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はじめに  作者: 師走
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39

ようやく霧が晴れてきたという頃に

イタチは動き出した

河原の岩によじ登り

後ろ足で立って

何とは無しに向こうを眺めていた

川鳥が

それに気づいて慌てて飛んで逃げて行く


向こうから黄色の影

ではなくて、車のライトだ

明るさはグイグイ増していき

その白い車体が見えると

もう次には遠ざかっていった

空気は冷たい

イタチは鼻がむず痒く感じたが

別段気にすることもなかった

風に揺れて紅葉した桜の葉が小さく揺れる

それらはみんな土手の上のことだ

もっと向こうには渋柿もある

ここからでは分からないが、カラスか何かが突ついたらしく

半分ほど食いちぎられていたはずだ


土手の上から朝はやって来るのだろうか

まだイタチの周辺は

冷たい地面に背の低い草

先程の鳥が残した波紋がわずかに残るばかりである



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