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ロリ巨乳美少女にTSしたら、Vtuberなお姉ちゃんにVtuber界に引きずり込まれました  作者: 九十九一
2024年 2月

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バレンタイン特別IFー2:メイン#3 椎菜×栞の場合

 先に言っておきますが、私は恋愛描ry

 二月八日の夜、家庭学習期間に入った椎菜が家でのんびりごろごろ~、としていると、ふとスマホが鳴った。


 誰からだろうと思いながら、ディスプレイに表示されている人物の名前を見ると、椎菜の顔に大輪の花が咲いたかのような心底嬉しそうな笑顔を浮かべて、いそいそと待ちきれないとばかりに通話ボタンを押して耳に当てた。


『こんばんはぁ、椎菜さん』

「こんばんは! 栞ちゃん!」


 相手は椎菜の大好きな人で、そして去年のバレンタインにて、晴れて恋人関係に進んだ栞だった。

 大好きな人からの電話とあり、椎菜のテンションはそれはもう高くなっており、その体からは幸せオーラがぽわぽわ~~っと溢れ出ており、近くにいた邪神と父親を失血死させていた。


「突然どうしたの?」

『椎菜さん、来週の水曜日、旅行行かん?』

「旅行!?」

『そうや。ほら、水曜日はバレンタインやん? そやさかい、二人きりで旅行に行きたいなぁ、って思て……どうや?』

「行くっ! 絶対行くっ! 栞ちゃんとの旅行だもん!」


 不安げな様子で提案をして来た栞に、椎菜はそれはもう二つ返事でOKし、そして嬉しそうにそう返す。

 元々満面の笑みであった椎菜の表情が、さらに笑顔になる。

 追加ダメージが邪神たちに降りかかってきたが、まあ、いつも通りなので。


『そう言うてくれてよかったわぁ……』

「それでそれで、どこに行くの?」

『あ、それなんやけど、こっちでもう決めとってな? 温泉街なんやけど……』

「温泉! うん、いいよっ! 栞ちゃんと温泉かぁ……すごく楽しみっ!」

『よかったぁ。ほな、次の土曜日で細かい所を決めようなぁ』

「うんっ! またね!」

『ほななぁ』


 ロリカップルの通話が終了。


「栞ちゃんと旅行~♪ 栞ちゃんと旅行~~~♪」


 通話が終わった後の椎菜と言えば、それはもうにこにこ笑顔で浮かれまくっていた。

 それどころか、鼻歌も歌っちゃうほどであり、さらなら追加ダメージが以下略。


「二人きりで旅行、楽しみだなぁ……」


 なんて、椎菜はしばらく喜んでいた。



 さてさて、初手から幸せ全開なロリたちであるが、一体なぜこうなっているかはシンプル。

 去年、栞が椎菜にバレンタインで告白して、椎菜がOKしてそのまま付き合ったわけである。

 それからは、それはもう二人の百合カップル度合いは凄まじかった。


 まず、そう時間が経たない内に、二人は付き合いだしたことを配信で報告。

 もちろん、女性同士でのカップル成立ということもあり、二人は炎上、もしくは叩かれるであろうということを覚悟の上で報告したのだが……結果は予想に反するどころか、真逆を行くものだった。


 それはもう祝福の嵐だったのである。

 実際に公式カップリングが成立していたロリピュアの二人が、リアルでカップルになったのだから、ファンたちは喚起するのは当然と言えよう。


 あと、らいばーほーむだったから。

 まあ、それ以前に椎菜はTS病で、女性と結婚できるので全く問題なかったこともあるし……ロリで百合なカップルという時点で、誰しも問題ないと判断するのは当然と言えよう。

 それほどまでに、二人のカップル成立は凄まじかったのである。


 らいばーほーむ内でも祝福されまくったわけだが、特にロリコンがすごかった。


 奴は普通にみたまのことが好きだったが、自分よりもロリと一緒になったことに大歓喜通り越して狂喜乱舞となり、お前本当に人間? みたいな反応をされるかのような奇行に次ぐ奇行をしまくっていたのである。


