配信#39ー4 VR配信だよっ!:4
クッソ駆け足だし薄い、すまん。
「おかーさん、ここってなぁに?」
「ここ? えーと……お料理屋さんだね」
「……ごはん」
「さっきご飯は食べたばかりだよ?」
「「デザート!」」
色々と見て回っていた時、二人が見つけたお店(?)がお料理屋さんだとわかると、二人はデザートが食べたいとせがんできました。
VR空間の中だから、今食べても虫歯にはならないだろうけど……
「でもここって使えるのかな?」
問題なのは、ここが使用できるのかなぁと言う事。
個人的には使えないような気はしてるんだけど……どうなんだろう。
「どしたの、みたまちゃん」
「あ、お姉ちゃん。えっと、二人がお料理屋さんを見つけて、それでわたしにデザートが食べたいって言って来てて。でも、ここの建物が使えるかわからないんだよ」
「あー、そういうこと。たつなちゃん、何か知ってる?」
「ちょっと待って。メモを確認してみよう。…………なるほど、どうやら私たちは先行で一軒家か店が貰えるみたいだ」
「ん、それ大丈夫? 案件とはいえ、かなりアウトな気がする」
「ですねぇ。炎上しねぇですかね?」
【うーん、贔屓】
【まあでも、らいばーほーむだからなぁ……】
【正式にサービス開始ってなったら、らいばーほーむもなんか忙しくなりそうだし、いいのでは?】
【案件ってそういうもんじゃないの?】
【まあ、炎上したらしたでやべぇのが動くからセーフでしょ】
【みたまちゃんと陛下に飛び火しなきゃ大丈夫大丈夫。飛び火したら……ご愁傷様です】
「まあ、ほら、そういうのも仕事なんじゃない? というわけで、みたまちゃんこの物件にする? 私の見立てでは、ちょっとおしゃれな喫茶店的な店構えだからすごくありだと思ってるんだけど。あと、やりたかったら実際に料理を売れるし、将来的に料理系の道に進みたい、とかおもってるならすごくいいと思うんだよね」
「あ、たしかに」
もうすぐ三年生になるし、将来のことも本格的に考えないといけないわけだけど、僕自身は何をしたいのかよくわかっていない。
VTuber専門でもいいのかもしれないけど、戸籍上でも二人のお母さんでいる以上は、さすがに配信者一本っていうのもあんまりよくないし。
まあ、最近はなぜか社長になると言う案もあるけど、それは今はいいとして……個人的にはお料理が好きだし、飲食店もいいなぁ、なんて。
今あるお金を元手にお店を開くのもいいかもしれないし……そう言う意味でも、予行でやってみるのはあり、かも?
「……うん、ここにしようかな? それに、二人がデザートが食べたいってすごく見て来てるしね」
「おっけー。ちなみに買い方は至ってシンプル、購入したい建物の半径10メートル以内に入って、メニューウィンドウを開くだけ! その中に、建物っていう項目があるので、そこを押して、購入したい建物を選択。で、購入ボタンを押すだけ。本来なら、VPを使用するけど、今回は特別チケットが私たち全員に配布されているから、それが実質的なお金になるよ!」
「ありがとう、お姉ちゃん。じゃあ、購入!」
というわけで、お姉ちゃんの説明通りに建物を購入。
すると、目の前のウィンドウが出て来て、
『ご購入ありがとうございます! 飲食店系統の建物をご購入したため、自動的に調理器具や食材などが建物内に送られます。尚、初回のみの機能ですので、以降の調理道具や材料の入手にはVPが必要となりますので、ご了承ください』
って表示されました。
なるほど、初回は材料を買う必要はないんだ。
でも、お金を稼がないとダメなんだ。
うーん、これ、結構経営のことが学べるかも?
