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はじめに  作者: 師走
6/601

6

ふと

横を見ると

男の人が

立っていて

こちらに笑いかけ

座ってもいいですか、と言う

私が

別に構わないですよ、と返すと、

彼は

ニコニコしながらそこへ座って

すみませんねぇ、などと言いつつ、

それでも私に目を合わせようとはしなかった

そして、私がしばらく空気に身を委ねていると

彼は誰にともなく

自分の体験談を話し聞かせていた

「僕はね

いろんな国を回っていたのですが

ここの地域は凄かったですよ

もうね

人がみんないなくて

狂ってしまいましたよ

ははは

狂ってしまいましたよ、ははは

それでもですね、

やっとこうして

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