 リアルロリカップルが成立すると、ただでさえ頭がおかしいロリコンが、さらにロリコンになるのか、と色々と言われたものである。


 そうして、気が付けば神薙みたまと魔乃闇リリスのチャンネルとは別に、二人のカップルチャンネルが公式で爆誕するという事態に発展したり、あまりにも二人が甘々な空気を醸し出しているために、死人が大量に発生するという事態がありつつも、二人はそれはもう幸せな時間を現在進行形で過ごしていた、というわけである。


 そんな椎菜も、気が付けば高校を卒業する時期となり、突発イベントも楽しんで、今は家でゆっくりしている過ごしているところだ。

 進学先も無事に決まったし、卒業後は星波大学へと進学することが決まっている。


 ちなみに、この世界における椎菜は、家庭科の先生になろうと考えている。

 公務員は副業が禁止されてはいるが、私立の学校であれば特に禁止されていない限りは問題ない、ということで私立の学校での勤務を希望することになっている。

 尚、高校の先生を目指している。

 ちなみに、椎菜の栞に対する呼び方が、お姉ちゃんではなく、ちゃん付けになってるのは恋人になったからである。


 閑話休題。


 とまあ、そんな椎菜だが、大好きな恋人とバレンタインに旅行に行くとなれば、することは決まっている。


 そう、


「じゃあ、チョコ作りを始めよう!」


 チョコ作りである。

 本日の日付は、二月十三日、バレンタイン前日である。

 去年までの椎菜であればもっと早く作っているのだが、今の椎菜は家庭学習期間に入っているため、時間は有り余っている。

 であるならば、前日に作り始めるというのは当然と言えよう。


「うーん、どんなチョコにしようかなぁ……」


 そんな椎菜はと言えば、普段着のYシャツの上にエプロンを身に着け、腕組みしながらうーんと唸っていた。


 昨年はトリュフチョコレートを作った椎菜だが、さすがに去年と同じというのも面白くないし、何より同じものを上げるのは恋人としてどうなんだろう? そう思っているので、今現在は唸っているのである。


「う~~~ん…………あ、そうだ、チョコパイでも作ってみようかな?」


 ふと思い浮かんだのは、サクサクしたパイ生地とチョコレートのお菓子であった。


「二人で食べられるようにちょっと大きめに作るとして……パイ生地は……シート……あ、でも、手作りの方がいいよね? パイなら何度か作ったことあるし…………うん、決めた! パイ生地にするっ!」


 椎菜は今年、チョコレートのパイを作ることに決めたようで、早速とばかりにチョコパイ作りを始めた。



 ところ変わって栞宅。


「ようやく、スケジュールが空いて、椎菜さんと一緒に旅行に行くとこまでこぎつけた……あとは、椎菜さんへのチョコを作るだけ! ……なんやけど……」


 栞はキッチンの前で頭をうならせていた。

 その理由はもちろん、椎菜宛のチョコレートである。


 昨年はチョコケーキを作った栞。

 あの時はそれはもう頑張って作ったものであり、栞自身も苦労に苦労を重ねて出来上がった奇跡の産物だと思っている。

 そのチョコ作りが今年もやって来てしまったのである。


 さすがに昨年と同じというのは、彼女として憚られる、そう思った栞はどうしようかと悩んだ。


「明日は旅行……そしてうちは、椎菜さんに、あのことを告げるんや……! 失敗はできん……。けど、果たして、椎菜さんが受け入れてくれるかどうか……」


 などという独り言を零す栞。

 今回の旅行、栞には椎菜と一緒に二人きりでのデート旅行であると同時に、もう一つの思惑があった。

 それをなんとしても叶えたい、そう考えている栞は朝から悩んでいる、というわけである。


 さて、そんな栞だが、昨年三月に大学を卒業した後と言えば、声優とVTuberの二足の草鞋を履いての生活となった。


 大学へ行く必要がなくなったので、声優としての仕事量を増やした結果……ものっそい売れた。

 元々、声優宵乃あかりは人気だったのだが、それでもアニメ好きの人が知っていて、それで好きという場合が多かったが、声優としての仕事量が増えてからは、いろんなアニメに出ることが増えた。

