行平 康太:陸
部屋に入ろうとすると、自分と入れ替わりで見慣れない三人組が出て来た。
「あら」
「ごめんなさい」
「こちらこそ、すいません」
同じ服装、まるで鏡写しのような女性二人。あとは髪をジグザグに分けて束ねた、皮のスーツを着た女性。
「……行くぞ」
互いに礼をして、その場をやり過ごす。
気のせいか、見たことがある気がする。
資料整理部の中は、今日も緩やかな空気が流れている。と思いきや、姫桜が叫んできた。
「おっしゃ、来たなあコータ! 何する? どこ行く? やる?」
「何を?」
騒ぐ姫桜を受け流し、茶器を片付けている慎吾に声を掛ける。
「姫桜、どうしたんだ?」
「知り合いが来たもので、花火上がっちゃってるんですよ」
笑顔のまま、優雅な手付きで茶碗を盆に載せている。
「知り合いって、さっきの人達?」
「一人は、我らが副隊長殿です」
「副隊長って、信悟じゃなかったのか?」
「二十歳では平隊員が精々ですよ」
「しかし、一緒に居た……双子か? 初めて見た」
「彼女達は姫桜に恩義が有って、偶に顔を出すんです」
「百鬼夜行で助けたのか?」
自分みたいに。
「いえ、そう言う訳では有りません。尤も、姫桜は忘れてしまっていますが、ね」
「忘れてる?」
「ええ」
まあ、姫桜を護る事に変わりはない。詮索は止めておこう。
「……それで、今日は何を調べているんだ?」
「今日は、斑です」
「斑?」
「神崩で起きた事件の黒幕」
「神崩? 真逆、消滅のか?」
「…………」




