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夜になれば
うるさい楽団がやって来て
辺りを見渡しながら
それでいて
どこかの店へ入るでもなく
光る電灯の明かりを時たま
まぶしそうに睨みながら
テケテケと歩いていく
ずっと先には
あの鍋蓋の
黄土色をした金属の塊が
ふらふら浮いているんだと思う
彼らの楽団と言うのは
多分、あの速度じゃあ
あそこまでは届かないのだろうけど
まぁ面白そうだから何よりだ
いずれチラホラと雪も降るかもしれないだろう?
それで
楽団は
まだキラキラしている街並みを
なんだか悲しそうに羨ましそうに歩いていく
犬の目も潤むような
ケッタイな夜だね