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第一、
寂しがり屋の子供が
たった独りで
こんな家の前に
立っているのは
ただ事ではないのだ
それは
つまり
その子供が
自らの意思で
そこへ
やって来たのではない
ということであった
彼は
ぼんやりと
瞬きをしていたが
急に
ふっと
かすめていった風にやられて
体をブルリと震わせ
やがて
じわりじわりと口元を歪めて
ううう
と言った
家からは
光が全く見えず
かと言って
真っ暗でいるとも思えなかった
夜でもない
朝でもなかろう
よって昼である
しかし、曇りだ
うっすらと漂う郷愁感にこそ
子供は……