#218 昼食、他愛のない会話
「速度に制限がかかってるゴーカートで、人って悲鳴上げられるんですねぇ~……」
「千鶴さん、一体何が……」
「速度制限のついたゴーカートってどうやったらドリフトできるんですかねぇ~……」
「ん、気合」
「気合でできるんだ……」
「ファンタジーがある世の中ならば、気合でドリフトなんて容易い」
「絶対に容易くないですよぉ~!?」
ゴーカートを降りて、二人と合流すると、千鶴お姉ちゃんがすごくげっそりしていました。
それから、何があったのか寧々お姉ちゃんが尋ねて返って来たのは、藍華お姉ちゃんがどういうわけかゴーカートでドリフトをしたというもの。
どうやったらできるんだろう……?
「くっ、今日の私はツッコミばかりですよぉ~……」
「ん、それが皐月さんの苦労」
「それ、藍華が言うことじゃないと思うぞ……」
「それはいいとして、次はどうする?」
「お昼に行くのはどう? なんだかんだ歩き回ったり、絶叫マシンって疲れるし、お腹空いちゃった」
「賛成ですよぉ~。ちょっと、私も休憩をはさみたいですしぃ~……」
「僕もいいよ! 早めに行かないと混んじゃうかもしれないしね」
「じゃ、決まり! 行こ行こ!」
次はご飯を食べに行くことに決まりました。
「とはいったものの、ここ、いろんなお店があるよね」
「そうですねぇ~。見たところ、フードコートのような場所から、レストラン系と言ったところでしょうかぁ~? レストラン系に関しては、何ヵ所かあるみたいですねぇ~。ちょうどこの辺りにもあるみたいですねぇ~。どうしますかぁ~?」
「私はどっちでも構わない。ここの食事、普通に美味しいらしい」
「へぇ~! 迷っちゃうねぇ。椎菜ちゃんはどう思う?」
「うーん……レストランもいいけど、個人的にフードコート系の方が気になるかなぁ。その方が遊園地っていうか、レジャー施設って感じがするし。あ、僕もどこでもいいからね?」
「なら、フードコート系にしますかぁ~」
「じゃ、それで! よーし、近くのフードコートにレッツゴー!」
話し合いの結果、フードコートに決まって、そこへ向かって出発。
幸いなことに、近くにフードコートがあったので、そこへ。
「おー、ちょっと早めだから、そこまで混んでないみたいだぞ」
「ん、ここから人が増えそう」
「ですねぇ~。でも、すごく寒かったらレストランの方に人が行きそうですけど、今日は暖かい方ですからねぇ~。こっち系も人が増えそうですよぉ~」
「それで、何にしよっか? 色々あるみたいだよ!」
「うーむぅ、迷うぞ。あとここのメニュー、オンラインゲームのコラボメニュ―っぽいし、なんかゲーム内アイテムももらえるっぽいね」
「値段はレジャー施設くらいといったところ。でも、手に入るアイテムにもレア度があるみたい?」
「今調べましたけど、超低確率で手に入るアイテムもあるみたいですねぇ~」
「「超低確率……」」
「え、えーっと、なんで僕を見るの?」
超低確率という言葉と一緒に、三人がなぜか僕を見てきました。
なんで?
