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101魔王戦


目指すは魔王の城!

ミルカさんの部隊による誘導や撹乱かくらんで魔族たちの目を誤魔化す。

その間に俺たち少数精鋭(一部除く)が魔王の城へ進む。


双星「思った以上に敵と出くわさなくてびっくり。遠目だけど魔王の城が見えるとこまでこれたよ。」

土門将軍「C国はよい兵をお持ちだ。どのような訓練をしているのか教わりたいほどだ。」

ミルカ「さすがに教えられません。」

ダークエルフ「幸先がよいのは助かる。魔王城へ突入する前に、少し休憩をとろう。」

魔王城は敵の本拠地。

そこへ突入すればゆっくり食事もとれないだろう。

みんな頷き、目立たないところで軽食をとる。


メイド「魔王って、どんな方なんでしょうか?」

みんなに食事を配りながら、メイドさんが疑問を呈する。


アリス「魔王なんてものは、みんな自称よ。でも・・今回の魔王は、他の魔王を倒していたそうだから、魔王の中の魔王とも言えるわ。」

自称魔王の中の自称魔王か。難易度高いな。


土門将軍「自らが戦う戦闘タイプということか。それにしては、城に籠っているのが気になる。」

ダークエルフ「仲間を必要としない・・単独で戦うタイプ。」

双星「えーと、魔王にも色々あるの?」

ダークエルフ「魔王の多くが、単独で戦う戦闘タイプ。」

ダークエルフ「他のタイプは・・過去には数十万の魔族・魔物を率いた魔王ブロブなんてのがいた。」

双星「数十万?動く災害だねそれ。」

ダークエルフ「実際災害だった。町や村、国もいくつか滅ぼされたほどだ。」

アリス「つい数十年前の話だっていうから驚きよね。それも一匹のブロブがよ!」

ブロブって、迷宮とかでよく見かけるゼリー状の魔法生物だよね?

酸による攻撃は怖いけど、駆け出しの冒険者でもパーティ組めば十分勝てる相手のはず。


ダークエルフ「研究者タイプの魔王もいた。優れた魔法アイテムや魔法剣を作り、魔族たちがそれを使い暴れるという。」

アリス「最近は見かけないわよね。やっぱり力の強い方が有利なのかしら。」

土門将軍「わかりやすいのだろう。力を示さねばついて来ないのは人間も魔族も変わらぬ。」

双星「じゃあさ、運がいいだけの魔王とかっていなかった?」

アリス「?」

ダークエルフ「?」

土門将軍「?」

メイド「?」

ミルカ「・・」

雪納「いたら楽しそうですね。」

まぁ・・そうだよね。

休憩をとって俺たちは魔王城に入ることにした。

優しい魔王でありますよーに。


・・

・・・・


魔王城の中は綺麗に整理してあった。

静かでホコリ臭くなくて、人が住んでいてもおかしくない気がした。

これなら話し合いで解決できるかな?


アリス「凄まじい瘴気ね。換気しているみたいだけど全然取り切れてないわ。」

ダークエルフ「魔王ひとりでこの瘴気を放っているとしたら、まともじゃないわね。」

土門将軍「やはり一筋縄ではいかんようだな。」

ミルカ「瘴気に気をとられないようにな。」

メイド「・・瘴気とか全然わかりません。」

俺も俺も!

みんなすごいなぁ・・さて、魔王は御在宅かな?


魔王城「いらっしゃい。魔王ちゃんは今お出かけ中だよ。」

うわぁ、話のわかりそうなお城だ。

魔王のお帰りはいつ頃?


