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王国認定聖女(仮)になりましたわ2

団長室に入室するとそこにはな意外な人物がいた。私は思わず声を出してしまった。


「エ、エリスちゃん!? どうしてここに?」


 それは米問屋の娘エリスちゃんだった。あまりに意外な人物との再会に私はここが上司である団長の個室である事も忘れて声を上げてしまった。


「驚くだろうと思っていた、順を追って説明しよう。まずはそこのソファーに掛けたまえ、クリスティーナ、フレデリク第三中隊長も掛けたまえ」


 叔父様、イェスタ団長がソファーに掛ける様促した。言われた通り、腰を落とし、団長室を見渡した。豪奢な内装と広い部屋だが、装飾は剣や槍、本棚には武芸書や魔導書が所狭しと並んでいる。まあ、武人の部屋である。そして、室内には、今、入ってきた私と第三中隊長フレデリク、そして最初からいた第一中隊長クリストフ、王国聖女セシーリア、そしてエリスちゃんである。


「あ、あの、叔父様、いえ、団長、これは一体?」


「ああ、説明する。クリスが助けたエリス穣だが、12歳の時、奴隷とされた為、教会でタレントの確認がなされていなかった。先日正式に奴隷階級から、平民へと無事手続きが終了し、その際に教会にてタレントの確認を行った」


「エリスちゃんのタレントなんだったと思う? びっくりなタレントよ、私とあなたにも関連するわよ」


 聖女セシーリアさんがお道化た口調で私に伝えてくれる。だけど、答えは一つだ。セシーリアさん、それ、ほとんど答え! クイズになってません。セシーリアさんと私に共通するタレントと言えば!


「まさか、エリスちゃんは聖女ですか?」


「そのまさかよ。みんなびっくりしたわ」


セシーリアさんが私とエリスちゃんを交互に見て、ニッコリ笑顔を浮かべた。


「セシーリア、ズルいぞ、私がびっくりさせようと思ったのに!」


「まあ、兄さま、固い事は言わずに、固いのは頭だけで十分です」


「誰の頭が固いっていう?」


「まさか、無自覚ですか?」


「あの、仲が宜しいんですね?」


私はこの兄妹が羨ましい。私は義母妹とは仲が良くなかった。いや、私が一方的に嫌っていた。


「「どこが!? プンプン」」


二人揃って同じ意見を言う。やっぱり仲がいい。


「団長、聖女様と遊んでないで、公務をお願いします」


「クリストフ、酷いぞ? これも公務だ」


「聖女様と遊んでいる事がですか?」


「遊んで等おらん、私はマジだぞ!」


なんか、いいな、そんな風に思えた中、団長は今回、皆を集めた次第を説明してくれた。


「まあ、結論から言うと第三中隊と第四中隊、そして聖女セシーリア及び聖女見習いを連れて赤の森の魔物の大討伐戦を行ってもらう」


「兄さま、いきなりその結論じゃ、クリスちゃんやエリスちゃんが意味わからないでしょ?」


「ああ、そうだな。順を追って説明しよう。先ず、我が国を取り巻く環境だが、近年瘴気が濃くなって来ている。その為か、赤の森の魔物が増えた。そして、増えただけでなく、本来、聖石が埋められている、このケルンの街に近いところでは出現しない筈の瘴気の濃い魔物、つまり強力な魔物が街の近くまで出現する様になった」


「フレデリク、前回の調査の結果を改めて報告してくれ」


「はい、団長。赤の森の調査で、ディフェンスコンディション、いわゆるデフコンが一段上がった事が確認されました。通常時レベル1ですが、前回の調査にて、出現する魔物のレベルが2段上昇しています。以前のランクCクラスの魔物が出るエリアに常時Bクラスの魔物が出現しています。更に、赤の森の奥のCランクエリアで、Aクラスの魔物に遭遇しました」


「つまり、1段上の魔物が常時発生し、2段階上の魔物が発生する事もあるという事だな?」


「はい、従いまして、300年ぶりにデフコンはレベル2に相当すると考えます」


「妥当と思えます」


「ありがとう。クリストフ、フレデリク」


 馬鹿犬と補足してくれたクリストフ第一中隊長に団長がお礼を言うと、更に団長からの悦明がつけたされた。


「エリス穣の聖女の認定が国王と教会から下りた。ついては、今回の大討伐に随伴し、負傷者への治療と魔石の浄化の手伝いをしてもらう」


「わ、私がですか? 私、聖女の魔法なんて使えるのでしょうか?」


「安心して、エリスちゃん、クリスちゃんが教えてくれるからね!」


私なんかい!


