓦礫の山に埋められる存在が居るのにただ呆然と眺めるだけなんか俺には出来ないね!諦めない心、執念だ、努力は執念だ、才能は始めから何か持ってるものを指すだけでそいつが絶対じゃねぇ」


「諦めることに諦めたものにしか女神は微笑まねぇぜ、どうせ死ぬなら、死にたくならせた原因を殺す気で生きてみろ、死後を生きる程虚しいものはねぇぜ、成るならよぉ、苦しめるものをぶち殺す、自殺の殺し屋に成れ!」


「、、、あんな事を、貴方を襲撃した相手を、なぜ貴方はこんなにも関与過ぎるのですか?」


そう問われたグレンは当たり前のようにこう言った。


「神様だからさ」


「ッッッ」


「グレンの第一使徒としてお前に命を下す、お前のやりたいようにやってみろ、神に魅せてみろ」


神の加護(寵愛)は無い、記述装置すら失った、だが今の彼は。


「やってやるよ、えぇ、やりたくて仕方ねぇ!」


人生初めてのキラキラとした顔で、新たなる運命と共に産声を上げた。


師匠かみ、俺は覚悟を気合いを入れたよ、殺す気も、死ぬ気も、飽き果てた、呆れ果てたよ、活力は単なる肯定からは産まれない、否定を否定した先に在るんだ、その境地に立って初めて理解したよ、死ぬ為に生きる、生きる為に死ぬ、どちらにも傾きは無い、手に取れないと諦めるくらいなら手を切り離してぶん投げちまえば間接的に届くじゃねぇか!!!」


狂気を力に、負の要因を負の存在がエネルギーに、それが正を招くのだ。


「あは!あはははは!楽しくて仕方ねぇや!愉悦愉悦!泥臭くもがくとはこうも楽しいことか!あははははは!苦しむやつも、ただ努力するやつも違う、真理(前提)さえ導き出せちまえば単なるお遊びに変換できちまう!生きることも差別や後ろ指刺されて社会的なヒエラルキーで解釈されて?苦しんでも慟哭しても自分が死ぬことも自由にさせてくれねぇ!なんでかって?最下層がなくなれば必然的に次の標的は2階だからだ!ならよぉ、どうだ?ストレス値を爆破の火薬にしちまうのさ、そしたらどうだ、お前らが悩む全てがどうでも良く成る!生死なんか切り離しちまえば良い!そんな概念始めから存在しなかったと言わんばかりに!見下すものが無くなれば次に見下されるのは自分だと知って、止める理由なんか無い癖によぉ!ならばと自暴自棄や虚無に至る、可哀想だって慈悲を飛ばしやがる奴らも居る、哀れか?黙れ!自分の事を誰も欲しく無いならそんな自分なんか要らないと捨てるなら、俺にくれよ!なんだって有効活用してやる!お前が大好きなこと好きなだけさせてやるよ!お前の野性(自然な姿)を見せてくれよ」


「弱肉強食の自然階層の真似事なんぞ知った事では無いだろう?ならば解き放て、獣性(攻撃性)を解き放てよ、そんなお前の一番良いところが観たいんだ」


攻撃性また獣性は思ってるような殴る蹴るではない、ある者は攻撃は最大の防御なりと言ったように、攻撃とは防ぐ意味も包括する。


「いじめられっ子や正直者だけが損をして、本来対等な筈の立場が逆転してしまう、やり返したら負け?蹴落とされたやつが下から足を引っ張ったら負けだって?何言ってんだ、そんなもん置いといて本質(真理)を言うなら速さだ、原因だ、天下の武功、堅きこと摧かざるはなく、唯快きのみ破られずと、速さこそがそれを定めているなぁ?ならばいじめる奴をいじめる!自己完結した輪を作ればいい、相手に殴られたら相手を2回ぶん殴り、倍返しにして、自分を一撃ぶん殴る、それで終わりだ!」


「熊殺しの馬となれ、獅子殺しの鹿となれ、馬鹿と蔑まされることに成長の余地と捉えて誇れ、無知の知すら出来ず真理を捉えれない連中に深淵なる考えなど理解は出来ないのだから、牛歩と罵られ鼠に利用されようが、漁夫の利しか出来ない図が高いだけのものなど踏めば死ぬとキッパリ割り切れ、羊を騙し喰う狼など腹を掻っ捌いて石を詰めろ、大海の大蛇すら井の中の水の汲み方など知らず、知らなくていいとキッパリ諦めただけのデカ蚯蚓は蛙を喰えずに蛞蝓に怖じける真の馬鹿と嘲笑え!」


「自然の階層ですら偶々ピラミッド、ウロボロスで有り大きいものの死が小さきものを生み出し、小さきものがより大きなものを生かす相互依存だと理解した時全てが対等だと分かるのだ、弱者富豪にして強者必衰、怯えが知育し、平な地に山を盛り持つものを付け上がらせる、皆が天才なら平均に成るとも知らずになぁ!うは!あはははは!」


