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二十四話目:響子ちゃん達 vs 大暴走騒霊楽団

※前回のあらすじ

 お寺に現れた竹馬巨人、その正体はプリズムリバー楽団のリリカ・プリズムリバーであった。

 いざこざの末に起きた弾幕戦の末に撃破したのは良かったが、遅れて団長ルナサと花形メルランが相次いで登場。

 最初は単なる紳士と単なる良い人に見えたが、その正体はリリカがまともに見えるくらい飛びきりの変人と飛びきりの狂人であった。

 やっぱり良く分からないうちに、ライブと称して戦闘を申し込んできた楽団員に、響子達寺側も立ち向かう。

 ところが3姉妹の合体スキル、第16楽章『トレモロ・タワー』を破ったは良いが、反動でメルランの様子が──


「……なんだか外が騒がしいと思ったが、そういうことか」


 命蓮寺、屋根の上。

 ナズーリンは腕を枕に寝そべりながら、塀の向こうに見える墓地を眺めていた。

 普段の静けさはとうに失われ、3人編成の楽団が跋扈する騒々しい地となりはてた墓地。

 今のところ実害はないが、牽制的意味合いもかねて一言注意してやろうかと思ったナズーリンであったが、


「まあ、一輪や船長が出向いてるんならいいか」


 交戦中の水蜜達の姿を視認すると、一転して観戦、つまりは『高みの見物』に徹することにした。

 わざわざ疲れる事に足を突っ込みたくないのが本音である。


「ん? なんだ、ぬえもいるのか。ま、邪魔さえしなければ大丈夫だろう」


 服も髪も黒で揃えたぬえを夜闇の中で見つけるのは容易なことではなかった。

 (人間に比べて)嗅覚に重きを置いているナズーリンならば尚更であるが、決して目が悪いわけではないので、いると気づけば見失うこともない。


「それに、むこうも3人組みたいだし、"3対3"ってことで丁度いいんじゃないか」


 そうは言ったナズーリンだが、本当はこちら側が響子や小傘も含めて5人だということには既に気づいている。

 だがその2人が果たして戦力になりうるかと考えた場合、話は別だ。

 こういう場面において、一輪や水蜜に関しては全面的に信頼できる。ぬえも態度や振舞いに癖があるが実力そのものはナズーリンも認めるところである。

 だが小傘や響子の頼りなさは普段の生活で十分に分かっており、この土壇場で戦果をあげられると思うかと問われれば、答えはNoだ。

 特に響子に至っては、先日の"お燐騒動"においてナズーリンに『まったく役に立たない奴』という評価を根付かせてしまったため、信頼度は無に等しい。

 なので頭数が5人であろうとも、うち2人が使い物にならなければ、結局のところ3人しかいないと何ら変わらないのである。

 悲しきかな、ナズーリンが外に出たのはついさっきのことであり、対リリカ戦における響子の活躍を目のあたりにすることはなかった。




  ※  ※  ※  ※  ※




 一方、そんなナズーリンみたいに悠長なことを言っていられない響子達5人。


「ああ、こんなに演奏しがいのあるお客さんは初めてよ! 私の演奏を聞いて死ぬほど幸せになるといいわ!」


 一輪が放った先の一撃を受けてから、どうもメルランの調子がおかしい。

 元から高かったテンションがさらに跳ね上がり、視線もどこか攻撃性を帯び始めている。

 どう見ても展開が危ない方向へ転げ落ちているのは誰の目から見ても明らかであった。


「はわわ」


 その変貌ぶりに、響子と小傘はそろって恐れ慄き、


(おい一輪、あんたのせいだぞ、なんとかしろ)


