#197 時間が戻って、椎菜抜きの誕生日会会議的な
この話の括りを閑話にするか本編にするかどうかで迷ったけど、本編にしました。
少しだけ時間が戻って、2月4日。
「と言うわけで、明後日の6日は椎菜ちゃんの誕生日となります」
『『『!!!???』』』
突然邪神こと、桜木愛菜……つまるところ、椎菜ちゃんの世界一の姉である私の口からもたらされた情報に、集められたらいばーほーむの面々が雷に打たれたような顔を浮かべた。
「え、今? 今それ言うのかい!?」
「うん」
「突然すぎるわぁ!? うち、何も知らんのやけど!?」
「そりゃ俺もだぜ、栞」
「ちょっ、え、待って? 椎菜さんって、2月6日が誕生日だったんですか!?」
「そだよ? ちなみに、2月6日って狐の日らしいよ」
『『『リアルみたまちゃんだったか……』』』
ほんとスゴイ偶然だよね。
椎菜ちゃん、なるべくしてお狐様系ロリVTuberになったんじゃないか、ってくらいだよね。
まあ、偶然だけど。
「ってなわけで、みたまちゃんが誕生日と言うことで、折角だから誕生日会をしようかと思い、みんなに集まってもらったわけよ」
「り、理解し、しました……!」
「なるほどですねー」
「四期生もちゃんと招集されてて安心したぞ」
「わたくしもですわ」
「いや、既に四期生のみんなもらいばーほーむの仲間だしね! やはり、こういうことは仲良くみんなで! ってのが仲間ってもんよ!」
「ん、愛菜さんはそう言うところはまとも」
「そういうところは、は余計だよ? 藍華ちゃん?」
まあ、否定はしないけど。
ちなみに、今現在私たちがいるのは、恋雪ちゃんと千鶴ちゃんの二人がゲーム開発用に用意した建物。
なんとびっくり、普通にビル。
なんだったら、テナントとして貸出もしてるみたいで、しれっとそこでテナント料を稼いでるとか。
さすがハイスペック組。
将来的には、ここに椎菜ちゃんの会社を建てたいとは思ってるけどね!
椎菜ちゃん、あの10億円以上の資産をそれでなくそうとしてるけど、どうあがいても増える未来しか見えないよねぇ……。
ま、それは言わなくてもいっか。
「あ、ちなみにだけど、6日プライベートで用事があって無理! って人は正直に言ってね? さすがに無理させるわけにはいかないからね」
『『『!!!???』』』
「おっとー? なんだいその、『え、お前本当に愛菜!?』みたいな顔は」
「いや、実際にその通りなんだが」
「ですねぇ。ぶっちゃけ、愛菜さんのことだから、椎菜ちゃんの誕生日会に来ない奴はぶっ殺すぜぇ! くらいは言うんじゃねぇかと思ったんですがね」
「さすがの私でもそこまではしないよ!?」
いくらなんでも、そこまでするような人じゃないんですがね! 私!
信用無いなぁ! 私ぃ!
「そこまでは、なんですね。まあ、愛菜さんならとんでもないことしそうですが……」
私の叫びに、柊君が苦笑い交じりにそんなことを零す。
うーむ。
「柊君。一つ言っていい?」
「なんですか?」
「正直君……敬語だとミレーネちゃんと口調が被ってるからわかりにくい」
「なんの話ですか!?」
「わかりにくいか、わかりやすいかの話。っていうか、椎菜ちゃんが普通に私たちにため口で話してるんだし、柊君も敬語抜きでよくない? っていうか、目上の人相手の敬語だから、余計にわかりにくいんだよね。椎菜ちゃんこの場にいないし」
「だからマジで何の話ですかそれ!?」
「というわけで、君は今から敬語抜きで話すように! はいこれ命令!」
「拒否権は?」
「あるわけないじゃーん?」
「……まあ、別に構わないです……いや、構わないが……」
「はいOK! これでわかりやすくなったね! まあ、俊道君と若干被って様な気がするけど、エクスクラメーションマークの有無で判断できるからヨシ!」
「愛菜さん、今日はメタくねぇです?」
「気のせい気のせい!」
あれだよ、私はありとあらゆる人への配慮ができる、いい女ってことよ。
そうだよね? ね? そこのキミィ!
