大量発生
「本当、ゴブリン多いな……」
倒したゴブリンを無限収納に入れながら僕はため息を吐く。
どれだけ多いかというと、あれから狩った魔物が全部ゴブリンだったって言えばわかるだろう。
なんでこんなに多いんだ?
もしかして、近くにゴブリンの巣でもあるのかな?
不審に思った僕は、真実の目を使ってあたりを見わたす。
そうしたら、思ったとおりこの森の外側に近い場所にソレはあった。
ソレはほんの小さな村くらいの大きさのゴブリンの巣で、見た目だけなら人間の集落みたいだ。
確認できたその数は200匹くらいで、ゴブリンだけじゃなくてその上位種のボブゴブリンやゴブリンリーダーとかが確認できた。
「これは……」
森の外側に近いということでそのままにできそうにない。
このまま放置すれば、森の外にある人間の村を襲うことが目に見えているからだ。
「よし、スキルの制御ができてるかの確認もかねて全部倒しちゃおう!」
そうと決めればすぐ実行。
さっそく逃げられないように土魔法でゴブリンの巣をおおうように頑丈な壁をつくる。
そのあとは確認のために思いっきりジャンプして、風魔法で補助しながら壁の上に着地した。
「うん、壁の範囲も高さも厚さも思ったとおりにつくれてる。通常時はもう完璧だな。さて、と──」
着地した壁の上から下を見下ろすと、突然できた壁に慌てふためくゴブリンたちが見えた。
でもすぐに僕の存在に気づいたのか、近くのゴブリンたちは怒ったように武器を振りあげてよってきたり、矢や魔法を打ってきたりしてくる。
「つぎは戦闘時、かな」
僕はよってくるゴブリンたちを撒くように壁の上を走りながら飛んできた矢を剣と風魔法で打ちかえして、魔法には同じ魔法をぶつけて相殺したあとウォーターカッターや斬撃派を放つ。
打ちかえされた矢はその矢を打ったゴブリンに打ちかえされて頭や身体に突きささり、ウォーターカッターや斬撃派は狙ったとおりゴブリンの首や胴体を切りとばした。
「よっし、狙いどおり!」
そんなことを4、5回くり返せば遠距離攻撃をするゴブリンはいなくなり、怒り心頭で追いかけてきたりなんとか壁をのぼって攻撃してこようとしてきたりするゴブリンたちだけになった。
「戦闘してるときもオッケーだね。つぎは──」
それを見ながらつぎはどうしようと考えていると、巣の奥のほうが騒がしくなって何かが近づいてくるのが見えた。
「うわ~……」
ソイツは自分の前にいるゴブリンたちをなぎ倒して、僕のところまで出てくる。
巣ができてたから特別な個体がいるかとは思ってたけど、すごいでかいな。
その体は2メートルぐらいのどっしりとしたもので凶悪な顔には鋭い牙がそそり立っていて、殺した冒険者からはぎ取ったのか傷だらけの鎧をまとって肩に大剣を担いでいる。
明らかにほかのゴブリンたちとは違うその個体は、この巣を牛耳るリーダー的な存在だろう。
ソイツの鑑定結果はこうだ。
名前/ゴブリンジェネラル
種族/ゴブリン
HP/500500
MP/25800
『称号』
率いるもの
『魔法スキル』
無属性魔法/Lv.4
『武術スキル』
剣術スキル/Lv.5、棒術/Lv.1
『技術スキル』
罠/Lv.3
強さはA級の下くらいだ。
この感じだと、ゴブリンジェネラルに進化したばっかりだろう。
負けることはないと思うけど、率いるものって称号がある個体なのはちょっとやっかいだねぇ。
「でも、ちょうどいい。つぎは乱戦時でも大丈夫かだ」
そう決めると、圧倒的有利な壁の上からゴブリンジェネラルたちがいる地面へと降りたち、剣をかまえて好戦的に笑う。
「さ、やろうか」
「グァギャ!」
それを合図にゴブリンジェネラルたちが攻撃を仕掛けてくる。
やはり率いるものという称号があるからか、さきほどとは違って連携をとるようになった。
ゴブリンジェネラルが振りかぶった大剣をよければそこにゴブリンたちが体制を崩そうとすかさず攻撃してきたり、ゴブリン達が抑えこもうといっせいに襲いかかってきたかと思えばそこにジェネラルゴブリンの大きな一太刀が入れられたりする。
「うん、こうじゃなくっちゃね!」
乱戦時でもスキルの制御ができているか確認するために襲ってくるゴブリンたちから変に離れたりしないで、攻撃を剣で弾きとばしながらウィンドカッターで反撃したり攻撃を避けるためにファイヤーボールを打ちこんだりしてく。
そんなことを続けていればいつのまにか周りにたくさんいたゴブリンたちはいなくなっていて、目の前には怒り狂った傷だらけのゴブリンジェネラル一匹だけになった
「じゃあ、決着をつけようか」
「グゥゥウウッ!」
そうゴブリンジェネラルに話しかければ、ヤツは返事をするように鳴き声をあげて渾身の一撃を放ってきた。
けれどそれより早く、ウォーターボールを多重発動させてゴブリンジェネラルに叩きこむ。
「グギァァァアアッ!!」
いくつものウォーターボールを食らったゴブリンジェネラルは、断末魔をあげながら吹き飛んで僕が作った土壁にぶち当たる。
そこへ油断なく切りこめばそれが止めになったのか、その手から大剣がこぼれ落ちた。
間違いなく死んでいるか鑑定をしたら、HPは0。
「これで一丁上がりっと~」
僕は倒したゴブリンジェネラルを見ながら満足げにうなづく。
「乱戦時でもオッケーだったし、スキルの制御はもう大丈夫ってことで……森での特訓は終了だ!」
思ったよりも早くスキル制御の特訓が終わってよかった。
最初はゴブリンばっかで迷惑に思ったけど、今は逆に感謝だ。
ありがとうゴブリン。ありがとうゴブリンジェネラル。
これからも巣を見つけたときは積極的に潰していきたいと思います!
「──さて、倒したやつらを無限収納に入れながら戦利品の確認でもするか。あんまりグダグタしてると日が暮れちゃうからさっさとやってこう」
そう気合いを入れて、僕は倒したゴブリンたちを無限収納に入れつつ戦利品の確認をはじめた。