 先ほどいいように使われたことに対する八つ当たりも相まって、ぬえは一輪をきつく睨みつけた。

 だが一輪もそれどころではないのは同じ。何せ、メルランに一撃を浴びせたのは彼女自身だ。

 この後、なにかあった際にまっさきに狙われるのは自分と考えると一瞬たりとも油断できない。


「そうだ。リリカ、姉さん、今度は第11楽章やりましょうよ! きっと素敵な演奏になると思うわ、ねえいいでしょう?」


 メルランはくるっと振り返ると、リリカとルナサに詰め寄った。


「ま、まあ、メルラン姉さんがどうしてもって言うんなら良いんじゃないの?」


 下手に文句を言って厄介なことになるくらいなら、とリリカは押しに負ける形で了承し、


「……第11楽章か。まあ二曲目としては妥当なところね」


 別段そうしたメルランの様子に危機感を抱いていなかったにせよ、他に良いチョイスも思いつかなかったルナサもそれを了承した。


「よーし、じゃあ行くわよー!」


 声高々に、メルランがスペルカードを掲げた。

 小休憩を経て再び魔の演奏会が開演時間を迎えようとしているのだ。


「村紗」


 一輪はメルランから目を離さずに、水蜜に呼びかけた。


「なに? どうかした?」

「……響子と小傘の事、頼んだわよ」


 そう言われた瞬間、水蜜には一輪が何を考えているのかピンときた。

 長年持ちつ持たれつの間柄にあった相棒のことだ、一を知れば十も二十も容易に推察できる。

 だが、水蜜が何か言い返そうとしたその瞬間に


「二曲目、プリズムリバー幻想曲第11楽章、『ストレングス・シンフォニア』!」


 とうとうメルランがスペルカード宣言。

 それと同時に、袖の袂からマジックタクトを取り出した。

 見た目は普通の指揮棒だが、一振りで先ほど墓石をカステラに変えてしまったマジックアイテムである。

 メルランがそのマジックタクトを天高く掲げ、


「えいっ」


 と掛け声をあげると、杖の先から白い光の粒が飛びだした。

 この光景そのものはさっきも見た単なるパフォーマンスと同じだが、それが驚くべき光景に発展したのはその光の粒が地に落ちた瞬間であった。

 光の粒に当たった墓石がポンとポップな音を立て煙に包まれたまでは先のカステラの時と同じだが、煙が晴れるとそこにあったのはアンプだった。

 それも1つだけではない。光の粒が降り注いだ墓地は、気がつけば墓石の殆どがアンプと化してしまったのだ。

 アンプなんぞ見たことも聞いた事もない響子達5人にとってそれが何を意味しているのかは分からなかったが、何かが始まろうとしている事だけは感じ取っていた。

 そして、


「さあ、ハッピー演奏会の始まりよ!」

「やれやれ、メルラン姉さんに合わせるのは骨が折れるわ」

「何だか幸先不安な始まり方ね」


 ルナサがヴァイオリンを弾き、メルランがトランペットを吹き、リリカがキーボードの鍵盤を叩いた。 

 その瞬間、彼女達の楽器は勿論、地上に設置された大量のアンプからもおびただしい量の音弾が飛びだしたのだ。

 まだ開幕後数秒だと言うのに、その弾の密度は先ほどのスペルとは比べ物にならない。

 赤や緑や青の弾が視界の大半を覆い尽くし、確かに綺麗ではあるのだが、その後ろにあるはずの夜空が視認できないほどだ。

 当然、先の弾幕で既に反射壁の強度の限界が来てしまった響子に、これを全反射させるのは無理というものである。


「ちっ、どうせこんな事だろうと思ったよ」


 圧倒的な弾幕密度を前に、ぬえが舌打ちをした。

 だが、向こうの弾幕の第一陣が到達しようとしている以上、無駄口を叩く余裕はもう無くなる。

 指向性の無い高密度のバラマキ弾ほど厄介な物はない、これは気合を入れねばならないだろう。

 しかし、その前にはっきりさせねばならないことが、水蜜にはあった。


「ねぇ、一輪」


 すでに臨戦態勢に入りかけていた一輪を呼びとめた水蜜。

 そして、振り向いた彼女に


「何しようとしてるのかは大体察しがつくけどさ。あまり無茶しないでね」


 と笑いかけた。


「……皮肉な物ね。その台詞、普段は私が村紗に言う立場なのに」

「へへ、いっぺん言ってみたかったんだ」

「お気づかいどうも」


 一応、余裕を見せる形で一輪も笑みを返した。

 相棒たる水蜜を不安にさせたくなかったのと、恐らく厳しい物になるであろう戦いの中に身を投げる自身を奮い立たせたかったのと、両方ある。


