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これから世界が死んでいきます  作者: 狐面
生きた人々
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桔梗 小夜子:捌

 わたしは軍本部を歩き、父の元に向かっていた。

 手に握る、二本の髪を見る。

 正気がある内に、()()を作っておかなくちゃ。

 クローンという技術があると聞く。細胞を培養し、同じ生き物を作り出す。


「しっかし……参ったなぁ……」


 思考に対し身体の反応が(にぶ)い。もう考える事すらままならない。

 きっと、()()()()が近いんだ。


 例えて言うなら、例え……たとえ……もう、いいかな。


 遺言を伝えておこう。

 遺産を継ぐ者は、技術が確立した時、この人間を再生すること。


 わたしと、特佐を再生すること。


 今度は、今度こそは最期の最期まで一緒に()たい。

 もしかしたら、生まれる時には贋作(がんさく)は居ないかもしれない。

 それなら、それでいい。

 平和な世界で、再び一緒に過ごしてやる。

 そして次こそ思いっ切り、毎日毎日、特佐が嫌になるくらい抱きしめまくってやる。

 なんなら母親になってもいいです。

 響子(きょうこ)さんは培養なんかしなくても……なんかあれだ。生きてそう。

 ライバルめ。今度こそ正面切って戦ってやらあ。

 でも、どうか。

 どうか、みんなが笑って過ごせますように。


 特佐――お別れを、今の内に言っておきます。


 どうか、お元気で。

 また、お会いしましょうね。

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