「死ぬ事を止められエゴに生かされるなら、自己中心となれ!大は小を兼ねる然り全体集合を部分集合が相似する然りだ!”自分が”されたら嫌なことをしないなんて小学生ですら習うロジックだ、お前達の道理に組み込まれてるんだからエゴで生きてもいいじゃねぇか!」


「何なんだ貴様は!」


彼の技能は、上位の知的生命体のものを凌駕して居た。


「空間や時を止める?運命や事象を改竄する?因果律や法則、秩序や概念、理や根源を支配・操作して自在に操る?多元宇宙をぶん投げる?あ〜っはっはっは!そんなのがどうしたってこの我様を倒せる事になるか!ぐはーっはっはっは!」


「ッッッ!?(こいつ頭が可笑しい、物理的な肉体の筈がそれを捨て去りエネルギー体に変化した、従来の生物学、進化論では有り得ない、進化が空間に溶け込み、次元にあり得ない速度で侵蝕している、 SPSを構成する巨大数個の次元数にまでいたろうとしてやがる!)たかだか人間がぁ!舐め腐ってんじゃ!」


その時初めて分かるそのものの異質さ、初めから持ってるもの、獅子は翼を求めず、要らないと言ってしまえばそこでお終いだ、奴は持たざるを全て手にしたいと手を伸ばしたのだ、その異質異様は神々しさすら纏っていた。


「グレン師匠、現人神ってこう至るものなんですね」


救ってくれぬなら、自分を救うのは誰だ?友人?家族?国?なら誰も手を差し伸べぬなら?自力で立ち上がるしかない、自分を助けられるのは自分しか居ないのだ。


「(矛盾を自分の矛盾で上書きしてやがるんだ!塵も積もれば山となるとは言うが、吹けば山とは違い飛ぶだろうが!塵は飛ぶ!山には成れない!そんな不変性を可変式にするようなロジカル、認めてたまる)グゴガァァァ!!?」


星間の種族的特性、生物学的・生理学的な優位性、そんなものがあろうが関係はない。


「うん?」


瞬きした瞬間、違和感がある、彼は理解する。


現象や行動として肉体から随意的に発せられる一番弱いパワー、瞼の上下運動(瞬き)1回ですらない、半目、2分の1閉じてない、それですらない、限りなくまだ目が開いている前目状態、閉じ始めた瞬間。


SPS内を構成する全時空・全次元に暴風が行き渡り、振動し、空震が起き、無数の平行世界が終焉を迎える、それらの量子力学的な分岐した世界線までも含めてだ、線形に続く時間、非線形に流れる時間、全ての時間軸が捻り千切れていく。


目に見えない状態になっている余剰次元、宇宙に存在する素粒子の種類や質量、力の強さなどの物理法則が決定されます、この幾何学的な空間の形はカラビ・ヤウ多様体と呼ばれ、何万通りもの候補が存在しますがそれら全候補の姿形の宇宙、法則が違う宇宙とその物理的な姿形、全法則の全ての姿形とそれぞれの全分岐までも網羅して。


空間は罅割れていく、影響力は多次元だけではない、概念の区別は消え去り、翼を生やし嘴を持ち空を飛翔する生き物を目玉だと言い表し、4つの葉が生えた幸運を呼び込みそうなシンボルマークを不幸の条理と言い表し、666と言う数列を天使の数字として崇めるようになり、、、SPS内の全宇宙・全世界が終わりを告げる。


だがまだ先に目を閉じていく、崩壊したこと自体、メタ的に、形而上学的なもの、形なきものすら滅び、実態を表す、全てが実在を取り戻す、半目、全眼を瞼が覆う頃、SPS内は先ほどと変わらない様相を呈して居た。


「なんとッッッ!?」


「瞬きではない、鼓動だってうかうかとはしてられん」


鼓動として心臓の鼓動の一拍する、たった一つの波動が放たれた、ただそれだけで先ほどの瞬きの被害を軽々凌駕する、不可説不可説転を遥かに凌駕する回数の破壊と破壊の破壊(再構築)が行われていく。


「たかだか声ですら、制御を効かせんとこの、とおだ、は」


一言すら喋ることは無く、溜息の始まり、は、ではなく、頭文字イニシャルhaのh、子音、それすら完全には発してない、文字としたるは最小単位の子音未満、殆ど零と同列ほどに溢されただけで。


完全に計算不可能、ラヨ数ほどで無ければその計算不可能を導き出し証明するにも至らぬほど膨大にして無数の破壊と再構築が成されていく。


「神とは本来こう言うものだ、規格がどうだの限度が何だの、人間が理性や知性、あるいは直感的にも野性や獣性なんかで、直接にも間接にも手に届きようも無いような存在、それが神様だ」


グレンがそう言い力を枷に閉じて世界を復旧した。


「素晴らしい、見込んだ甲斐があるぞ小僧、我が使徒としてその命使い果たせ、死にたくなればいつだって死ねるのだから、好きなように生き、好きな時、好きなように死ねい!」


これは神からの慈悲でもあり、慈悲を与えるなど英雄には余りにも神として傲慢不遜な態度故、経緯から無慈悲な宣告でも合った。

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