「一輪さん、船長さん! 弾が来ちゃいますよ!」

「そうだ、2人して何ぼさっとしてるのよ! 気合いれろ、気合!」


 響子とぬえに注意を促され、一輪と水蜜は前に振り返った。

 それとほぼ同時に、第一弾が2人の下をかすめていった。なるほど、確かにもう余裕はなさそうだ。

 既に、こちらに飛んできている弾の中には、今この場に停止していれば確実に当たる物があるのもはっきり見てとれる。


「じゃあ、行くわよ!」


 その言葉を残し、弾の横をかすめるように飛びだした一輪。

 ただ避ける事に集中し、幾多もの弾をかいくぐって、彼女はとうとうメルランのすぐ前に辿りついた。


「あら、わざわざ来てくれたの? 嬉しいわ、アンハッピーガール」

「ええ、わざわざ来てあげたわ。私と遊びたかったんでしょう? いいわ、心行くまで相手してあげる」

「ふーん、自信満々ねぇ。じゃあ私も、貴方を"心逝く"まで幸せにしてあげようじゃない!」


 その途端、メルランの見る先が他の4人から一輪ただ1人に変わった。

 これは一輪の狙い通りだった。ぬえにも思われたことだが、もしメルランの攻撃性がこれから増すとしたら、それは自分の行い所以のことである。

 ならば、責任という言葉を用いると少し意味がズレるかもしれないが、他の誰かにこいつの相手を任せるのは筋違いだと思ったのだ。

 勝てるかどうかと問われれば正直なところ自信は無いが、これが後になっても悔いの残らない選択であろうことだけは確信がある。 


 一方、そうした一輪の意図など全く汲み取ろうとすらしなかったぬえはと言うと


(あー、なるほど。私と村紗と一輪で、向こうの3人組みを1人1人にバラして戦おうってわけか。……確かに、悪い案ではないな)


 と彼女の行動を打算的に読みとっていた。

 しかし、確かに楽団による"三位一体"の連携技の強さは先ほど思い知らされたばかりだ。

 逆に言えば、1人1人の個人戦に持ち込めば恐らく大した事はなかろう。増して、最も厄介な奴は一輪が担当してくれた。

 そして、恐らく最も疲弊している奴が未だ選択肢に残っているのだ。個人戦と称して美味しい所を持っていく、これほどの得策が他にあるだろうか。


「そういうことなら──」


 そこからのぬえの行動は早かった。


「響子、来い!」

「うぇ!?」


 まずは唐突に"対音弾最終兵器"響子の右手をつかみ、弾と弾の間を抜けていって、


「──あんたの相手は私がしてやろうじゃないの」


 と、リリカの前に躍り出た。途端にリリカの顔色が曇る。


「げげっ、冗談じゃない! なんでこの私があんたなんかの相手してやらなくちゃいけないのよ!? 姉さん、ルナサ姉さん、こいつやっちゃって!」

「リリカ、今日はお客さんが多いんだからそれくらい貴方が負担しなさい」

「えー、だって私疲れてるんだけどぉ」


 当たり前だ。ルナサとメルランに比べて、リリカには最初のソロバトルがあるだけ疲労度が大きい。

 その上、火力に難があるルナサ、制御性に難があるメルランに比べて、リリカは持久力に難がある。長期戦は苦手だ。

 姉2人の介入によって自分は殆ど何もせず勝利をつかむことができると確信していたのに、まさか連戦を強いられるとはまったくもって計算外であった。

 一方でぬえは、リリカの『疲れてるんだけど』という自白を聞いてほくそ笑んだ。

 "疲れている奴を相手にしたかった"のだから当たり前だ。そうでなければ即バイバイである。


「どうした、チビ。勝てない戦には手を出さない主義か?」


 さらにぬえが挑発という追い打ちをかけると、流石にリリカも頭に来た。


「なっ、馬鹿言ってんじゃないわよ! こうなったらさっきの屈辱の分も含めて、あんた達の鼓膜全部まとめて破いてやるわ! そうすれば生意気なことも言えなくなるだろうしね」


 こうしてリリカとぬえの睨みあいが始まった。

 確かに持久戦では不利だが、よく考えてみれば今はメルランが魔法で生み出したアンプがあるので、少ない力で大きな攻撃をすることができる。

 ならば持久力の低さもある程度カバーできるだろうと判断したのに加え、先ほど酷い目に会ったのに対して復讐してやりたいという思いもあった。

 そして


(ちょっと待って、その『あんた達』って私も含まれてる!? 私まだ何もしてないのに!)