 なんだったら、最近は日曜日の朝に放送している某女児向けアニメにも進出したほどである。

 可愛い声と可愛いビジュアル、性格のキャラだったばかりに、大きなお友達に大人気である。


 それと、大学卒業前は声だけしか情報はなかったのだが、卒業後になるとイベントに声だけで参加することが増えこともある。

 さすがにその姿を見せるようなことはしていない。


 ……そもそもが、栞の容姿が合法ロリであり、VTuber活動中に自信がゴリゴリのロリであることを明言してるのもあったし、何よりリリスは配信中に色々と声で遊びだすことがあるのもあったからである。


 ようは、リリスをやってることがバレそうだから顔出ししてない、という感じである。


 ちなみに、声優仲間からは、結構疑われてる。

 小さい、可愛い、関西の方の言葉で話す時がある、なんか妙に可愛い聞いたことある声してる、という情報があるので……。


 閑話休題。


 とまあ、そんな感じで忙しくなった栞にとって、今回の旅行はそれはもう楽しみにしていたし、何より目的を達成するために頑張ろうとしているのである!


「ん~~~、んん~~~~~~~っ! 今回の目的があれやから…………ハッ! それがあったわぁ!」


 うんうんと唸る栞に電流走る。

 作るものが決まった栞は、全力でチョコ作りを始めた。



 そうして翌日。


「じゃあ、行ってきますっ!」

「楽しんで来てね、栞ちゃんとの旅行デート」

「えへへ、うんっ! お土産買って来るね!」

「行ってらっしゃい」


 椎菜は雪子に見送られて、着替えが入った少し大き目のバッグを持って出発。


 可愛らしい白のワンピースに、薄桃色の暖かなポンチョ風のコートを着ており、椎菜はそれはもうにこにこと嬉しそうな笑顔であり、幸せという名の幸せを辺りに振り撒きまくる、歩く核兵器と化している。

 そのため、道中すれ違う人々が血を吐いて倒れるという事態が続出。


 しかも、鼻歌も歌っちゃってるのが質が悪く、さらなる被害を生み出していたが、栞との旅行が楽しみで仕方ない椎菜には、それに気付くことがなかった。

 その様子は我が世の春とでも言わんばかりである。


 もし、椎菜のことを知っている者がこの光景を見れば、あまりにも幸せそうな表情に、目を疑うこと間違いなし……などということはなく、知り合いたちは基本的に椎菜に恋人ができてることを知っているので、まあ、今更である。


 そうして、椎菜がうっきうきで駅前にやってくると……


「あ、椎菜さん、こっちや~」


 そこには、シャツにジーパン、それからコートを羽織った大好きな人が笑顔でこちらに手を振っていた。

 椎菜はその姿を見ると、もともと笑顔だったのが、さらに嬉しそうな笑顔に変え、とたたたたっ! と駆け寄った。


「おはようっ! 栞ちゃん!」

「おはよう、椎菜さん。ほな、早速行こか~」

「うんっ! 今日、楽しみにしてたんだ~」

「うちもや」


 二人の間に、ほわ~~っとした柔らかく、そして花のような空気が辺りに広がっていた。

 鼻から幸福が吐き出され、何の罪もない通行人たちが死んだが。


 とまあ、二人は仲良く手を繋いで駅の中へ。

 すっかり恋人同士になった二人は、人目もはばからずに手を繋ぐし、腕を組むときもあるほどであり、それを見たものは全員死ぬ。


 余談だが、二人を陰から警護してるどこぞの邪神も普通に死んでる。



 それから二人は駅に入ると、温泉街を目指すべく特急に乗った。

 もちろん、座席は隣同士である。


 とはいえ、二人はいろんな意味で目立っていた。

 本当に、いろんな意味で。


 まず一つ目の理由を語るならば、2025年のバレンタインデーである、2月14日が金曜日であることが挙げられる。

 この時期はたしかに受験シーズンではあるが、基本的にそれが適応されるのは中学生以上と言っていいだろう。


 まあ、小学生にも中学受験というものがあるにはあるが……まあ、それは置いておくとして。

 基本的にこの時期と言えば、学生の授業がなくなるものである。


 だが、それは中学生、高校生の話である。

 二人は見た目で言えば……そう、見た目だけで判断するならば、小学生である!

