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第51話 絶対に死ぬ村(7) 真相解明 後編



「でもさ、配信見てたら来ないんじゃない? 犯人」


「いや、犯人はくるよ。俺はあいつがテイム状態なことは配信では言ってないし……。それにさ、あんな見た目とはいえ長年テイムしていたモンスターだ。もしも、犯人に人の心があれば戻ってくる」


 テイムと言うのは家族に近い絆がある。犬や猫と同じくテイムしたモンスターは家族という人が多い。

 だからこそ、俺はモンスターをテイムしないと決めている。失うのが怖いからだ。


「でも、どうして犯人はそんなことしたんだろ」


 千尋の疑問に答えたのは経堂刑事だ。


「絶対に死ぬダンジョンがあることで村が儲かるからじゃないかな。まぁ、犯人に聞いてみないと……わからないけど」


 話しているともう目の前に下層への階段が広がっていた。俺は3人よりもだいぶ前を歩き、常に検知スキルを展開する。

 階段を降り切ってボスのフロアが見えた時……俺のスキルに反応がかかった。



「誰かいる、経堂刑事」


「千尋ちゃん、動画をお願い。峰、聞こえてる?」


 インカムで峰刑事に合図を出して経堂刑事は俺にGOサインを出した。俺は一気にボスがいたフロアへ駆け出すと、スキル結晶が落ちている付近で立ち尽くしている男の前に飛び出した。


「お前だな……、笠間裕一郎」


笠間裕一郎

固有スキル:透明化

その他スキル:従魔Lv999、スキル付与

弱点:打撃、斬撃、魔法(全般)



 振り返った男はすらっとした男だった。


「お兄ちゃん……?」


 駆け寄ろうとするメグミを千尋が必死で止める。


「手を上げて、あなたを従魔危険使用の疑いで逮捕します」

 経堂さんはそういうと彼に手錠をかける。


「別に、いーよ。俺は死んだことになってるし。それにさ、そこのバッグの中、みてよ。あ〜そこのお兄さん」


 俺は近くに転がっていたくすんだ緑色のバッグを拾い上げた。中にはファイルが入っていて、結構な数の書類が入っている。


「大野くん、こっちへ」


「これ……」


<契約書>


私、〇〇はここに冒険者〇〇を殺害したい意志を表明する。

 笠間裕一郎の罪が明らかになった時、あくまでも笠間裕一郎は殺人幇助であり主導者は私であるとここに証明する

私、〇〇は笠間裕一郎に1000万円支払う



「読んだ? 俺はあくまでも殺してない。手伝っただけ。指示されただけ。捕まえるなら保険金詐欺をした冒険者の身内を捕まえな。みーんな多額の保険金もらってホクホクでムカついてたんだよ」


 笠間裕一郎は、アハハと笑うと悔しそうな表情の経堂刑事を煽った。


「お兄ちゃん……ほんとにあなたはお兄ちゃんなの? ねぇナツキさん。ほんとにお兄ちゃんなの? 洗脳とかそういう……」


 メグミの言葉に笠間裕一郎は苛立ちの声を上げた。


「俺はずっと、ずっとお前たちから解放されたかったんだ。女遊びもできず、漁師になって家族を支えるなんてゴミみたいな選択肢しかなくてよ? だから、ダンジョンに入って死んだことにして、金に目が眩んだバカを騙して悠々自適に暮らしてたんだ。悪いな、えっとイクミ」


 妹の名前すら覚えていないようだった。


「別に、俺は10年前に死んだことになってたんだし。逮捕されてもいーや、ギャハハ」


「悪いけど、従魔危険使用は殺人幇助には入らないわ。もっと法律を勉強しておけばよかったわね。それに……従魔危険使用は刑務所でひどく嫌われるって話よ。それで仲違いが起きて殺された囚人もいる。あなたにはそういう刑務所に入ってもらいますからね」


 経堂刑事は罵声を吐く笠間をぶん殴ると遅れてやってきた峰刑事に受け渡した。



「お兄ちゃん……お兄ちゃん」


 ダンジョンには兄を2度失ったメグミの泣き声だけが響いていた。

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