「コラボ系のメニューなら全部に一番くじみたいなくじがもらえて、そこをめくるとアイテム名とシリアルコードが書いてあるっぽいぞ」
「ふむ……ちなみに、寧々はやってる?」
「恋雪さんと一緒にプレイしてるぞ! まあ、あたしはまだまだクソザコナメクジだから、恋雪さんに色々と助けてもらってる感じだけど。藍華と千鶴さん、椎菜ちゃんは?」
「ん、少しやってる。でも、ログインしたりしなかったりって感じ」
「私はそもそもオンラインゲームはやらないですねぇ~。あ、でも、椎菜ちゃんがプレイしてた、ステラブルー・オンラインはやってますよぉ~。今は理想のロリキャラを作るべく、課金しまくってアイテム金策してますよぉ~。妥協なしですぅ~。あ、このゲームはやってないですねぇ~」
「僕もやってないかなぁ」
どうやら、僕と千鶴お姉ちゃんがプレイしてなくて、寧々お姉ちゃんと藍華お姉ちゃんの二人はプレイしているみたい。
「そっかぁ。まあ、あそこでオンラインゲームやってる人って半々くらいだしねぇ。ま、何はともあれ、まずは名に頼むか決めよ決めよ!」
「私は……カツカレーにする」
「うーん、それなら私はぁ~……ラーメンにしますぅ~」
「僕はオムハヤシにしようかな」
「じゃ、あたしは激辛焼きそばで」
「「「それ行くの!?」」」
藍華お姉ちゃんはカツカレーで、千鶴お姉ちゃんはラーメン、僕はオムハヤシにしたんだけど、寧々お姉ちゃんはまさかの激辛焼きそば。
メニュー内では、
『超辛い!』『舌が痛くなって火を吹く辛さ!』『対策しても無駄無駄ァ!』
なんて文字が書かれてくらいなんだけど……。
え、これ食べるの?
「いやほら、あたし、激辛料理好きだし。ほら、いつぞやのイベントのあれも激辛だったし? つまりそういうことだぞ!」
「あれ、寧々さん自身が好きだったんですねぇ~……」
「当然! じゃ、注文しに行かないとね! って、一人は場所取り的な意味でいなきゃダメかな?」
「ん、誰が残る?」
「ん~……正直、誰が残ってもナンパされる気が……」
「さすがにない……と思う、よ? 僕は」
「私は知ってる。いつぞやの時、栞さんと皐月さんの二人と東京に遊びに行き、アニ〇イトの前で一人待っていた時、椎菜がナンパされたという事実を」
「うっ……あ、あの時は、多分、えと……も、物好きさんだっただけでっ……!」
そもそも、僕の身長って小学生くらいだし……胸は……人よりちょっと大きいかもしれないけど……だって、もしも僕相手に本気でナンパしてるとしたら、その……うん、すごく変な人って感じだし…………あの様子は、遊びだったはず……だよね?
「そうは言うけど、椎菜ちゃん。千鶴さんみたいな人は多いんだぞ、日本に。ロリコンっていうんだけど」
「ん、ロリコンは割といる。千鶴は……二次元三次元両方だからかなりアレだけど」
「否定はしないですねぇ~!」
「う、うぅん……それもそう、なのかな?」
「というわけで、二人で注文に行くとしよう! とりあえず、あたしと千鶴さんで行く?」
「いいですよぉ~」
「ん、了解。椎菜は私が守る」
「あれ、そう言う感じなの!?」
「そりゃ当然だぞ。仮にもし、万が一、椎菜ちゃんがナンパされようものなら……」
「ものなら……?」
「「「愛菜さんからの制裁が待ってる(ぞ)(んですよぉ~)」」」
「さすがのお姉ちゃんもそれはしないと思うよ!? 不可抗力だもん!」
だって、栞お姉ちゃんと皐月お姉ちゃんの二人と一緒に東京で遊んだ時だって、そんなことしなかったし……!
「椎菜ちゃんは愛菜さんの裏の顔を知らないんだぞ」
「裏も何もないと思うよ!?」
「ん、あの人は裏で日々、椎菜相手にやらかす人たちを見つけ出し処している」
「警察は怖い、ということですよぉ~」
「そ、そう……なんだ……」
「なので、守護る」
「うんうん、それが一番いいとうことでね! んじゃ、あたしと千鶴さんの二人は注文してくるぞ! あ、飲み物はどうする?」
「私はジンジャーエール」
「あ、えと……白ぶどうで!」
「了解! 行こ行こ、千鶴さん!」
「了解ですよぉ~」
僕と藍華お姉ちゃんの飲み物の希望を聞いてから、二人は注文窓口の方へ。
この場には僕と藍華お姉ちゃんの二人に。
「僕と藍華お姉ちゃんの二人になるのって、そう言えば久しぶり、なのかな?」
「たしかに? と言っても、椎菜はいろんな人と一緒にいるけど」
「あ、あはは……気が付くと、誰かといるのは確かかも」
「というより、椎菜は二人きりになる、という状況が少ない気がする。最近だと、杏実は二人きりだった気がするけど」
「僕は大人数でいるのは好きだけど、たしかに二人きりは少ないかも」
多いのは、お姉ちゃんと栞お姉ちゃんの二人くらいかな?