「おかーさん、デザート!」
「……たべたい、です」
「あ、そうだね。それじゃあ、中に入ろっか。あ、みんなも一緒にどうぞ! みんなの分も作るよ!」
『『『やったぜ!』』』
二人にせがまれたので、お話は一旦やめて建物の中へ。
その際に、みんなの分も作ると伝えると、すごく喜ばれました。
ちょっと安心。
【まさかの飲食店】
【建物を買うのが一番早いのみたまちゃんなの笑う】
【いや待て……なぁこれ、みたまちゃんの料理が食べられるってことでは!?】
【お前天才か!?】
【え、これ普通に営業すんの!? だったら普通に行きてぇんだけど!】
【みたまちゃん、その辺どうなの!?】
「みたまよ、コメントでこの店は営業するのか聞かれておるが、どうするのじゃ?」
「お店? 買ったら買ったで多分やると思うよ? 配信内ではやるかわからないけど、プライベートでは多分」
お店の中に入って、デザートの準備をしているとリリスおねぇたまを通してお店の経営についての質問が来たので、僕は材料を確認しながらそう返す。
せっかくお店が手に入ったんだし、出来ればお店もやりたいしね。
「みたまちゃん! それ予約OK!?」
「ん、私もしたい」
「うちもしてぇですねぇ」
「あ、ならウチも! みたまっち、OK?」
「あらあら、そういうことでしたら、私も予約を入れたく……」
「え、えーっと、まだどういう風にするか決めてないんだけど……というより、予約って必要なのかな?」
「どう考えても必要だが!?」
「そ、そうかな?」
そもそも、人気(?)とはいえ、僕のお店にそんなに人が来るとは思えないし、そもそも予約が必要なレベルにならない気がするんだけど……あと、予約ってできるの? 機能的に。
なんて、予約ができるのかというのと、そもそも予約が必要なのかわからない僕に対して、お姉ちゃんが熱弁を始めました。
「そうだよ! だって、みたまちゃんが料理上手で、その上かなり美味しいことは有名なんだよ!? いくら初期に販売される台数が五万台と言えど、絶対殺到するに決まってるよ! あと、確実に行列ができるし、凄まじく人気が出るだろうと言うのは明白! つまり、予約は必須ゥゥゥ!」
「そ、そう、なんだ」
「それに関しては、私も同感かな」
「我も」
「ウチもー」
「ん、絶対必要」
「みたま様の手料理と言う至高のものですので、当然かと」
「ですねぇ」
「みんな同じなの!?」
【草】
【草】
【そりゃそうだよw】
【サービス開始したら、確実にみたまちゃんのお店は繁盛店になるだろうからなぁ……】
【なんだったら、課金して近くに家とか買う奴でそう】
【みたまちゃんの料理とか食べたい気に待ってるだルルォ!?】
「って、コメントがすごいことに!?」
かなりの数の食べたいコメントが!?
僕のお料理ってそんなに食べたい物なの!?
「まあそういうことなので、私としてはマジでお勧めするよ」
「う、うーん……か、考えておきます……」
ここで断言しないで、あとで考えよう。
うん、今はデザートを作るのが先決だしね。
「ともあれ、作っちゃわないと」
「おかーさん、なにつくるの?」
「……おいしーものがいー、です」
「あはは、もちろん美味しいものにするからね」
「「んぅ~~」」
『『『ぐふっ……!』』』
「え、なんで鼻血と吐血!?」
二人の頭を撫でたら、なぜかみんな鼻血と吐血を出しました。
本当になんで!?
「ふっ、全員コマンドはオンにしたようだね……!! それでこそ、みたま教の信者!」
「いや私は信者じゃないが?!」
「らいばーほーむメンバーは全員、強制的なのだ」
「えぇぇぇ……」
というより、鼻血と吐血ってゲームの中でも出るんだ……。
「おかーさん?」
「あ、ごめんね。そうだね……配信自体そんなに長くできないし、何より明日学校だからそんなに時間がかからないものにしないとだよね。中にある材料的に…………うん、フルーツサンドでも作ろうかな」
【まさかのフルーツサンド】
【デザートっていうか、おやつってイメージが強い】
【もしくは昼食の後に食べる感じ?】
【フルーツサンドいいね】
【でも、生クリームってあるのかな?】
「それじゃあ、ささっと作っちゃうね。とりあえず……えーっと、お姉ちゃん、超人コマンドってどこにあるのかな?」
「メニュー内のアバターを選択して、右上にある横線三本の所を押すと、コマンドがずらーっと出て来るから、その中にある超人コマンドを押せばOK」
「ありがとう!」
お姉ちゃんに教えてもらった通りに超人コマンドを押して、現実の方の体に近づける。
さすがに、生クリームを作るにしても時間がかかるかもしれないので。
残念なことに、ハンドミキサーがないから、手でやる必要があるからね。
「えーと、フルーツはイチゴでいいかな。それから……パンを切って、と」
早速料理開始。
食パンの耳部分を切り落として、イチゴを半分のカット。
パンの耳は……あ、しまえるんだ、すごくありがたいし、今度ラスクでも作ろうかな。僕はあまり好きじゃないけど、お姉ちゃんが好きだし。
パンを切ったら、今度は生クリーム作り。
大き目のボウルに生クリームを入れて、上白糖を入れてひたすら混ぜる。
これ、手作業だとすごく疲れるんだよね……まあ、今はTS病になったおかげで疲れにくくなったけど。
「みたまちゃんの手、残像が見えてるんだけど」
「じゃなぁ……しかも、あの速度で混ぜてるのに、一切飛び散っておらんし……さすがみたまじゃな……」
「みたまっちってお菓子作りもできるのがマジすごいと思うし」