 巻き込まれた響子が1人理不尽さを抱いたのであった。確かに初戦でリリカに致命傷を与えたのは彼女なのだが。




 こうしてメルランvs一輪、リリカvsぬえ&響子という組み合わせが確立されていく中、


(ヤバい、出遅れた!)


 取り残された小傘は、まったくもって無意味な焦りを抱いていた。

 本当はあの時ぬえには響子でなく自分を連れていって欲しかったのだが、今となっては混ざりにくい。

 だが取り残されたのは何も小傘だけではない。


「一輪は兎も角、ぬえまで行っちゃったよ。どうするのよ、これ」


 同じく"放置組"の1人となってしまった水蜜。

 そんな、いつの間にか一輪やぬえの戦いを傍観してしまっていた2人に対し


「まさかこんなことになるとは思いもしませんでしたわ」


 と、楽団側の"放置組"、ルナサが自分からアプローチをかけてきた。


「しかし貴方たち2人そろって傍観に徹するのもお暇でしょう。奇遇にも、私も暇なんです。よろしければ同じ放置された者同士、仲良く遊ぶことにしませんか?」

「へえ、そいつは宣戦布告の一種と受け取って良いのかしら?」


 挑発とも受け取れるルナサの言葉に、水蜜は目を輝かせて笑った。

 暇を持て余していたのは事実であるし、両者3つのグループに分かれて戦うなどやったこともなく、それでいて面白そうだ。


「宣戦布告とは物騒な言葉ですね。まあ、事実そうなんですが、どうされますか? 船長さん」

「無論即刻承諾よ。ちょうど私も腕をふるいたかったところだし、相手してもらえると嬉しいわ、団長さん」

「なるほど、村紗船長とルナサ団長の決戦というわけですか。面白くなりそうですね」


 3つ目の決闘の組み合わせが今まさに決まろうとしていたそこへ


「ちょっと待った! 」


 小傘が2人を呼びとめた。


「皆そろって私を無視するなんて許せないわ! 私も仲間に入れてよ、て言うか入れてくださいお願いします」


 ここでチャンスを逃したら本格的に仲間はずれになると思い、意を決して飛びこんだ。

 全く相手を選んでいないあたり、『勝てる戦いかどうかはそんなに重要ではなく、弾幕に持ち込むことそのものに遣り甲斐を覚えるタイプ』の小傘らしい発想であった。


「……いいでしょう。そちらは2人、私は1人、別にかまいませんよ。チーム戦は私たちの得意分野ですからね」

「やった!」


 ルナサの色良い返事に、小傘は大喜び。

 一方、急きょ仲間を付けられた水蜜は、


(大丈夫かな、確かに一輪には任せられたけど、正直この子についてはあまり知らないんだよなぁ)