魔王城「すぐ帰ってくると思うよ。まっすぐ行ってつきあたりを右に行くと食堂があるからのんびり待つといいよ。」

魔王城「アンデッドたちがお茶淹れてくれるから。」

魔王城じゃくつろげないと思う。


双星「魔王はいないみたいだね。ちょっと待つ?」

ミルカ「わかるのか?」

土門将軍「瘴気が強くて気配がわからんが・・お主がそう言うならそうなのだろう。」

双星「ところでさ、友好的なアンデッドがいたらどうする?」

アリス「殺すわ。どんなに友好的でも、魔王が来たら敵になるでしょ。」

・・食堂は行かない方がよさそうだ。


魔王城「魔王ちゃんが近づいて来てるよ!もうすぐ来るよ!」

親切だなぁ。お茶飲む暇はなさそうだ。


双星「魔王がこっちに近づいて来てるみたいだけど、どうする?ここで戦うの?」

アリス「そんなこともわかるの!?あんたどうなってるのよ!」

城が教えてくれて・・なんて言ったところで、きっとわかってもらえないんだろうなぁ。


ダークエルフ「魔法トラップでも仕掛けておくとしよう。」

ミルカ「戦闘準備だな。」

みんなが武器を構え、メイドさんが避難する。


魔王城「あと10秒で来るよ。すぐ近くに魔王ちゃんいるよ。」

俺もヒミカさんから渡された魔剣を構える。

できればかわいい女の子の姿をしていたら嬉しい!

ギィィ・・魔王城の扉が開いた。


魔王「・・」

フード付きローブで外見がまったくわからない。

・・魔王の足元に魔法陣が浮かび上がった!


ダークエルフ「来るぞ!」

魔法陣から工事現場のコーンみたいな形の槍が何本も飛んで来た。


ミルカ「この程度!」

ミルカさんが飛んで来た魔法の槍を真っ二つに切る。


土門将軍「はああああ!」

土門将軍は大剣で魔法の槍を押し潰す。


アリス「ふん。」

アリス王女が不満そうに魔法の槍の軌道を変える。


ダークエルフ「・・」

ダークエルフさんに届く直前で魔法の槍が分解して消えた。


雪納「・・」

雪納さんは指一本で魔法の槍を止め、そのまま破壊した。


俺には届かなかった。


魔王「・・」

再び魔王が詠唱に入る。


土門将軍「させるか!」

ミルカ「くらえ!」

前衛の土門将軍とミルカさんが魔王に攻撃を仕掛ける。

同時に中衛のアリス王女とダークエルフさんが詠唱に入る。

同じく中衛の雪納さんは・・のんびりしてる?

まぁ後衛の俺もなにもしてないし、いっか。


最初に土門将軍が魔王に斬りかかる。

が、魔王には結界が張ってあるのか、空中で攻撃が防がれる。

続いてミルカさんの攻撃・・が、こちらも魔王へ届く前に斬撃が止まった。


アリス「こちらも行くわよ!」

アリス王女が光輝く魔法の矢を魔王に放つ。

だが、これも魔王に届く前に打ち消された。


ダークエルフ「ランク2が通じていない・・まさか・・」

ダークエルフさんも魔法を完成させる。

これは・・攻撃魔法じゃないっぽい?


雪納「結界の解除がうまくいかないところを見ると、ランク3以上の障壁ですね。」

ダークエルフ「厄介な・・」

どういうこと?


魔王城「魔王ちゃんにダメージが通らなくて積んだって話。」

超ピンチじゃん!


魔王城「その剣なら結界も斬れるよ。そうすれば攻撃が通じるようになるよ。」

魔剣すげぇ!・・でも俺じゃ近づくのも無理だな、うん。


双星「ミルカさん!これを使ってください!」

俺は魔剣をミルカさんに投げた。


ミルカ「はああああああああ!」

ミルカさんが再び魔王に攻撃を仕掛ける。

まだ魔王は詠唱中だ。長いなぁ。

ズバッ・・パキン!

魔剣は結界を斬り破壊した。


土門将軍「そんなのを見せられたら、儂も魔剣がほしくなる・・な!」

ズンッッッ

土門将軍の大剣が魔王にクリーンヒットした!

やった?