「ん、考えてみたら、暁さんの上位互換みたいな感じ」
「まぁ、料理とお菓子両方できますし、どっちも高水準ですからねぇ」
「なるほど、あのようにして作るのですか」
「ちなみにだけど、リアルでもあの速度で作れるよ、みたまちゃん」
『『『マジですか』』』
【速すぎるんですけど!?】
【生クリームを作る人の腕の速度じゃねぇ!】
【速すぎてなんも見えねぇわ】
【あれも現実で出来るみたまちゃんがバグってる……】
【姉妹揃って身体能力バケモンじゃん】
【ゲーム以上と同等以上の挙動なのが一番おかしい】
「よし、生クリーム完成! 味も甘すぎなくて丁度いいね。あとは生クリームとイチゴを挟んで……はい、出来たよ、イチゴのフルーツサンド! 召し上がれ!」
『『『いただきます!』』』
「はむはむっ……おかーさん、おいしー!」
「……おいしー、です」
「いやぁ、やっぱみたまちゃんの作る物はなんでも美味しい!」
「そうだね。しかし、ハンドミキサーのような物を使わずに、短時間で美味しい生クリームを作れるのはすごいというか……うん」
「うむうむ、すごく美味しいのじゃ!」
「ん~~! マジ美味しいし!」
「ん、カロリーとか一切気にしなくていいのが素晴らしい」
「そうですねぇ。うちは別の気にしねぇですけど、世の女性からすればかなりいいんじゃねぇですかね。しかも、お腹に溜まる感じもありますし」
「確かに、女性は自らの体の維持に必死になる方も多いものです。かなりありがたいものかと」
そっか、たしかに実際に食べるわけじゃないから、いっぱい食べても太ることはないもんね。
【考えてみればそうじゃない!?】
【しかも、味覚がちゃんと再現されてるみたいだし、ダイエット期間中でもこっちならいくらでも食べてもいいと言う事……! ダイエットしている人にとってはものすごく欲しいじゃない!】
【美味しいものをたくさん食べても太らないとか、神ゲーじゃん!】
【くっ、手に入れられなかったのが悔やまれる……】
【いっぱい食べても太らないって、女性からすりゃマジで理想だもんな……】
【そりゃそうかぁ……】
「あ、たくさん作ったので、遠慮しないでね!」
『『『はーい!』』』
◇
デザートを食べた終える頃には、配信時間も残り少なくなっていました。
なので、時間になる前にライブをしてしまおう、ということで僕たちは最初のエリアに戻って来て、僕とリリスおねぇたまは衣装チェンジ。
イベントで使用したモデルもちゃんとあったからね。
なので、ライブ機能を使ってセットを出して、僕とリリスおねぇたまのライブが始まったんだけど……
「――わたあめみたいにふわふわな恋は♪」
「――あまーくて、とろけちゃうね♪」
『『『げはぁぁぁぁっ!』』』
【【【ごぶふっ!】】】
ライブを始めるなり、ゆあちゃんとゆいちゃんの二人以外は鼻血と吐血を出しながら倒れました。
なんかもう、最近慣れて来ちゃいました。
「あなたはいつもわたしを優先してくれるけど」
「わたしも同じくらい優先したいの」
「あなたをもっと好きになりたい」
「わたしをもっと好きになってほしい」
「そう思うのはわがままかな?」
イベント前にたくさん振り付けの練習はしたし、歌の練習もしたけど、最後にやったのがイベントの日だったので、憶えているか不安ではあったんだけど……うん、全然憶えてました。
歌いながら踊って、お互いに顔を見合わせたり、背中合わせになったり、そんな振り付け。
たくさん練習したから、今でも沁みついてるみたいだしね。
【アァァァァ!?】
【( ˘ω˘)スヤァ……】
【イベントの時にも聞いたけど、マジでこれはアカン……】
【Aメロで殺しに来るなや――……】
「恋の形は人それぞれ」
「わたしは明るく楽しく」
「あなたは真っ直ぐ温かくて」
「だから恋は楽しいね!」
「あなたはあなたのままで」
「わたしはわたしのままで」
「あなたとの甘い恋を楽しみたい!」
「「だからずっと一緒にいようね!」」
と、一番の歌詞を歌いきって、その後も二番と三番を歌って……
『『『( ˘ω˘)スヤァ……』』』
【【【( ˘ω˘)スヤァ……】】】
「「おかーさんたちすごーい!」」
ゆあちゃんとゆいちゃんの二人はぱちぱちと拍手しながら、キラキラとした瞳を僕たちに向けて、お姉ちゃんたちはすごくいい笑顔で倒れていて、コメントの方もその、同じ文字がずらーーっと並んでいました。
「えーっと……リリスおねぇたま、これって、配信は終わらせちゃった方がいい、のかな?」
死屍累々なんて言葉が頭の中に浮かぶほどの惨状を目にして、僕は苦笑い交じりにリリスおねぇたまにそう尋ねました。
「そうじゃなぁ……さすがに、ゆあとゆいの二人も夜更かしになってしまうし、斬った方がいいと思うのじゃ。あと、我ら以外全員死んどるから」
「だ、だね。え、えーっと、それじゃあ……前半戦の配信はここまでだよ!」
「次は後半戦の者たちの配信じゃからな! うむ、まあ、このまま見てくれると嬉しいのじゃ! あ、しかし無理はいかんぞ! 夜更かししてまで見てほしいとは思わんからな!」
「「それじゃあ、ばいばーい!」」
「「ばいばーい!」」
『この配信は終了しました』
前半戦がメッチャ書きにくかった……って言うかマジで調子が悪い疑惑が出てきました。
もうちょっと濃くしたかったし、ライブもやりたかったんですが、さすがに歌詞を考えるのがクッソ大変なので……。うん。
次回は設定回というか、いい加減説明しといた方がええやろなぁ……ってな感じの物を投稿します。
邪神が強い理由とかね。




