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貝は
水の中で
プカプカと
泡を吐き出して
ゆらゆら流れ行く
落ち葉なぞを
見ながら
よいしょ
と
少し動いた
そこへ
魚が
鱗をアルミのように
輝かせながら
去っていった
藻は
遠くで小さく揺れ蠢く
太陽の光は
雲に消されたりまたでて来たりを繰り返し
その度に
貝の地味な白地にオレンジという出で立ちの上へ
かかってくる
蟹は昨日から見えない
数多の小石は
ツルツルとして真下に広がり
鳥の足が
チラリと見えた時なぞは
ドキッと胸が高鳴る
森のざわめきが
かすかに聞こえたかと思えば、
貝はすっかり口を閉じた