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魔王と勇者討伐1

誤字脱字報告ありがとうございました。ぺこり (__)

皇帝陛下がみなまで言わなくとも言いたい事は察しがついた。聖地へ現れたダンジョン調査への同行だろう。ダンジョンは森と違い、人海戦術が効かない。一騎当千の戦士が探索にあてられる。この国なら勇者=皇子カール、聖女ベアトリス、剣聖ガブリエル、賢者アドロフだ。だが、この国の魔石の浄化は進んでいない。それは聖女をはじめ、全員のレベルが十分にあがっていないのが原因だろう。


「頼む、ダンジョンの調査に同行してくれ。おそらく魔王が復活している」


「承知しました。魔王は生まれたばかりですと弱いです。倒すなら今です」


私は気がつくと、胸に手をあててアクレイア王国流の騎士の敬礼をしていた。


「アクレイア王国へは至急連絡しておく、慎重に頼む、そなたが頼りじゃ」


「了解しました。王国騎士として、魔王を必ず討伐してご覧にいれます!」


私達はすぐさまハノーヴァーに向かった。しかし、ダンジョンへの侵入は1日だけ待った。流石に夜にダンジョンに入るのは危険だ。十分な体力が無いと途中パーティが崩壊する可能性がある。今回、勇者が必要なのだ。勇者を生きて魔王がひれ伏す前に連れて行く必要があるのだ。妹のベアトリスや剣聖ガブリエルさん、アドロフさんの命も考える必要がある。


一夜明けて、ダンジョンへの探索となった。


「クリス、頼みますよ」


「クリス、私に魔法を教えてください」


「二人共、随分な変わりようだな。あの頃は俺達あんなにベアトリスの信者だったのにな」


ガブリエルさんとアドロフさんの二人は私に好意的だが、勇者=元皇太子のカールは毒を吐く、それはそうかもしれない、私のせいで皇位継承権が下がり、皇太子から皇子に下がったのだ。でも、私のせいじゃないよね?


「カール様、お気持ちは察します。しかし、今は国難の時、もし私に罰を与えたいのでしたら後日になさってください」


私はカール元皇太子に訴えた。今はいがみ合っている場合じゃない。


「なら。後日、私にその首を撥ねさせてくれるとでも言うのか?」


「…考えておきましょう」


私はすかさずそう言った。もう、この皇子の馬鹿さ加減に辟易としてきた。そもそも、私に何かしたら、この皇子の首の方がヤバいわよ。私は聖女である以前にアクレイア王国から正式に派遣されてきた者なのだ。その王国の聖女を殺害等したら、皇子でもただでは済まない。


「カール殿、クリスはあの頃とは違います」


「そうです。彼女は更生して素敵な聖女になられた」


「この裏切り者めが! ベアトリスの前でぬけぬけと!」


ホントに私は何故こんな人を愛してしまったんだろうか? 子供の頃は本当にアルが好きで、アルと結婚したいと思っていた。でも、大きくなって、貴族が好きな人と結婚等できない事を知ると、将来の婚約者に気に入られようと思う様になった。


そうか、私はこの人を愛していたのじゃない。私はこの人に愛されたかったのだ。私は自分の心がわかってきた。私はこの人に愛されたかった。でも、人から愛される前に愛するべきだった。私にはそれが欠けていた。だから、相手の迷惑を考えず付き纏ったり、妹を虐めたりしたんだ。相手の事を考えたら、そんな事はできない。そもそも恋愛結婚ではないのだ。相手に意中の人がいたからと言って、その想い人に嫉妬するなど馬鹿馬鹿しい話なのだ。


「お二人はもう、ベアトリスの事なんて覚えていてはくれないのですか?」


ベアトリスが二人に質問する。そういえば、この二人は元々ベアトリスの信者だ。今は何故か私とアンの信者になっている。


「ベアトリス様、あなたの事を忘れた事なぞございません。あなたのおかげで私は魂を救われました。でも、あなた様はカール様の婚約者、私は身を引くしかないのです」


「そうです。私も孤独から解放されて、友人ができる様になりました。全てベアトリス様のおかげです。私もガブリエルと同様です」


「私が魅了の魔法を使っていた事を知っていてもですか?」


私はショックを受けた。魅了の魔法とは外法の魔法と言われる魔法だ。人の心を自在に操る外法。使った者は重い罰が待っている。


「例え、魅了の魔法を使ったのだとしても、私は救われました。私を救う為に使ったのなら、私は感謝しかしません」


「私も魅了の魔法には直ぐに気がつきました。しかし、ベアトリス様は本気で私を救おうとしてくれた。それに、それ程強い魔法はかけていなかったでしょう。実際、私はクリスやアン殿に心を奪われています。魅了に完全に支配されてはいません」


「ベアトリス、二人は今でもあなたの信者よ。私なんて、胸にしか興味持ってくれないの」


二人はわっと笑うが、カールとベアトリスは笑わなかった。


しかし、ダンジョン突入の前にやっておく事があった。ああ、一番やりたくない慈善事業を自らの意思で行う事になるとは…はっ、これは女神様の試練?


そう、私は三人に闘気と魔素の使い方を教えた。彼らはとたんに強くなった。


しかし、これで、国家間のパワーバランスがまた変わるな…ほんとに私、何やってんだろうな。それもこれも、調子に乗って、大勢の前で贖罪の為、帝国の為に身を捧げますなんて言ってしまったからだ。その上、天から光までさして、これであれは嘘でした、だなんて言えないよね? まさか女神様を信じていなかった、女神様の意地悪? 考えすぎ?


こうして私はいやいや魔王の待つダンジョンに入るよりなかった。 

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『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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