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はじめに  作者: 師走
69/629

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二人は風呂場で沈黙していた

何も喋らずに、淡々と座っていた

そのうち、一人が手を少し動かす

タパン、と水面から音がした

だが、まだ二人とも口を開かない

じっと目をつぶってみたりする

何か話さなければならないという

ふつふつとした使命感よりも

この空気に身を任せていた方が

安心できたのである

笑い話を語り合うのが理想であれば

俯いて黙るということは廃絶すべきものなのであろうか

そうとも思えない

なぜなら、これは、気まずさでもないからだ

どこか温かみのある一時なのだろうと思える

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