 それも、クッソ可愛い幼女である!

 となると、見た目だけならば、二人は小学生にしか見えないし、ほかの乗客や車掌なども、二人が学校に行かずに旅行に行ってるようにしか見えないことだろう。


 もっとも、開校記念日という可能性もあるにはあるが、確率的には低いだろう。

 なのでまあ、それはもう二人は目立っていた。


 ……だが、これはあくまでも一つ目の理由である。


 ほかに目立つ理由はと言えば……


「あ、そうだ、今日はお弁当作って来たんだ~」

「そうなん? そら嬉しいわぁ」

「栞ちゃんは朝ご飯は食べたの?」

「諸事情で寝坊しかけてなぁ……そやさかい、あんまし食べられてへんのや」

「それならちょうどよかった! 今食べる?」

「食べる!」


 これである。最早これから何が起こるかの想像は容易だろう。


「えへへ、じゃあ取り出すね~」


 そう言って、椎菜はにこにこと嬉しそうにしながら、カバンの中から保冷バッグを取り出して、その中からさらに可愛らしい弁当箱を取り出した。


「はいどうぞ」


 椎菜は弁当箱と箸を栞に手渡すと、栞は嬉しそうにそれを受け取り、いそいそとふたを開けると……。


「お~~、美味しそうやなぁ! それに、可愛い!」


 弁当箱の中にあったのは……まさかのキャラ弁だった。

 そのキャラは当然、リリスである。


「椎菜さん、キャラ弁当も作れたんやなぁ」

「うん、みまちゃんとみおちゃんの二人が喜ぶので!」

「なるほどなぁ。まあ、何はともあれ、いただきますっ! はむ……んん~~~! 美味しいわぁ!」

「えへへ、よかったぁ。あ、こっちに栞ちゃんの好きな煮物もあるよ~」

「食べるー!」

「ふふっ、じゃあ……はい、あーん」

「あむっ! ん~~、美味しい」

「よかった」

『『『げはぁっ……!』』』


 イチャイチャしてるロリカップルを見た人や、声を聴いた人は全員死んだ。


 これが、目立ってるもう一つの理由である。

 二人がただただイチャイチャしてるだけで、死人が出るのは、カップルが成立した時点で、約束された事象なのである。


 ちなみに、二人のイチャイチャは二人の目的地にたどり着くまで続き、その間近くにいた乗客は軒並み幸せそうな表情で死亡した。



「「着いた~~~!」」


 目的地に到着した二人はと言えば、達成感のような声とともに両腕を天に向かって突き上げていた。

 当然、死者が出た。


「やっと着いたわぁ~」

「そうだね!」

「ほな、早速旅館行こかぁ」

「うん!」


 駅前で立っているのはまずいということで、二人は今日宿泊する旅館へ向かって歩き始める。


「わ、湯気すごいね~」

「そやなぁ。あ、向こうに温泉卵もあるなぁ」

「後で見て回ろうね!」

「もちろんやぁ」


 二人は楽しそうに雑談をしながら、旅館への道程を歩く。

 そうして旅館に到着。

 立地としては、旅館のすぐ下に川が流れており、その上から川を眺めることができるような場所であり、実は川の方も温泉になっており、そこに入ることも可能である。


 そんな旅館の予約に関しては、先に栞が済ませており、料金についても栞がすでに支払い済みである。

 最初は椎菜もお金を払おうとしていたのだが、栞はやんわり拒否。


 普段から椎菜の存在に助けられているし、自分から誘った旅行、そして大好きな恋人のためであるし、何より椎菜も稼いでいるとはいえ、まだ学生。すでに社会人になっている栞からすれば、自分が出すのは当然と思っているのである。


