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ようやく霧が晴れてきたという頃に
イタチは動き出した
河原の岩によじ登り
後ろ足で立って
何とは無しに向こうを眺めていた
川鳥が
それに気づいて慌てて飛んで逃げて行く
向こうから黄色の影
ではなくて、車のライトだ
明るさはグイグイ増していき
その白い車体が見えると
もう次には遠ざかっていった
空気は冷たい
イタチは鼻がむず痒く感じたが
別段気にすることもなかった
風に揺れて紅葉した桜の葉が小さく揺れる
それらはみんな土手の上のことだ
もっと向こうには渋柿もある
ここからでは分からないが、カラスか何かが突ついたらしく
半分ほど食いちぎられていたはずだ
土手の上から朝はやって来るのだろうか
まだイタチの周辺は
冷たい地面に背の低い草
先程の鳥が残した波紋がわずかに残るばかりである




