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報酬は世界の半分  作者: 麦ちよこ
中山の本気編(改稿前)
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25.最後の一人

 目が覚めるとなんか部屋の隅にいた。周りを見ると相変わらず汚い促進部の転移陣のある部屋。この転移陣飛び込むときは緊張と和食で頭が一杯だったなぁとぼんやり思い出す。



「起きたか。中山、B6会議室に行くように。業務命令」



 マリーンさんが監視の手を止めて私に声をかけた。ぼぅっとした脳みそがゆっくりと覚醒してくる。手足は元通り。ポケットには冥界業務用のタイマー。とりあえずタイマーを見る。『出頭命令 B6会議室』とだけ表示されていた。



「帰ってきたんですね」


「うん。だからいっといで。説明はあっちがしてくれるから」



 地球コピー世界で慣れたショートカットを起動しようとしてやめた。あれは世界にあわせてカスタマイズしたものだった。座標が冥界だと使えない。おぼろげに咲さんに習ったマニュアル魔法でB6会議室を座標に<転移(テレポート)>を構築する。視界がふらっとぶれて私は会議室にとんだ。



「おはよう」


「おかえり」



 会議室には開発部と促進部の部長がいた。お互い金属板を片手に会議をしていたようだ。



「すみません。今戻りました」


「戻りましたじゃねーよ。戻したんだよ」



 最後の記憶を掘り返す。確かに急に死んだときのような感覚に陥った。アレが強制帰還か。



「さて、中山君。色々思い出しましたか?」


「はい。暴走してすみません。殲滅戦その後どうなったでしょうか?」



 そうだ。暴走したのだ。元の任務に戻る命令があると守護巫女隊の皆に言われていたのに現地魂を殲滅しようとしていた。それであの強制帰還。

 開発部長は私に椅子をすすめてくれた。あってもなくてもいいものだけれど勧められたのでとりあえず腰掛ける。



「では、あの時の状況からお話しましょう」



 私が暴走している間の事態の推移から開発部長は説明してくれた。

 促進部の部長は接触にあわせてデータ管理部が何かしかけてくると予想。同系列のイベントも企画があったため、初回の悪の軍団プロジェクトを観察しようと他部署の部長達を誘い会議室にて観察することを提案して回った。データに残るとデータ管理部の部長がかぎつけてくるため口約束で集めたものだ。そこでは冥界業務監査院から観戦も呼んで、今回のシナリオから設定までを事前に説明した。そのため、ラムザが未許可の兵器を持ち出したことを確認して監査院から一斉捜査の命令書が降り、データ管理部のシステムは全部オフラインにされたらしい。監査院がデータ管理部にとり物についたときにはデータ管理部はもぬけの殻。開発部を筆頭に文明レベルの高いハイスペック超人たちがあの世界に送ったデータを洗い出そうとした。促進部長は庶務からミレイユさんを呼び隠しファイルを全員に公開。そしてあの騒動にまぎれてデータ改竄を行ったデータ管理部の亡命を確認した。戦闘区域にいたデータ管理部の人間は守護巫女隊が捕縛。その時、私は切れて暴れまわっていたらしい。自分が事件解決中に無用の暴挙に出ていたことを知る。



「そして、中山君は守護巫女隊からの通報で強制帰還したというわけだ」


「大変な中ご迷惑おかけしました」


「いやいや、お膳立てしてくれたのが君だって言うことは聞いているよ。こちらこそ君に負担をかけすぎた。すまなかったね」


「開発部長。あまり褒めてやらないでくれ。現地魂を無駄に消耗しようとしたんだ。どちらかというと説教をしてほしい」


「それは後であなたからお願いしますよ」


「まぁいいや。じゃああの後のことな。中山が帰還してから隔離スペースは閉鎖。そのままあの世界は続行することにした。現地にまぎれているデータ管理部は冥界監査院の命令の元、守護巫女隊を回収部隊に回させた。改竄されたログだったけどな。ある程度は開発部やミレイユたちが割り出してくれた。で、不本意だがあの世界の時間を加速させて50年ほど進ませてもらった。50年不老不死だ。あいつらはすぐ見つかった。それでただ一人を残して回収した」


「厄介なことが残りました。データ管理部部長の行き先です。早期に判明はしていたのですけれどね。彼、天皇家の子供として紛れ込んでいたのですよ」


「お前もわかってると思うが魔法少女のシステムの管理者を天皇家、神道にしていただろう?不老不死の若君が生まれたのはこれまでの仕事の褒美である。これはめでたい。と、なったわけだ。初期段階であれば記憶操作で隠蔽できた」


「しかし50年世界を加速させてしまった」


「50年たった世界ではデー管部長の存在は国中に知れ渡っている。ついでに他国に何故他の神は他の僕に褒美をやらない、ときたもんだ。そんでもってあいつチート無双だ。世界征服やらかしそうだぞ」


「世界を潰すかうまいこと取り除くか。そこで意見が割れているのですよ。ここまで苦労して存続させてきましたからね。彼が来るまでのデータをコピーしてそっくり移すという計画も出ました。しかしながら全データ破棄していたのですよ。あの世界も他の世界のデータも」


「ここにきてお前を呼び出したのはそういうことだ。説明のためじゃない。できるか?辻褄あわせの台本が出来る、若しくは解決策があるのなら出して欲しい。無理なら無理といってくれ。意見が別れているといったが、お前ができるかどうかの回答を待ちたい。というのが大半だ。どうだ?」



 どうといわれても、もう私に出来ることは皆無だと思います。何でそこまで買ってくれてるのか、はたまたこの世界に愛着があるだろうと気を使ってくれているのか。どうにかできる気がしない。考えよう。考えるんだ。何か、何か、何か。



「他の廃案はどんなものでしたか?」


「先ほどのコピーへ移住。それ以外まともな意見はありませんでしたよ」


「まともじゃないものは?」


「潰すのと同意義です。終末世界を作るだとか、部長を煽って魔王にしたてあげるだとか」



 2000年まで明らかに世界が変わる。いや、もう変わっているのかもしれない。



「そういえば守護巫女隊は?」


「デー管部長が妖怪認定して魔女狩りだ。と、いってもチート一人に対してチート4人だからそうそう捕まらない。かといって世間の目があれば、地位も無い。逃げ続ける命令を下して50年だ。今はそこで時間をストップしてこちらに帰還させて休憩している」



 皆さん、私がした約束は守られていないのに50年戦ってくれていたのか。涙腺が緩む。



「泣くな、中山。早く帰還しろといったのに中山がどうにかするだろうから起きるまで大丈夫だといったのはあいつらだ。あいつらは無事だ。そもそも転生魂じゃないからシステム命令がなければあの世界では死なない。ちょっと苦労した。あっちで50年でもこっちで2-3秒の話だ。それだけの話だ」



 そうはいっても50年。体感時間で50年魔女狩りで追いかけられ続ける。それが精神にかかるストレスは半端無いはずである。



「もう歴史からそれてもいいのですよね?」


「もうずれている。俺らの第一目標はデー管部長の捕縛だ。世界の存続はあいつらの希望だ」



 私は彼らの期待に沿いたい。どうなってもあの世界を潰させたくない。



「シナリオを書きます。道具を貸してください」

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