#199 桜木家にて、それはなんてことない普通の準備
短め且つ薄くてすまん。
柊が椎菜を自宅に招き、時間稼ぎをしている時間から少し巻き戻り、桜木家では。
「あらあらまぁまぁ! 椎菜の誕生日に、みなさん集まってくれるなんて……うふふ、ありがとうございます。母として、とても嬉しいわ~」
椎菜の誕生日会をするために、らいばーほーむメンバー全員がやって来ていた。
事の発端は二日前のあの会議の後である。
「お母さん、椎菜ちゃんの誕生日会やらない?」
「あら、どうしたの? 突然。毎年誕生日会はしてるはずよ?」
「あ、いや、そう言う事じゃなくてね? ほら、椎菜ちゃんらいばーほーむに入って、交友関係が広くなったでしょ? それで、椎菜ちゃんはらいばーほーむ内でも貢献したし、何より助けられ人がいっぱいいるわけよ」
「そうねぇ。特に家事サービスなんかはその最たる例ね」
「んで、私は思いました。恩返しも兼ねて、らいばーほーむメンバー全員で誕生日を祝ったらどうか、と」
「あぁ、なるほど。そういうことね!」
「それで、うちに全員招きたいんだけど、OK?」
「もちろんOKよ~! むしろ、大勢でやった方が楽しいもの! 是非呼んで?」
「やったぜ!」
という一幕があった。
尚、父親の聡一郎もいたのだが、なぜかスルーである。
父親ェ……。
そんなこんなで、椎菜の誕生日当日、椎菜たちが学校に登校した後、雪子は朝からうっきうきで仕込みをしていた。
もちろん、聡一郎も手伝わせており、聡一郎は飾り付け係である。
聡一郎、あまり料理が得意じゃないので……。
愛菜の方は、色々と準備。
そうしてせっせせっせと椎菜の誕生日会の準備をしていると、らいばーほーむメンバーがやって来た、と言うわけである。
で、まあ、なんだ、母性の塊こと、椎菜の母である雪子と言う存在は、言ってしまえば椎菜以上の母性お化けである。
まだ十七歳の椎菜の母性をそれこそ熟成させたかのような、圧倒的母力を持つ雪子の存在は、とある人物に刺さったと言うか……
「お、お母様ッッ…………!」
まあ、ツンデレちゃん改め、おぎゃリストこと、ミレーネである。
愛菜の出迎えを受けたらいばーほーむ一行は、そのまま誕生日会の飾りつけなどが行われているリビングへ向かったわけだが……そこには、鼻歌交じりに料理の仕込み、そしてケーキ作りに勤しんでいる雪子と、飾りつけなどをしている聡一郎の姿があった。
そう、母性の塊が、シンプルなエプロン(過去に椎菜がプレゼントした手作りエプロン)を身に着けて料理をしているのだ。
ほんわかとした微笑みを浮かべているのがポイントである。
そんな母性の塊がおり、そして先ほどの雪子の歓迎の言葉を受け、どこぞのおぎゃリストは雪子から放たれる母性オーラを受け、その場に崩れ落ち、拝みだしたのである。
お前は何をしているんだ。
「あらあら、その反応……もしかして、あなたがデレーナさんかしら~?」
「は、はいっ! に、二期生のおぎゃリストやってます! デレーナ・ツァンストラで、本名四季ミレーネです! よ、よろしくお願いします! お母様ッッ!」
「うふふ♪ 元気な方ね~。たしか、椎菜の母性の深みにはまっているとか?」
「娘さんにはいつもおぎゃらせてもらっています」
「いやミレーネ君、その発言はおかしいし、実母の前で言う事じゃない」
「うふふ、お気になさらず。でも、ふふっ。きっとお仕事が大変なのね」
「えっ、あの……?」
「よしよし、頑張る人は好きよ~? だから、これからも頑張ってね?」
「アッ――」
圧倒的母力を伴った笑顔と共に頭を優しく撫でられた結果、ミレーネ安らかな笑顔で死亡。
これは酷い。
「あ、ミレーネっちが死んだ」
「皐月先輩、千鶴さんも死んでるぞ」
「そっちのロリコンは弱点がブラックホールになってるから、単なる自滅だから……まあ、さすがに迷惑はかけられないから、起こそうか」
「ん、いつものことだけど、色々納得。さすが、椎菜のお母さん。立ってるだけで、母力が凄まじい」
「あらあら、実際に見ると面白いのね~。あ、そうそう、私には敬語は不要だからため口でいいからね~。自分の家だと思ってくつろいでね~」
「う、器が、大きい、ですぅ……!」
「これが、椎菜さんのお母様の器……! 素晴らしいですわ!」
「まあ、お母さん細かいことは気にしない、ほんわか大らかな人だからねぇ。っと、そんなことよりも……はい、全員椎菜ちゃんが帰ってくるまでに色々と準備を終わらせるよ! 料理できる組は、お母さんの手伝いで、それ以外は飾り付け! はい急ぐぅ!」
『『『了解(です)(だぜ)(やぁ)』』』
愛菜の号令で、メンバーたちは準備を進める。