 と、ちょっとばかり先行きを不安視。

 しかし小傘の素体が傘であることを考えれば、耐水性には優れるはずである。

 誤射した時は『ゴメンなさい』で許してもらえるとありがたいのだが。


「まあ、いいや。行くわよ、小傘! 出港だ!」

「イエッサー! 日頃からぬえちゃんに鍛えられてる成果を見せてやる!」


 意気揚々と戦意をあらわにする2人。

 それとは対照的に、


「じゃあ始めますか。無駄話ばかりしているのも両者退屈でしょうしね」


 眉1つ動かさず、何もかも至って当たり前と言わんばかりの態度でルナサも臨戦姿勢を取った。

 異様な温度差が漂う中、第三組目の戦いも幕を開けるのであった。




  ※  ※  ※  ※  ※




 そして、こちらは既に始まっていたぬえ&響子vsリリカの試合模様。


「行くぞ、響子!」

「はい!」


 やると決めたからには真面目にやる。響子は即座に反射壁を展開した。

 先ほどは破られた反射壁も、三姉妹を同時に相手にするなら兎も角、リリカ1人なら十分耐えられる。

 そんな完全防壁を張った響子を盾にするような形で、ぬえが彼女の後ろからリリカに向けて弾を撃ちだす。

 周りのアンプから撃たれる弾も、響子の反射壁に守られれば絶対安全である。

 楽団3人を引き離したことに加え、強力な反射壁を得たぬえにとって、文字通りの力押しスペルである『ストレングスシンフォニア』も名ばかりの代物となってしまった。

 その分、一輪や水蜜たちに重い負担がかかるのだが、その辺は『各自うまくやってほしい』程度の認識しかない。

 そしてもう片や、攻守一体となったフォーメーションを敵に回したリリカは


「畜生! 卑怯よ、あんた達!」


 体力は残り少ない、メイン攻撃は反射される、味方の援護は絶望的、と四面楚歌状態に置かれ半ば自棄を起こしていた。

 全弾が反射されてしまうと分かっていながら乱暴にキーボードを叩き続けるその姿には、


(あれ? もしかして私、非人道的行為に肩貸してる? あれ?)


 優勢だったはずの響子ですら自分の行動の是非に疑問を抱き始めていた。

 だが、それとは対照的に


「何、もう弱音? ま、私も結構心が広い方だしね、参りましたと頭下げたら許してやらないこともないわ」


 情に流されないぬえ、むしろ弱みにつけこむ形で笑顔を見せつけた。


「ねぇ、ぬえさん。やぱり反射壁無しで頑張りません? なんだか向こうが可哀想ですよ」

「よーしよし、もういっぺんその台詞を言ってみろ? そのやかましい口におしゃぶり突っ込んで接着剤で固めてやる」

「すみませんでした、大切な商売道具なんで勘弁してください」


 しかし結局のところ、響子がぬえに何か言ったところで、ぬえが考えを変えるわけがないのだが。

 そして、


(ぬえの奴、大人げないなぁ)