ほかだと……あれ? たしかにないような……。
「三人以上でいるのが常時で、今みたいに二人きりというのはすごく珍しい」
「うん、そうだね。藍華お姉ちゃんと二人きりになったのは……あー、お家にお邪魔した時かな? 色々なあれこれで」
「ん、十二月くらい。……今でもトラウマ」
「トラウマって……ちゃんとした生活を送ってないのが悪いんだからね? お仕事をしていた時とは違って、今は自分で時間の管理ができるんだから。配信で朝まで歌配信、とかならまだいいけど……素で徹夜はよくないからね?」
「うっ……」
「ちなみに……最近の夜更かしは?」
「…………も、モデリングが絶好調でして……その、まあ……たまに、時間を忘れて作業を……」
微笑みながら最近の夜更かし事情について尋ねると、藍華お姉ちゃんは冷や汗を流して、視線をスゥーー……と逸らしてそう答えました。
「……うーん、できれば休んでほしくはあるけど……そう言う作る作業って、ノリにノッてる時にしかできないものもあるらしいから、強くは言えないかなぁ……」
「え、怒らないの?」
「お姉ちゃんもそう言う理由でよくやるし、クリエイターさんたちって、少なからずそう言う面があるからね……でも、やりすぎはダメです。徹夜したら、その分作業が終わった後に休まなきゃだめだからね? あと、カップ麺もダメです」
「うっす……」
「まあでも、さすがに何回も口を酸っぱくして言ってるんだし、大丈夫だよね」
「だ、大丈夫であります!」
本当に大丈夫なのか心配だけど……まあ、そのうち抜き打ちチェックをする予定だからね。
藍華お姉ちゃんの行動については、一緒のマンションに住んでるほかの人に聞いてみよう。
とはいっても、藍華お姉ちゃんは基本的にお家にずっといるタイプで、あまり外に出ないみたいだけど。
「じゃあ、このお話は終わりにして……そう言えばだけど、藍華お姉ちゃんって歌が上手だよね? あれって昔から練習したの?」
「歌……というより、声を使ったものが昔から得意。実は歌が先で、その後に声真似が来てる」
「そうなんだ?」
「ん。最初は歌が上手かったから褒められて、嬉しくなったから、今度は本系の歌い方とかを真似するようになった。結果、声真似をしながら歌を歌う、という特技に。そこから派生して声真似、ということ」
「なるほど~」
そう言う経緯だったんだ、藍華お姉ちゃんのあの声真似って。
てっきり、声真似が先だと思ってたんだけど、歌が先だったんだ。
「ちなみに、声真似をするようになって、学生時代の友人たちを腹筋崩壊させてきた」
「それは……うん、すごくイメージできるなぁ……」
だって、それをやられてる僕たちが大爆笑してるしね……。
それに、イベント二日目にあった藍華お姉ちゃんのステージ、会場もそうだけど裏にいたスタッフさんたちもすごく笑ってたらしいからね。
うん……今思い出してもあれはすごかった。
「声真似で笑わせることは容易い。ただし、タイミングをミスると効果が薄いけど」
「やっぱりそう言うところは難しいんだ」
「ん。笑いを取るのは簡単じゃない」
「そっか」
二人が戻ってくるまでの間、僕と藍華お姉ちゃんは他愛のないことをお話しました。
実はこの後の部分というか、昼食の描写は全部書けてたんですが長くなったので、続きは明日投稿します。
決して、昨日の夜の私が「土曜日分書かなくて済むやんけェ!」とか思ったからではないと言いたいです。ただまあ、一日書かなくてよくなったのは素晴らしいねっ!




