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イチョウの木に聞いて見た
どうしてそんなに黄色なの
彼女は笑って言った
それが分かったなら
私だって紫色になれるのかしら
僕はぼんやりした後で
なれないと思うな
と言った
すると彼女は笑っていた
変な気分で
僕はそこを後にした
ところで、犬がいた
僕は犬を蹴り飛ばした
犬は動かなかった
死んでいたのだと思った
ねぇ、君、死んでいるんだろう?
僕が聞いても、犬は答えなかった
それとも、寝ているのかい?
犬は、答えなかった
僕はブルブルと鼻を鳴らして、耳を犬の体にくっつけた
ドクンドクンと音がする
何だあ、死んでなんかいないじゃないかと叫んで顔を離せば
そこに横たわっていたのは目のないイルカ