1-1はじまり
今日は激しい雨が降ってる。
自殺するにはおあつらえ向きな日やな、と憂鬱な気分で思った
何でこんなことになってしまったんやろうか。どこかで立ち戻れた気がするが、もう遅い。
もうこんな人生に疲れてもうた、希望がもはや見えへん。
マンションの近所に大きな河川があり、そこそこ大きな橋がある。
今日は激しい雨が降っており、河川量も増えている。
橋から河へ飛び込めば、まず間違いなく自殺できるやろう、
そんなことを冷静に考えてしまっていた自分がいた。
傘もささずに家を出た。
時刻は深夜までとはいえないが、それなりに遅い。
外は雨だけでなく、ときどき、雷も轟いており、普通であれば外出するのも億劫になくらい。
そのためか、橋につくまでにほとんど人と出会うこともなかった。
ようやく橋までつき、橋の中央付近まで足を進めた。
橋につくまでにも雷は近所に落ちており、気のせいか、雷が光ってから、雷鳴までの間隔が近づいている気がしている。
橋についてからも、その間隔は短くなってきており、頭のなかでは、雷に打たれて死んだら、飛び込まんでも済むなとおぼろげに思った。
手すりに手をかけて、片足を乗せようとする。見渡す限り、近くに人はおらず、止められることもないやろう。
激しい雨のため、両足を手すりに乗せるまでに手間取ったが、なんとか両足で立つことだできた。
手すりの幅はそれなりにあって、両足でたって安定感もあり多少の風や雨があっても、不安定になることはなさそう。
よし、後は飛び降りるだけや、と思ったとき、急に両足が石のように動かなくなってしまった。
理由は分かってる、自殺するのが怖くなってしまったやろな。2,3分はそのまま動かずにおったと思う。
もしかしたら、だれか通りかかり、止めてくれることを期待したっとんかもしれへんが、時折、車は通るものの、雨で気づかないのか、素通りされるだけやった。
いざこんな状況になって、ようやく気付いたが、やっぱ死ぬのが怖いんやんな。
そう思い、とりあえず、手すりからは一度降りよと思ったときに
足を急に動かしてしまったせいか、よろめいてしまい、橋とは反対側に落ちてしまった。
落下している刹那の時間、やはり死にたくない。やり直したい、と今更ながらに自覚をしてしまった。
その瞬間、周りが光に包まれて、雷鳴が轟いた。
自分の周り、景色が真っ白になり、意識を失った。
雷が落ちた後の河川は、雷が帯びたものの、少し時間をおいて通常の流れに戻った。
そのなかに誰かが落ちたような痕跡はなかった。
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「お父さーん、薪の量はこんなもんでいーの?」 マールは、彼女の父に向って聞いた。
ただ、父の方には、声が届いていないためか、反応が返ってこない。
仕方ない、もう少し集めてから、お父さんの所に戻るかと考えて、歩き始めた。
歩こうとした先から、何か人の声が聞こえたような気がした