「んで、プライベートで予定ある人はいる? いたら正直に言ってね!」
「ちなみにですけれど、仮にもし、用事があるとなった場合は、どうなりますの?」
「どうもしないよ? ただちょっと…………椎菜ちゃん、もしくはみたまちゃんへの愛を綴った手紙を、20×20の原稿用紙10枚分に書いて提出してもらうだけだから☆」
『『『それ出来るの、愛菜(先輩)(さん)くらいだろう(でしょ)!?』』』
『『『余裕!』』』
「うん、出来る人がいるってのが実に素晴らしいね!」
ツッコミを入れたのは、男三人、皐月ちゃんの四人かな。
他は余裕と。
素晴らしい!
「なぜ余裕と言える人がいるのかがわからないんだが!? というか、ミレーネ君に関しては君、常識人枠だよね?! なんでそっち側!?」
「皐月さん。あたしは椎菜さんのためなら、それくらい余裕です」
「うわー、なんて澄んだ瞳なんだ……」
「まあ、そんなことは置いといて。とりあえず、いないでOK?」
『『『OK!』』』
「ならよし。まあ、誕生日会って言っても、メインはやっぱり誕生日プレゼントになるんだけどね。ちなみに、既にこれ贈る! って決めた人いる?」
なんて私が尋ねてみると、スッ――と三人の手が上がった。
まあ、三人となると色々と予想できるよね!
「愛菜。絶対にあの三人はとんでもないものをプレゼントすると思うんだが」
「うん、それは私も思うけど……椎菜ちゃんへの愛があふれ出し、暴走した結果だからヨシ!」
「絶対によくないと思うんだが!?」
「おっ、いいツッコミだぜ、柊!」
「うんうん、速攻ツッコミを入れられるなら、ボクたちの配信でも大丈夫そうだねー」
「いや今のその話じゃないと思うぞ!?」
「柊君がツッコミを……!? あぁっ、なんて心強いんだっ……! ちょっとお酒持って来る」
「飲む気!? 皐月さん飲む気なのか!? せめて話し合いが終わってからにして!?」
「冗談冗談。……二割」
「残りの八割本気じゃねぇかっ……!」
うんうん、あれだね、柊君が入って来たことによって、皐月ちゃんも若干ボケになりつつあるよねぇ。
まあ、それはいいんだけど。
ただまあ、皐月ちゃんが本格的にボケに回ろうものなら、今度は柊君が死ぬからなー。
とはいえ、らいばーほーむに入れる人間である以上、そして私の弟子である以上、柊君がそう簡単にくたばることはないだろうし。
仮に、十六人全員でコラボします! ってなった場合でも、柊君ならば問題はないだろうということは明白……ぶっちゃけ、一対十五になっても問題なさそう。
「ともあれ、誰も予定がないって方向で進めてOK?」
「私は問題ないよ。特に用事はない」
「うちもないなぁ」
「俺もその日は朝から夕方手前まで仕事だが、その後なら空いてるぜ」
「あたしも問題ないです。時間は捻出するもの……! あと、絶対面白いことになるのが明白なのに、行かないわけがないですよ! プールの時も行けなかったんですし! あと、椎菜さんの誕生日は絶対祝う!」
「わたしも、も、問題ない、ですぅ……!」
「あーしも問題なーし!」
「あたしも問題ないぞ」
「ん、モデリングもかなり落ち着いてきてるから大丈夫」
「仕事丸投げしていきますよぉ~」
「わたくしも授業は午前だけですので、問題ありませんわ」
「私は常に時間があります故、問題はありません」
「うちも仕事は今はねぇんで、問題ねぇですよ」
「俺はお察しだな」
「おっけー。全員問題なし、ということで。そうと決まれば、当日何をするか、いや、何を用意するか、ということになるわけだね。具体的には、誕生日プレゼントとケーキ」
私がそう口にすると、全員たしかにと頷く。
正直な話、椎菜ちゃんの好きな物って、基本的に食べ物であることが多いから、物をプレゼント! ってなると、かなり難しくなるんだよね。
二次元のコンテンツが大好き! ってわけでもないし、好きな歌手が! とか、そういうのもないわけで。
まあ、それ以前の話として……椎菜ちゃん、物欲があんまりないからなぁ……。
この場にいるメンバーたち、特に柊君なんかは私含めてこの中で一番付き合いが長いからこそ、悩むことだろう。
この私でさえ、最適解はえんがわ、としか思い浮かんでないのが実情。
くっ、この私がなんともまあ情けないことですよ……!