 なので、栞はごり押しし、椎菜も何とか納得することとなった。


「わぁ~~~~! いい眺めだね!」

「ほんまやな……こら、予約した甲斐があったわぁ」


 二人が案内された部屋は、窓から川が一望できる場所だった。

 旅館の従業員の話しでは、夜になると川沿いにかけられている提灯が明るく点灯するので、絶景が楽しめるとのことで、二人は夜になったら絶対に見ようと思っている。


「ここからどないしよか?」

「うーん、あ、折角だし、浴衣を着て歩き回ってみる? 浴衣で歩いてる人も結構いたし!」

「そやなぁ。上着もあるみたいやさかい、問題はなさそうやしなぁ」

「じゃあ、着替えて行こ!」


 というわけで、二人は浴衣に着替えて早速旅館の外を散策しに出かける。


「僕、温泉街に来るの、かなり久しぶりなんだよね」

「そうなん?」

「うん。僕が小学生の時に、福引で温泉旅行が当たって、お母さんと一緒に行って、それ以来行ってないの」

「へぇ~、昔から幸運だったんやな?」

「そうかも? でも、今は栞ちゃんとこうして一緒にいられるのが一番幸運だと思ってるよ? なんて、えへへ」

「……うち、椎菜さんのその発言で、幸せ過ぎるぅ……」

「僕も幸せだよ~」


 二人のテロ行為によって、辺りが血に染まる。

 とりあえず二人はイチャイチャ歩くだけで兵器だということを自覚した方がよくはあるのだが、二人が気付くことは一生ないだろう。


「お昼ご飯どうしよっか?」

「ん~……あ、あそこに店があるなぁ。空いとるよ?」

「ほんとだ。何のお店かな? んーと……定食屋さんかな? あ、色々あるよ? ここにする?」

「そうやなぁ……他の店は混んどるし……ん、ここにしよか」

「うん! じゃあ、入ろ入ろ!」


 二人が選んだのは、色々な店が立ち並ぶ中、あまり人が入っていない……というか、まさに閑古鳥が鳴くレベルの店であった。

 店としては定食屋のようであり、二人は空いてるからという理由でその店に入った。


「あ、いらっしゃいませ! 二名様でしょうか?」

「はい!」

「では、こちらへどうぞ!」


 中に入ると、二十代前半くらいの女性が二人を案内。

 奥には顔が怖い……というか、ヤクザのような厳めしい顔の男性が立っていた。

 椎菜たちのような少女であれば(栞は少女じゃない)、怖くて店から出て行きそうなものだが……


「あ、美味しそうだね! いっぱいあるし、何にしようかなぁ」

「ほんまや。外の看板以上やな、こら」

「うーん、こっちの天麩羅御膳美味しそうだなぁ。でも、こっちのすき焼きも美味しそうだし……うーん、迷う」

「お、煮魚の定食もあるんやな……そやけど、御膳もなかなか……こら、迷うてまうなぁ」


 二人は特に怖がることはなく、むしろ視線が合った瞬間ににこっと笑顔を浮かべてから、そのままメニューを見て何にしようか話し始めた。

 それを見た女性店員と奥の男性は面食らった。


 二人はきゃっきゃと話しながら食べる物を決め、最終的に椎菜は天麩羅御膳を、栞は煮魚御膳を注文。

 なぜか男性がすごく張り切っていたが、そう時間はかからずに料理が運ばれてきた。


「わぁ~、美味しそう!」

「そやなぁ! 冷めへんうちに食べよかぁ」

「うん!」

「「いただきますっ!」」


 二人は手を揃えていただきますと言うと、そのまま料理を食べ始めた。


「はむっ……んん~~~っ! 美味し~~! この天麩羅すごく美味しい!」

「こっちの煮魚もええなぁ。作り方を聞きたいくらいやわぁ」

「だね! 天麩羅って綺麗に揚げるのが難しいんだけど、ここの天麩羅すごくサクサクしてて、美味しい!」

「ほんま?」

「うん! あ、じゃあ、交換しない?」

「ナイスアイディアや!」

「じゃあ、僕からは海老さんあげるね!」

「ええの? じゃあ、うちもちょいと多めに魚を上げんで」

