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第50話 絶対に死ぬ村(6) 真相解明 前編


 ダンジョンを出ると、そこには3人の女性が俺を待っていた。


 笠間メグミと彼女を挟むように千尋、そして経堂刑事が立っていた。俺の姿を見つけると3人はまるで元から友達だったようにきゃっきゃっと喜んだ。


「おかえりなさい、大野さんっ」


 中でもメグミは瞳に涙をたっぷりと浮かべ、小さく震える手を胸の前で握っている。


「あ〜えっと戻りました」


 なんだか恥ずかしくなって後頭部を掻くと、千尋が「ぷぷぷ」と笑った。こいつ……!


「ナツキくん、お疲れ様、ダンジョン配信すごかったよ」

「見てたのか?」

「もちろん、ここに来るまでのタクシーのなかでね」


 とりあえず、俺たちはメグミの働く旅館まで戻ると、俺が予約したスイートルームに入った。まぁ寝室は3つあるし、2人がいても問題はないが……・

 メグミがポットからお湯を出してお茶を入れてくれている間、俺は経堂刑事にダンジョン内での出来事を話していた。


「まず、失踪者のうち何人かはゴキブリの餌食になっていたかも……まぁあるあるだけど」


「そう、確かにゴキブリ系のモンスターは失踪者を多く出すわ。で、君の見解は?」


「配信でも話したようにあのヘビーモスキートは透明化と無音の能力を持っていました。普段は大したことないモンスターですが透明化や無音を持っているとその威力が増します」


 経堂刑事は「確かに」と頷くと


「大野くんじゃないとわからなかったことね」


 とメモ書きに書き加えた。その話をしているとおぼんにお茶を乗せたメグミがこちらにやってきてポロポロと泣き出す。千尋が慌てておぼんをとりあげると彼女は崩れ落ちて泣き出した。


「透明化は……兄の固有スキルです」


 なるほど……彼女の話ではあのダンジョンに最初に入ったのがお兄さんだ。つまり、お兄さんはヘビーモスキートに負けてスキルを奪われた。ヘビーモスキートにとって初めての獲物が「透明化」だったことがその後の悪夢につながる事になる。


「じゃあ、お兄さんが最初に犠牲者……」


 経堂刑事の言葉に俺は「おそらく、そして透明化したヘビーモスキートが多くの冒険者に不意打ちをした」と結論づけた。


「で……重要なのはここからです」


 結論が出たはずなのに俺がそんなことを言うものだから、全員が目を丸くする。さっきまで泣いていたメグミも「へっ?」と腑抜けた声を出していた。


「検知スキルに引っかかったんです。あのヘビーモスキートが《《テイム状態》》であることが……つまり、あのヘビーモスキートは何者かに操られていた」


 テイム。

 それはモンスターを手名付けることだ。最近ではテイムしたモンスターを相棒としている冒険者も少なくない。

 

「つまり、絶対に冒険者が死ぬダンジョンを作り出している人がいたと言うこと……?」


「はい、おそらく今までにダンジョンに入った誰かが……黒幕のはずです、なので経堂さん今すぐダンジョンに行きましょう!」


「え? なんで」


「俺はあのヘビーモスキートを討伐した時、他の冒険者はあの場所にいなかった。つまり、あの場所に戻ってくるはずなんです。この町の様子をみるにまだ俺がダンジョンボスを倒したことは大々的に伝わってない。つまり、犯人はまだアレが生きていると思っているはず……」


「私も一緒に行きます」


 メグミがそう言うとぐっと涙を拭いた。


「でも……危険かも」


 千尋が心配そうに言ったがメグミは絶対に引かない。


「だって……お兄ちゃんが最後にいた場所、私も行きたい」


「わかった。大野くん、案内をお願いできる?」


 俺の返事を聞くと、経堂刑事は峰刑事に応援を要請した。

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