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226【可能性】


がばっと起き上がる。

ここは・・いつもの宿。

両隣には、メイドさんとダークエルフさんがいる。


メイド「朝ですか?」

ダークエルフ「いつもより24分の1日くらい早いわ。もう少し寝ても平気よ。」

双星「お、俺のことわかる?」

メイド「双星様ですよね?」

ダークエルフ「悪い夢でも見た?」

やったぁ元通りだ!


メイド「ふぁ!?」

俺はメイドさんに抱きついた。

よかった。本当によかった。


メイド「え、あの、そんな・・でも、今はふたりきりだし・・最後までして構いませんから。」

ダークエルフ「ふたりきり?」

メイド「・・異物がひとつ・・」

争いはだめー。


・・

・・・・


さて、本当に元通りか確認しないと。

受付のおねーさんか、るーしーさんあたりかな?


宿の食事処に、るーしーさんはいなかった。

というわけで受付のおねーさんのところへ向かった。


・・

・・・・


受付「今回のプランナーは、宿にいる頭のおかしいロリっ娘なんですよ。」

受付「で、99%元通り・・日常に支障ない範囲です。」

受付「1%の違いは気分的なもの。例えば双星さんの記憶。」

俺が聞く前に教えてくれた。楽ちん。

そういえば、他の人は覚えていない感じだったな。


双星「って、異世界の化け物が攻めて来たんじゃないですか?」

プランナー?計画立てたのるーしーさん?


受付「頭に”挑発された”をつけてください。」

挑発された異世界の化け物が攻めて来た・・仕掛けたのこっち側やん!


受付「あれは困ったちゃんなんですよ。」

受付「双星さんが神様に貢献したいなんて言うから、喜んで計画を立てたんです。」

受付「おかげで私の予定が無茶苦茶になりました。」

神様に貢献って、今年の武闘大会の決勝戦直前に話したやつ?

るーしーさんその場にいなかったのに、普通に知られてるのか・・


受付「とはいえ・・双星さんの働きは見事でした。」

受付「ご褒美が欲しければあげますよ♪」

ご褒美!?

え、じゃあエロ・・いえなんでもないです。


双星「お、俺は褒美がほしくてやったわけではないので。」

双星「神様のために働くこと、プライスレスです。」

受付「宿のキチロリが聞いたらきっと喜びますよ。」

うん、るーしーさんに対する扱いがひどい。


・・

・・・・


やっぱご褒美ほしかったかなーと思いながら宿へ帰る途中、超神さんがいた。


双星「こんにちは。さようなら。」

俺はダッシュで逃げた。


超神「しかし回り込まれてしまった。」

超神「なんか苦手意識ない?ジェミニに洗脳されてるわね。」

双星「日頃の行いを疑ってみれば、違う結論に辿り着くかもしれませんよ。」

超神「えー助けてあげたじゃない。」

・・そういえば、過去へ行くとき助けてもらったっけ。


双星「その節はありがとうございました。」

俺は頭を下げた。


超神「いずれは私が神を殺してこの世界の支配者になるからね。」

超神「将来の所有物も大切にするわ。」

・・・・あれ?


双星「超神さんも、異世界から来た化け・・異世界から来たんですか?」

超神「ええ。私が退治されないかって疑問に思ってる顔ね。」

超神「退治されるのは、神の作った世界を荒らす無法者だけよ。」

超神さんは違うと?


超神「将来ぜんぶ私の物になるんだから、大切にして当然でしょ?」

すごい自信だ。

退治されてもおかしくないと思うんだけどなぁ・・


・・

・・・・


悪魔王さんが退治されないのも同じ理由かなと思っていると、悪魔王さんがいた。


双星「この間はありがとうございました。さようなら。」

俺はダッシュで逃げた。


悪魔王「悪魔王が現れた。」

逃げた先で現れるパターンか・・


悪魔王「逃げないでよ。いいこと教えてあげるから。」

いいこと?


悪魔王「ジェミニは言わなかったけど、あなた一度死んだのよ。」

ふぇ!?


悪魔王「天使たちの総攻撃に巻き込まれてね・・ジェミニがお情けで生き返らせたの。」

悪魔王「まぁ原型をとどめてなかったから、いちから作ったんだけどね。」

双星「それ・・別人では?」

俺は・・俺じゃない?