「ありがとう! じゃあ、はい!」

「ありがとなぁ。それじゃ……はむ……ん~~~、たしかに美味しいわぁ!」

「でしょでしょ? すごく美味しいの!」

「うん! あ、椎菜さんも食べてみて?」

「あ、そうだね! じゃあ、はむ! もむもむ……本当だ、すごく美味しい!」

「そやろ? 深い味って感じなんよ」

「うんうん、丁度いい味で、ご飯に合うね!」

「うんうん!」


 とまあ、二人はそれはもう美味しそうに食事をした。

 心なしか、男性はちょっと泣きそうになっていた。

 女性は吐血していたが。

 それから二人は仲良く食事をして、ぺろりと平らげた。


「「ごちそうさまでしたー!」」

「ありがとうございました! またお越しください!」

「また来ますね!」


 そう言って、会計を済ませた二人は笑顔でそう言って、店を出た。


「美味しかったね!」

「うん。また来たいわぁ。今度は、鍋物がええなぁ」

「うーん、僕は今回は天麩羅御膳だったし、煮魚かなぁ。あれは美味しかった……」

「そう言うたら、うちは天麩羅御膳やな。海老も大きくて食べ応えがあったさかい」

「じゃあ、次は反対かな?」

「そやなぁ」


 なんて、仲良く話す二人を見た通行人たちは、椎菜たちが出て来た店が気になったらしく、店に入る人が続出し、過去一の売り上げを見せることになったとか。


 恐るべし、ロリカップル。



 さてさて、昼食を済ませた二人はと言えば、足湯に入ったり、アイスクリームを食べたり、食べ歩きに合わせた物を食べ、そして死人を量産していた。


 満足した二人は一度旅館に戻った。

 時刻は17時であり、夕食が出るのは19時となっている。

 つまるところ、二時間は暇になった。


 なので、二人はその時間を活用して、旅館内でお土産を購入。

 椎菜は三期生と四期生の分、それから家族の分を購入して、栞は一期生と二期生、それから事務所のスタッフたちへのお土産を購入した。


 量が凄まじいことになっていたが気にしたら負けである。

 見た目幼女な二人が、大荷物を持って移動して行ったのも、気にしたら負けなのである。


 そうして、お土産を買った二人は、夕食までの時間をのんびり過ごす。

 最初は温泉に入ろうか迷ったのだが、食べた後の方がいいということになった。

 本来であれば、食べた後よりも前に入った方が健康的にはいいのだが、二人は基本的に健康的な生活をしているので、たまにはこういうのもいいよね、と話した結果である。

 そうして、旅館の豪勢な夕食を食べて、少し食休みを挟んでから、二人は温泉へ。


「「はぁ~~~~~……」」


 二人が入浴することにしたのは、川の方の温泉である。

 女性の体になった椎菜は、最初こそ更衣室や脱衣所などでは恥ずかしがってはいたものの、なんだかんだで慣れた。

 あと、栞の手によって慣らされたというのもある。


 ちなみに、椎菜は栞と一緒にお風呂に入ることが増えてもいるので、ある種の荒療治というわけである。

 そんな二人は、体を綺麗に洗ってから、仲良く並んで温泉に浸かるなり、気持ちよさそうな声を漏らした。


「はふぅ~、やっぱり温泉はいいねぇ~……」

「そーやなぁ……」


 二人は溶けていた。

 熱すぎず、かといって温すぎない絶妙な湯加減の温泉、そしてザァ――……という川の流れる音に、そして提灯で優しく明るく照らされている川という光景に、二人は見惚れていた。


「ここ、すごくいーね~」

「そやなぁ。また、来よかぁ」

「次は僕がお金を出すね~」

「ふふっ、楽しみにしとるよぉ」


 温泉の気持ちよさで、二人はゆるゆる~~っとしていた。

 ちなみに、二人はお互いの肩がくっつく距離で並んで座っており、しれっとお互いの右手と左手が重なり合っており、すごく甘々な雰囲気を醸し出している……!