魔王城「よく見て。体がひしゃげてダメージ入っているように見えるけど、魔法の詠唱は続いたままだよ。」

本当だ。あんな格好で痛くないのか・・


魔王城「魔王を人間の感覚で考えちゃいけない・・ほらそろそろ魔法来るよ。」

いつ詠唱が終わるかなんて俺にはわからないけど、教えてくれるのは助かる。


双星「魔王の魔法が来るから気を付けて!」

土門将軍「効いていないのか!?」

ミルカ「こんな不気味なやつは初めてだ!」

魔王「抑えられた力を解放せよ。」

魔王の目の前で大爆発が起きた。

凄まじい爆発と爆風が周囲を襲う。


魔王のすぐ近くにいたミルカさんと土門将軍、中衛にいたアリス王女とダークエルフさん、雪納さんが壁まで吹っ飛ばされていた。

残っているのは・・俺だけ?

俺もみんなと一緒に吹っ飛んでいたいんですが。


魔王「・・」

魔王がゆっくりこちらに向かって来る。

俺に残された武器は・・いつもの短剣!どうしろっちゅーんや。

その時、魔王の足元が光り・・爆発が起きた。

あれは・・そっか、ダークエルフさんが仕掛けてた魔法トラップ!


魔王「この程度・・か。」

あ、ノーダメージですか?

ローブがちょっと破れただけっぽい。

みんなは・・まだ壁に激突した衝撃から立ち直ってないし!

どうすれば・・あれ?ローブの破れたところから覗いている魔王の右手は・・


双星「猿の手?」

猿の手「お久しぶりでヤンス。」

お前そんな喋り方じゃなかっただろっていうのはいいとして、猿の手の本体が魔王だったなんて・・

・・ならもしかして・・


双星「さ、猿の手よ!持ち主ごとこの世から消えて!」

魔王「なに!?」

猿の手「3つ目の願い、確かに承った。でもこいつはいずれ戻ってくるだろうがな。」

異空間が生まれ、魔王を飲み込む。


猿の手「3つの願い、確かに叶えた。呪いあれ、呪いあれ、呪いあれ。」

デンデンデンデンデンデンデンデンデーンデン。

魔王は猿の手と一緒に異空間に消えた。


双星「やった・・?」

魔王城「数日後か数週間後か数年後か数百年後か・・いずれ戻って来るけどね。」

これで終わりってわけじゃないか。

猶予期間ができただけ・・


アリス「双星!あなたなにを・・」

双星「えっと、猿の手の話からしないといけないっぽいかな・・」

俺は猿の手のこと、猿の手の本体が魔王だったこと、最後の願い事が残っていたことを説明した。


土門将軍「そんなことがあったとはな・・つかぬことを聞くが、最初からわかっていたわけでは・・」

双星「ないない絶対ないです!偶然です!」

アリス「(アスタお姉様は、この男を神だと言った・・もしも魔族の襲来も予想して対策していたというなら・・)」

メイド「終わったみたいですね。」

ダークエルフ「いずれ戻って来るそうだがな。」

双星「・・あんまり意味なかったかな・・」

ダークエルフ「そんなことない。魔王がいなくなったと分かれば他の魔族たちは混乱するだろう。」

ダークエルフ「今のうちに叩いておけば、再び魔王が戻ってきても同調する魔族も少なくなる。」

ダークエルフ「大事なところでいなくなる魔王など、二度と信用されない。」

雪納「つまりは、人間側の勝利ね。」

勝ちは勝ちだけど・・あまり勝ったって感触がないな。

倒してないから?相手の実力を見る前に終わったから?あっけなかったから?

勝ったのに不満を持つなんて、わがままかな・・


ミルカ「よい剣だった。感謝する。」

ミルカさんが魔剣を返してくれた。


メイド「あ、そうです。さっき避難してたらゾンビさんがいて、お土産持たせてくれました。」

・・それ、大丈夫なの?毒とか腐食具合とか。

ダークエルフさんが魔法で調べてくれたけど、問題ないって。

帰り道にみんなでたべた。普通の大福でおいしかった。


・・

・・・・


戦いは一方的なものになった。

魔王のいない魔族軍は脱走する者が増え、戦ってもすぐ逃げ出していた。

土門将軍は再び兵を率いて参戦し、ミルカさんもC国の援軍を引き連れ着実に成果をあげていった。

B国の援軍が来る前に戦況は決した―――人間VS魔族は、人間側の勝利で幕を閉じた。


・・

・・・・


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