「いえ、いえ、ここは大ベテランの聖女様から直接ご指導いただいた方が」


「あら、クリスちゃん? 私の仕事増やそうって言うの? 喧嘩売る気?」


「いや、私、ようやくレベル2になったばかりで、とても教えるのなんて」


「う~ん。そういえば、クリスちゃんは魔法学園を卒業してなかったわね」


「そうなんです。マジで、教えるのなんて、お願いします。これマジです」


「わかったわ。あわよくば逃げて王都の晩餐会に参加したかったんだけど」


いや、駄目でしょ? 流石にこんな時に逃げちゃ! この人ホント、クズだな。


「それと、これは全員他言無用だ。帝国に関する情報だ」


「何なの? 兄さま、何故ここで帝国の話が?」


「多いに関係ある、現在、帝国には一人しか聖女がいない、我が国より聖女を必要とする帝国がだ。ここにいる全員は理由を知っているだろう。本来二人いる筈だった聖女は現在一人である事が」


「確かに、今は妹のベアトリスだけが聖女です。しかし、聖女は一人でも任は可能です。多忙でしょうが……」


「その貴重なたった一人の聖女の力が弱いのだ」


「えっ!?」


 私は驚いた。あの聖女のイメージを具現化した様なベアトリスの、聖女としての能力が低いだなんて思いもよらなかった。


「ベアトリス穣は魔法学園卒業を待たずに騎士団と魔物討伐に参加しているが、治癒能力は水魔法使いより弱く、魔石の浄化もままならない様だ」


「そ、そんな、ベアトリスが……」


「クリスちゃん、あなたホントはいい子なの?」


誰がいい子だ! 馬鹿にするな! 素でショックを受けただけだ。セシーリアさんムカつく。


「そこで、おそらく帝国は我が国に聖女の救援要請をしてくるだろうというのが王都の連中の推測だ」


「あたしは嫌よ。あそこはここより強い魔物が多いし、何故あたしが帝国なんかの為に! クリスちゃんに酷い事したあんな国、知らないわよ」


「「…………」」


「……セシーリアさん。もしかしていい人?」


「なっ!? あたしを馬鹿にするの?」


いや、普通いい人と言われたらいい気分になるだろうに。いや、ならないか、私もムカつく。


「まあ、待て、未だ帝国への派遣がセシーリアと決まった訳じゃない。我が国には正式な聖女が三人もいるのだから」


「……さ、三人」


 私はつい呟いた。私は確かに聖女だ。だけど元帝国の聖女見習い、この国では唯の騎士。でも今、叔父様は正式なこの国の聖女と言った。それはつまり、多分、


「クリスティーナ、国王と王国正教会がエリス穣と共に、お前を正式に聖女認定した。受けてくれ。我が国の為に、そして、我が国の安全の為に力を貸してくれ」


 私の希望の光を失った筈の目から、一滴の涙がこぼれて床の上に落ちる、私は涙を我慢する事ができなかった。捨てられた聖女の私を拾ってくれる。聖女として働く事ができる。そう考えると涙が止まらなかった。


「国王陛下へは団長が、正教会へはセシーリアが推薦状を出されました」


 第三中隊長が説明してくれる。


……こんな、こんなに良くしてもらっていいのだろうか? 私のした事を考えると心苦しい。


「わ、私なんかでいいのでしょうか? セシーリアさんとエリスちゃんで十分ではないでしょうか?」


「君は貴重な聖女なんだ。正式に聖女認定を受けた方がいい。正直、国王陛下は帝国へのかしを作る事でも算段しているのだろう。この大陸には我が王国に三人の聖女、帝国に一人、バース共和国に一人、従って、帝国を助ける事ができるのは我がアクイレイア王国だけだ。君の祖国を助ける為にも我が国の正式な聖女になってくれ」


 胸が騒ぎ立てられていた。信じられない程に私の胸の鼓動は落ち着きがなかった。こんなにも人様の親切が身に染みるとは……自身は人を傷つけてばかりだったのに......何とか落ち着きを取り戻すと、冷静を繕って、騎士として凛とした声で伝えようと思った。でも、


「……わ……わ、わかりました。あ……ありがとうございます」


 私の喉から伝え出た声はか細く、震えている様な声だった。こんなにも自分を律する事ができない事に腹がたった。こんな自分にこんな幸せな結末がやってきていいのか? 自身でもこの首を落として欲しいとすら思った事もある。それなのに……


「……あの……今の言葉……今までで一番嬉しいかも…です………」


「よかったな。クリスティーナ」


「良かったわね。クリスちゃん」


「よかったな。クリス様」


「クリスさんよかったですね」


みんなが祝福してくれる。こんな私の為に……


私の心はとてつもなく穏やかになった。

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『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
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