「栞ちゃん、今日は旅行に誘ってくれてありがとう」

「急やなぁ……。そやけど、喜んでもらえてよかったわぁ」

「えへへ、今度は僕が提案しないとなぁ。ん~、今回が温泉旅行だったから……あ、北海道食べ歩き旅行とか?」

「そらええなぁ。その時を首をなが~~くして待っとるよぉ」

「うん」


 なんて話しながら、二人はお互いに体を預けるようにさらに密着する。

 二人の頭がくっつき、さらに甘々な空間が展開され……


『『『ぶはぁっ……!』』』


 他の女性客の皆様方が即死した。

 温泉での甘々空気付きカップル会話は即死呪文だったようである。

 これは酷い。

 温泉が血に染まってしまったが……まあ、これは致し方なしである。



 温泉をたっぷり堪能した二人は、部屋に戻ってから縁側に並んで座って、外を見ていた。

 視線の先にあるのは、綺麗にライトアップされた川と温泉から立ち上る湯気である。

 視線を少し動かせば、そちらには橋がかかっており、色々な人たちが楽しそうに歩いており、夜であるにもかかわらず、活気があった。


 そして、静かで、けれど甘く、温かな空気が流れる中、栞がもじもじとし始め、視線をきょろきょろ、指をもじもじ、かと思えば目をぎゅっと瞑って、意を決した表情を浮かべ、口を開く。


「し、椎菜さん、その、大事な話が、あるんやけど……えぇかいな?」

「うん。もちろん」

「そ、その、な? あの、えと…………こ、これを、う、受け取ってほしいんや」


 視線を彷徨わせながら恥ずかしそうに、それでいて不安げにする栞は、予め自分の横に置いてあった小箱を手に取り、それを椎菜に手渡した。


「これって……」

「あ、開けてみて?」

「あ、うん。じゃあ…………え、これって……」


 顔を真っ赤にしながら栞に促され、椎菜はゆっくりと箱を開けて、その中に入っている物を見た瞬間、目を大きく見開き、ぼっ、と顔を真っ赤に染めた。

 中には銀色の指輪が二つと、同じような形の茶色の指輪が入っていた。


「し、栞ちゃん……これって、その、えと……」

「……し、椎菜さん」

「は、ひゃい」


 箱の中身に入っていた物の意味と、栞の真剣な眼差しで見つめられた椎菜は、名前を呼ばれると、上ずった返事が口から出ていた。


 心臓がどきどきと早鐘を打ち、頭が沸騰しそうになるが、決して聞き逃さまいと椎菜は真剣に耳を傾け……そして、


「う、うちと……う、うちと、け、けけ……結婚、して、く、くれ、へん…………?」


 栞からのプロポーズの言葉を聞いた。


 恥ずかしそうに、そして顔を真っ赤にしながら、最後は蚊の鳴くような小さな声へと萎んで行ったが、たしかにその言葉は椎菜の耳に届いていた。


 プロポーズ、そう、聞き間違うことなどありえないほどの、ストレートなプロポーズのセリフであった。


「も、もちろん、い、今すぐやのうて、卒業後やさかい…………あ、え、えと、しょ、正直にでええからな!? そ、そのっ、う、うちも、まだ早いって、お、思っておるし……そ、そやから……!」

「――喜んで」

「…………ぇ」


 栞はその時に浮かべていた椎菜の笑顔を一生忘れることはないだろう。

 その笑顔はあまりにも、綺麗で、優しくて、どうしようもないくらいに椎菜のことを愛しく思えってしまうほどに、世界で一番綺麗な笑顔であったから。


「あ、あはは、まさか、その、栞ちゃんからプロポーズされるなんて思ってなかったけど……すごく、嬉しいよ……。大好きな人からのプロポーズだもん。断るなんてありえないよ」

