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8 神の槍
あたしの手のひらから空に光が放たれる。それが空中で分裂した。
いつもの、光球じゃない。
あたしが思った瞬間、降り注いだ光線が、魔物たちを槍のように貫く。
魔物たちは破裂するように一斉に弾けて消えていった。
あとには、呆然と佇むエバだけが残される。
「す·····すごいな。こんなことも出来たのか」
いや、あたしも今初めて知ったんだけどね。
と、応えたいが、口が動かない。どうやら今の大技で魔力切れを起こしたらしい。
でも、二人とも無事だったんだし···。
「アグネっ!!」
突然エバが緊迫した声を上げた。
あたしの顔に影が落ちる。
倒しきれなかったらしい魔物があたしを見下ろしていた。
今度こそ、逃げられない。
エバがこちらに走ってくる音がしたが、間に合わないだろう。
こっちに来るな!!逃げろ!!
エバに向かってそう叫びたかったが、声が出なかった。