30/629
32
霧深い森の中に
息をひそめるように
一匹のリスがいます
また、木々がそびえ立つ中に
ひときわ幹の大きなものがあって
それはどっしり構えたまま
時の流れに身を任せています
風は穏やか
小さな池に走ってゆく波紋も、大きなものではありません
かすかな霧は集約されて塊となり、しかし突然弾けるように広がったりします
どこかからカラスの鳴き声がします
すると、それを待っていたかのように空は深い青になり始めました
そして、木の葉一枚一枚の輪郭がはっきりしていくと共に…
白々明るさが勢いづいてあたりに覆いかぶさります
すると、先ほどのリスはピクリと小さな耳を立てるのです
真っ赤な太陽の頭は、冷たい風を払拭するかのようで