料理できる組の、栞、冬夜、千鶴はそのまま雪子の手伝いに入り、聡一郎が担当していた飾り付けなどはそれ以外のメンバーが手伝う。
桜木家のリビングは割と広いのだが、十人以上で準備を進めるとなると、作業効率も凄まじいものに。
特に、邪神がいるのがデカい。
奴は基本、何でもできる。
あと、デザイナーが本職なこともあって、準備はサクサクと進むし、飾り付けもすごい勢いで完成していく。
そうして気が付けば準備が完了してしまった。
「あらあら、びっくりするくらい早く終わっちゃったわ~」
「全員でやったからなぁ……そら早いわぁ」
「そうですね。やはり、このような準備は大人数でするのが正解と言えるでしょう。しかし、今は色々なものがあるのですね」
「百均は便利よね~」
現在の桜木家のリビングは、花(造花)や折り紙で作った飾りなどが綺麗に配置されており、なかなかに見栄えがいい。
そして、雪子お手製の料理はあとは最後の仕上げをする直前となっており、ケーキも既に完成済み。
ただ、サプライズにするべく、今は何とか頑張ってケーキの存在を隠したところである。
準備が終われば、雪子が思い思いくつろいでほしいとメンバーたちに告げる。
最初は遠慮がちだったが、既に来たことがあった小夜は普通にソファーに座り、そのままテレビを点けた。
それを皮切りに、他のメンバーも思い思いに過ごし始める。
だがまぁ、この場にいるのはらいばーほーむメンバーである。
そうして、思い思いに過ごしていると、ガチャ! と玄関の扉が開く音が聞こえ、その次にとてとて! という小さな足音が聞こえてくる。
足音は階段を上って二回へ移動すると、一階に降りてそのままリビングに向かってきて……
「「ただいまー!」」
双子(ケモ耳、ケモ尻尾付)が入って来た。
「あー! おねーさんたちがいるですっ!」
「……ほんと、です。どーして?」
「お帰りなさい、みまちゃん、みおちゃん。今日は椎菜の誕生日会だから、みんな来てくれてるのよ~」
「あ、そーでした!」
「……ありがとー、です」
誕生日会のために来たと言えば、二人は嬉しそうに笑い、みおがお礼を口にする。
ぺこり、と頭を下げながら、そして尻尾がふりふりとしている姿はとても愛らしく、らいばーほーむメンバーはほっこりしたし、
「げはぁっ……!」
ロリがクリティカルヒットなロリコンが血を吐いて倒れた。
でしょうね。
まあ、他のメンバーも大なり小なり鼻血を流しているが。
「ふ、二人は、プレゼントは、決まってる、ん、ですか?」
と、比較的軽傷な恋雪が、椎菜の娘である二人に誕生日プレゼントについて尋ねる。
「うん! 決めてるの!」
「……ばっちり、です」
「うふふ、椎菜のことだから、二人の誕生日プレゼントはきっと無条件で喜びそうね~」
「うんまあ、私たちがどれだけいいものを用意しても、きっとみまちゃんとみおちゃんの二人には敵わないと思うよ」
「だなー。ま、いいんじゃねぇか? さすがに子供には勝てないもんだしな」
「一応最年少なんですけどねー、椎菜ちゃん。やっぱりバグですよー」
「母性あるところに子供ありよ」
「ミレーネさんが何言ってるのかわからないぞ」
「ん、わからなくてもいいこと」
「ミレーネっち、マジで変わったし。……ってゆーか、すっかり母性狂いの変態になったっしょ」
「本当にね……私の胃が死ぬよ……」
「変態じゃありません! ただ単純に、あたしの魂がおぎゃりを求めていただけ!」
「さすがミレーネさんですわ……! なるほど、これがおぎゃリスト……その精神性、見習う物がありますわね!」
「そんな物ないが!?」
ある意味純粋なお嬢だった。
まあ、それはともかくとして、みまみおが帰って来て、家の中はさらに賑やかに。
二人の頼みでアニメを見たり、ゲームをしたりと楽しんでいると、椎菜の同級生である麗奈がやって来た。
「こんにちはー! おー! 本当にいる!」
「お、来たね麗奈ちゃん! それで、椎菜ちゃんの様子は?」
リビングへやって来た麗奈に、愛菜が話しかけ、椎菜のことを尋ねる。
「とりあえず、高宮家が遊びに行くと言う名目て時間稼ぎ中です! さっきLINNがあって、アルバム見てるとのこと!」
「おっけー、ありがとう! ……と、言うわけなので、そろそろ椎菜ちゃんを呼び出す方向で行こう! あ、各々プレゼントはちゃんと用意してるね? プレゼントは椎菜ちゃんに見られないように! では、最終段階GO!」
『『『OK!』』』
椎菜を招くべく、一行は最後の仕上げに入るのであった。
めんどくさ――ゲフンゲフン! ちょっとアレだったので、誕生日会の前に、準備風景を流すことで一話を嵩増しッ!
これで、#200を誕生日回にできるね!




