いざ、前線へ
「おおっ! 来てくれたかルークス!」
「アンドゥさん……あなたも、ここに来ていたんですか」
「ああ。砦の方の指揮は俺がとっている。あのデケェ亀と直接相対する前線の指揮をとってるのは、マーリンだ」
「マーリンさんも……本当に、特別警戒任務に相応しい総力戦ですね……」
カレンと話す逞しい肉体の男性冒険者はアンドゥ。
ギルドの最精鋭であるS級冒険者の1人である。
「全くもってその通りだ。こんなレベルのモンスター相手にするのは何年ぶりだろうな」
「私は初めてです……正直言って、どう戦えばいいのやら……」
「不安か?」
「……ええ、なんというか……今はいろんな不安が積み重なってて……」
カレンとアンドゥは、S級冒険者同士で個人的な交流を持っている。
故に、滅多に不安を顔に出さないカレンの不安のもとくらい、アンドゥには容易に察しがついた。
「……その不安の1つは、マティアスのコトか?」
「……無事ですか!? マティアスは……」
案の定、マティアスの名前を出した途端に食いついてきたカレンを見て、アンドゥはほっとしたような笑みを浮かべた。
「ああ、今も前線で戦ってる。……早く行ってやれ」
「……ありがとうございます、アンドゥさん……リーネ、着いてきてくれる?」
「勿論だよ」
「ジェシー、チコ。あなた達はここでアンドゥさんのサポートをお願い」
「うん」
「分かりました」
カレンは、パーティーを2つに分けることを選んだ。
敵の矢面に立つ前線に人を送るのも大事だが、そこばかりに人を集中してはいけない。
後方の人員は、状況に応じて動きを変える予備戦力。
大砲などの遠距離攻撃で前線の人員を支援し、後方にある街との連絡役ともなる。
そしてなにより、万が一の事態が起きた際の「全滅」を防ぐための存在である。
「……それじゃ、行くわよ。リーネ」
「ええ。気合い入れて、ね」
これからカレンが相対するのは、全滅の恐れもあるほどの規格外の敵。
それでも、彼女は責任ある立場の人間として、仲間を、街を大切な人を守るために戦わなければならないのだ。