悪魔王「ええ、同じ記憶を持った寸分たがわぬコピーとも言えるわ。」

悪魔王「でもオリジナルがいないから、あなたが自称しても社会的には問題ないわね。」

えーと。


悪魔王「ま、人間が神の役に立ちたいなんていったら、命懸けになって当然よね。」

悪魔王「この広い宇宙すべてが神の領域・・それに比べて人間は、こんなちっちゃな星の地上にしか生息できない無力な存在。」

悪魔王「宇宙の広さと人の行動可能範囲を比べたら、神の役に立ちたいですなんて恥ずかしくて言えないわよねぇ。」

言っちゃったんですが。


双星「受付のおねーさんは、なんで教えてくれなかったんですか?」

悪魔王「さあね。言わなければ、また神のために命を懸けてくれると思ったんじゃない?」

悪魔王「天使は、神のために存在しているのよ。」

それは・・まぁわかる。

神様の役に立てたとわかって嬉しかった。

知らなかったら・・またるーしーさんにお願いしてたかもしれない。


悪魔王「自己同一性は保持しているから気にするほどじゃないわよ。」

悪魔王「あなたが誰かより、あなたが何をするかを大切にするの。」

あっ・・なるほど!

何をするか・・何をすればいいんだ?


悪魔王「・・・・神の手伝い?」

死亡ルートじゃないですか!(復活あり)


・・

・・・・


宿に戻ると、るーしーさんはお絵かきをしていた。

お出かけから帰ったんだ・・なんか手招きしてる・・嫌な予感。

とはいえ断ることもできないので・・


双星「な、なにか用ですか?」

るーしー「・・これ、どう?」

なんか宿の看板みたいなデザイン画だ。

子供らしい原色を使った派手な絵になっている・・もっとシックな色の方がいいんじゃない?


マスター「店の看板を新しくすると話したら、みんなで作ろうという話になりまして。」

マスター「せっかくですから、デザインから考えているんですよ。」

見ると、他にも看板の絵を描いている人がちらほら。


双星「えーと、店の雰囲気に合う色の方がいいと思いますよ。文字は見やすさとインパクトでしょうか。」

双星「こちらは追求したら終わりがなくなるし、今くらいで十分かと。」

るーしー「・・ありがとう。」

るーしーさんは、黄色を取り出して塗り始めた。

・・また原色だ!


マスター「なるほど、ビールの色ですか。飲みたい方が入ってくれそうですね。」

お酒のイメージ?


るーしー「・・原色しばり。」

双星「縛る意味あるんですか?」

るーしー「・・同じルールでは、見えないものもある。」

いまいち意味がわからない・・まぁいっか。


双星「俺はてっきりまた神様のお手伝いをさせられるのかと思ってました。」

るーしー「・・嫌がる人に無理強いはしない。」

受付のおねーさんは、るーしーさんを狂ってるだの言うけど・・常識的だよね?


双星「そういえば、超神さんと悪魔王さんは退治対象じゃないんですか?」

双星「危険思想な気もするんですが・・」

るーしー「・・殺すだけがすべてじゃない。」


るーしー「・・かつて、人と魔族が争っていた頃・・」

るーしー「人間の勇者が隠れていた魔族を見つけた。」

るーしー「魔族は金銀財宝を差し出し、襲わないでほしい、他の魔族に言わないでほしいと懇願こんがんした。」

るーしー「勇者は・・財宝の中から価値の低い銅貨を一枚手に取り、魔族の願いを受け入れた。」

るーしー「そして自分が持っている中から銅貨を一枚魔族に渡し、襲わないでほしい、他の人間には秘密にねと言った。」

るーしー「時は流れ、人と魔族の争いが終わった後で・・友好を示す方法としてお互いの銅貨を一枚ずつ交換する風習が生まれた。」

るーしー「殺すことですべてを解決していては、生まれないものもある。」


るーしー「天使が強大な力を神様から与えられたのは、力を誇示するためではない。」

るーしー「可能性を広げるため。」

可能性・・


るーしー「神様の役に立つ方法はひとつじゃない。」

るーしー「・・あなたも、可能性を忘れないで。」

・・まだ俺は具体的にどうすればいいかわかりませんが・・忘れないようにします。


るーしー「・・今は小さな存在かもしれない。でも、いつでも人は変われる。」

一度死んだことに対して一言いいたかったけど、どうでもよくなってしまった。


双星「ちなみに、俺が一度死んだことを受付のおねーさんが言わなかった理由、わかりますか?」

るーしー「・・言えば、あなたは今までとは違う人だと宣告するのと同じ。」

るーしー「・・あなたは変わっていない、生き返らせたのは後始末の一環にすぎない。」


るーしー「・・あなたは素晴らしい行いをした。それだけでは不満?見返りが必要?」


俺は・・言葉に詰まってしまった。


見返りが欲しかったわけじゃない。

不満・・不満・・どうなんだろうか。

俺が求めていたもの・・


双星「わから・・ないです。」

るーしー「・・いい子いい子。その悩みは人の領域。」

るーしー「答えが出るまで悩んでいい。もし答えが出ないまま天寿を全うしたら答えを教えてあげる。」

るーしーさんに、頭を撫でてもらった・・ん?

後ろを振り向くと、列ができていた。


モルダー「次オレな。」

コード「るーしーちゃんに頭を撫でてもらうイベントがあるなら事前告知してくれよ。」

そんなイベントないよ。


・・

・・・・


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