「って、そう言えば恋雪ちゃん、杏実ちゃん、千鶴ちゃんの三人は何か思い浮かんでたっぽいよね? なにを贈る予定なのか、今ここで吐くのです☆」
「別荘」
「タワマン」
「土地」
『『『アウトーーーーーーーーッッッ!!!』』』
三人が口にした贈る予定の物が、あまりにもあれ過ぎたということで、ほぼ全員から総ツッコミが入った。
ツッコミに混ざってないのは私とめいちゃんの二人だけである。
気が合いそうだぜぃ。
「いったい何を考えているんだい!? このシャトーブリアントリオ!? さすがにその三つは色々アウトだよ!? というか、高校二年生の女の子に贈るプレゼントじゃないっ……!」
「皐月さんが全部言ってくれたわ。でも、あたしも言わせてください。……どこの世界に、十七歳の誕生日に土地の権利とかタワマン、別荘をプレゼントする人がいるのよ!? バカじゃないの!? ほんと、バカじゃないの!?」
「配信で見ていた時も思ったが、本当にスケールが違い過ぎるだろ……というか、さすがに一庶民な椎菜に、そんなプレゼントを贈ったら卒倒するに決まってる」
ため息交じりの柊君のその言葉に、この場にいる者たちのほとんどがうんうんと頷いた。
そもそも椎菜ちゃんは心優しい現役JK……であれば、そんな高価なんてのも生ぬるいほどの高価な品物三種をもらおうものなら、椎菜ちゃん気絶するよね、間違いない。
「まだシャトーブリアンの塊肉とか、伊勢海老複数とかの方がマシだぜ」
「まー、それも十分おかしいんですけどねー。でも、なんでその三つを贈ろうとして?」
「え、あ、ひ、避暑地に、いいかな、と……」
「みまちゃんみおちゃんの将来を考えて、不労所得があった方がよくね? って思ったから」
「将来神様関係で広い土地があった方がいいと思いましたのでぇ~」
「す、スケールがでかすぎるぞ……」
「そらそうやろ……うちもさすがに思考止まるわ」
「ん、当然の反応。あと、金に物を言わせてる感じが凄まじい」
「ちげぇねぇですねぇ」
「ところで、椎菜さんへ渡すぷれぜんととは、どのような物でもよろしいのでしょうか?」
「というと?」
ふと、美鈴ちゃんがスッと手を上げ、そんな質問を口にしたので、私が答えを促す。
「私もどのような物を贈るのか決めているのですが、今しがたなされた会話内において、やはり高価すぎる物は問題になってしまうのか、と。もしあるのであれば、椎菜さんの姉君である愛菜さんが高価だと判断したものは、別で可否を判定した方が良いかと、そう思いまして」
「なるほど」
たしかに一理ある。
ぶっちゃけた話、誕生日会しようぜ! と言い出したのはほかでもないこの私。
ならば、私がOKと言えば、それはOKということになるわけよ。
つまるところ、関所みたいなもんかね。
ふむ……。
「うん、いいね、その案で行こう! 高価じゃない、というものに関しては流すけど、高価だな! と思ったものはこの私が判定を下そう!」
「ち、ちなみに、わ、わたしたい、の、プレゼント、は、セーフ、ですか? アウト、ですか?」
「うんまあ、椎菜ちゃんの年齢的にはアウト。けど、卒業祝いなら許す」
「「「ならいっか」」」
「「「なにもよくない(と思うが)(んですが)!?」」」
「いやまあ、高校生なのが問題なだけであって、大人になれば問題なくない? と」
さすがに学生でそれはアウトかもしれないけど、法律の改正で十八歳が成人年齢に変わったしねー。
あと、将来的なことを考えて、ってのはわからないでもない。
特に不労所得はいいと思います。
「しまったっ、愛菜は椎菜ちゃん至上主義……将来という部分にやられたかっ……!」
「椎菜のプラスになるようなことであれば、平気で許可するからなぁ、愛菜さん……」
私、だからね。
「ともあれ、色々と話を詰めよう!」
シャトーブリアントリオの話は未来へぶん投げることで一旦放置し、話を詰めると私が言って、みんなはこくりと頷いた。
そうして、あーでもない、こーでもない、と椎菜ちゃんの誕生日会について話し合うのであった……。
やっぱこれだよね!
やはり頭のおかしい奴らの方が書きやすいってもんです。