「し、椎菜さん……」

「だから、その……ぼ、僕でよければ、結婚してください」

「……もちろんや。うち、絶対に椎菜さんを幸せにするさかいな」

「えへへ、じゃあ、僕も栞ちゃんを絶対に幸せにするね」

「うん……!」


 なんて、二人は笑いあった。

 冬の月明かりが肩を寄せ合って座る二人を照らす。


 そうして、月明かりが降り注ぐ中、二人はお互いの顔を見つめ合って、ゆっくりと顔を近づけ、生まれて初めてのキスを交わした。


「キス……しちゃったね?」

「……そ、そやな」

「なんていうか、僕、すごく、幸せだよ……」

「……うちもや」

「これからもずーっと、一緒にいようね?」

「もちろんや」


 そんな言葉を交わし合って、二人は再度優しいキスをするのであった。



 後日談。


 晴れて恋人から婚約者同士にクラスアップした二人は、今まで以上に仲睦まじい雰囲気で帰宅。

 そうして、配信で椎菜が高校を卒業したら結婚することを公表して、お祭り騒ぎに。


 邪神は血涙を流しながら、全力で二人の幸せを応援しつつ、とんでもねぇ家にしてやるぅ! と言って自分の伝手を用いて新築の家(普通にデカイ)をプレゼントすることになったり、ロリコンがエキサイトしまくった結果、別荘をプレゼントしたり、うさぎが自家用ジェットをプレゼントしたり、いくまが高級食材の詰め合わせセット(総額が怖い)をプレゼントしたりと、それはもうお祝いの品がとんでもねぇことになったのは言うまでもない。


 そして、二人が色んな意味で恐怖で震えたのも言うまでもない。


 ……尚、この世界においては、ちゃんと同性間で子供を作るための方法があり、将来的に二人の間に子供ができて、みまみおに妹ができることとなったがまあ、そこはまた別の話しである。


 ……もっとも、邪神がさらに進化したが。

 しゅーーりょーーーーーーー!

 というわけで、今年最後はまあ、甘々ロリ百合カップルが恋人から婚約者に変わる話でした!

 メッチャ疲れた! すんごい疲れた!

 さて、今年は去年よりも話の種類そのものは少ないのですが、文字数は今年の方が多いです。

 昨年が、46938文字でしたが、今年は49858文字(実は投稿作業内でちょこちょこ加筆してるから、多分5万は行ってる)。

 バカですね! しかもこれ、書き始めたの水曜日だからね! 二日でメイン二本と小話一個書いて、昨日の夜から今日の朝まで残り書いてましたからね! もうしたくねぇ!


 というわけで、ここからは裏話。

 当初の予定では、メイン二本しかやる気はなかったりします。

 ですが、アンケート結果を見てたら、なんかね、予想を裏切ってくれる人がほぼいなかったため、メイン#2と3のコンビがぶっちぎっちゃったんですよ。

 となると、他にも話があった方がいいな、と思った結果……そうだ、話し増やそう、となりました。

 ちなみに、集計したのが今週の月曜日くらいなんで、その発想になったのも月曜日。一週間もないのになにしてんですかね、過去の私。

 本来であれば、もう一本サブを上げる予定でした。内容は、椎菜と柊ちゃんの話。

 けど、本編の方でも近々バレンタインやるし、その時に柊ちゃん出したい(こればかりはルーレットなしの強制)ので、話被るな、と思ったからね。あと、単純に私の疲労が半端なかった。

 最後に書いたのが恋雪の話しなんですが、あれが時間かかっちゃったからね……無理やん。もう眠い。寝よ。ってなったし、上にあるように被ると思ったからやらんかった。

 尚、今年のバレンタインで一番文字数が多かったのは、柊×皐月の話。あいつら、1万5000くらいある。なんでや。過去最多だよ。ロリV全編通しても、ねぇよ、1万5000。

 あと、椎菜×恋雪はサブだったので、最大でも7000文字の予定でしたが、まあ、ご覧の有様だよ。ってね。


 あんまし長々と書くのもあれ何で最後に……来年もし、バレンタインをやるようなことがあれば、椎菜×栞と柊×皐月は殿堂入りで出禁にします。もうやらん。ってか、前者に関してはゴールインしてんですよ。これ以上話しねぇよ! ということでね!! うん、以上!

 今年のバレンタインでした!

 あ、どの話が一番よかった! って書いてくれると私が嬉しいし、来年に活かせるので! 是非是非!(催促的なことをほぼやらない私の一年に一回の催促)

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― 新着の感想 ―
やっぱり栞×椎菜のロリ百合カップルはてぇてぇ! ほんでもって邪神。お前は一体何になろうとしてんだか…
椎×栞よき いくまっちの高級食材詰め合わせセットなにはいってるかめっちゃ気になるんすけど てかうさぎちゃん自家用ジェットて張り切りすぎやろ
わかってたよこの結果にw 柊×皐月最高ですね 欲をいえば柊(♀)×皐月にしてほしかったところ 今回は締め切ってて何も言えなかったからね!(悔しい
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