 力押しスペル真っ最中に力で押されるリリカを傍目に、こちらは水蜜&小傘vsルナサ戦。


「そらそらぁ! 避けられるものなら避けてみろ!」


 ノリノリなのは精々小傘くらいで、最初から冷めていたルナサは兎も角、水蜜もだんだん冷め始めてきた。

 いわゆる『私が思ってたのはこんなんじゃない』状態とでも言えば良いのだろうか。

 近場で行われているメルランと一輪の戦いは酷く弾密度が高く両者の姿が見えないが、こちらはまるで対照的。

 ルナサの弾幕は、水蜜が思っていた以上に薄かった。団長を名乗る癖に、どの団員よりも薄かった。

 自分や小傘の弾を避けるのは上手いので一概に"弱い"と言い切るのは語弊があるかもしれないが、少なくとも攻撃面は弱すぎる。

 アンプが撃ってくるばら撒き弾以外に、ルナサが撃ってくるのはこちら狙いの大弾単発のみ。弾速も速くないので、鈍い妖精だって避けられそうだ。

 小傘はそんな弾を避けて勝気になっているが、水蜜にとってこれは正直つまらない。


「ねぇ、団長さん」

「何か?」

「貴方のその攻撃、本気?」

「ええ、本気です。私たちプリズムリバー楽団はライブで手を抜かないのも信条の1つでしてね」


 舐められていると分かっているはずなのに、やはりルナサは顔色1つ変えなかった。

 下2人の妹に比べて感情変化が少ないのか、単に顔に出さないだけなのか、どちらにせよ張り合いは無いに等しく、一緒にいて楽しいタイプとは思えそうもない。

 言ってはなんだが、こんなことなら苦戦を強いられている一輪の援護にかけつけたいというのが水蜜の本音であった。


「ところで船長さん、1つ与太話を良いですか?」


 そう言いながらルナサはまたも大弾1発を撃ちだしてきた。勿論、簡単に避けられる物であったので、水蜜は本当に最低限の動きで避けておいた。


「何か?」

「ええ、私も本を読んだ程度の知識しかないので詳しくは言えませんが、魚の中にも音を利用して周囲を確認する種がいるというのは本当ですか?」


 小傘の弾を器用によけながら、ルナサはそんな問いかけをしてきた。

 まったくもって唐突な問いかけに少々めんくらいながらも、水蜜は答えだした。

 まだ自分の専門分野ストライクな分野だったから良かった物の、まるで見当違いな分野だったら流してやろうかと思ったくらいだったが。


「有名どころだとクジラやイルカがそうかしらね。音を出し、反射してきた音を頼りに物の位置や自分との距離を測るっていうのはあるけど」

「ほう、ありがとうございます、勉強になりました。ところで船長さんはそういうのはできるんですか?」

「私!? いや、海底でも目は見えたし、そういうのはやったことないわ。響子ならできてもおかしくなさそうだけど」

「そうですか、つまり貴方は"暗闇で過ごしていた時期があったにもかかわらず音に頼ったことがない"わけですね。まあ、そうだと思いましたよ」


 淡々と、しかし意味深な事を喋るルナサ。

 よく分からないが、馬鹿にされたような感じがして、水蜜はムッと反感を抱きながら問い返した。


「ちょっと。それ、どういう意味?」

「いえ、ね。さて、どうやら私は貴方を退屈させてしまったらしい。お詫びと言っては何ですが──」


 そう呟きながら、ルナサは右手に持っていたバイオリンの弓を天高く掲げた。

 その刹那、小傘や水蜜やルナサを大まかに囲むように、前後左右上下全方向、大小の青白い弾が何の前触れもなくボッと姿を現した。

 しかもその数、十や二十どころか百でも効かないだろう。恐らく数百、もしかしたら千発あってもおかしくない。

 それらが急に現れたものだから、視界は先ほどの緩い弾幕から一転し、どこを向いても今現れた弾しか見えない。


「な、なに何!? 何よこれ!? 」


 その唐突な弾の出現に小傘が半ばパニックを起こす。すっかり勝気でいたのが嘘のように焦りと怯えを抱いているようであった。


「ちくしょ、おのれ謀ったな」


 水蜜はほぞをかむような思いでルナサを睨んだ。

 恐らく、あのぬるい弾幕の裏でルナサはずっとこの隠し弾を球状に配置し続けていたのだ。もしかしたらアンプからも隠し弾が出ていたかもしれない。

 そしてそれを、このタイミングで一気に具現化させた。そうと分かっていれば、こんな危険な場所に駐留しなかっただろうに!


「いえ、ですから、お詫びと言っては何ですが、貴方たちの希望に溢れたその心を絶望に染め上げてあげましょう。もっとも、私は貴方たちがこの弾幕を全て避け切り、ひいてはこの私を撃ち倒すことを心から望んでいるのですがね」


 そう言って、ルナサはその言葉に反してほくそ笑んだ。

 皮肉にもそれが、水蜜達が初めて見たルナサの"無表情"以外の顔であった。




「あらあら、姉さんったら大人げないわねぇ。貴方の相方、大丈夫だといいけど」


 突如墓場に現れた青白い弾の群衆体を遠目に、メルランは能天気に笑っていた。

 だがそれを見せつけられた一輪にとってそれが快く思えるはずがない。相棒が苦戦を強いられて喜ぶはずもなかろう。

 しかし、率直に言えばあまり他人の心配ばかりしていられない。既に自分もなかなか窮地に追い詰められている。

 一輪の予想通り、メルランの攻撃性は確実に増していた。トランペットから飛びだすレーザー弾、アンプから飛びだす音弾、それらが織りなす高密度弾幕。

 やはり『ストレングス』と冠につけるだけのことはあり、実に力強い弾幕だ。

 あまりの攻勢に、ほとんど防戦一方を強いられることとなってしまった一輪。

 弾がかすった衝撃で頭巾は吹き飛び、右腕の衣服も大きくえぐれている他、左膝には擦り傷まで負ってしまった。

 予想以上に強い、それが率直な感想であった。


「少なくとも村紗は大丈夫よ。私なんかよりよほど頑丈に出来てるから」

「あはは、貴方が比較対象じゃ全然分からないわ。だって貴方、あまりに脆弱そうだもの!」

「……まあ、確かにね。少なくとも貴方のその異常なタフさには負けるわ」

「貴方の鍛え方が足りないだけよ、だからいつまで経っても貴方はアンハッピーなの。そうに違いないわ」


 なかなか好き勝手言ってくれているが、いちいち返事を返している場合でもない。

 兎にも角にも、パワー不足を補い、この状況を有利に持っていくための作戦が、今の一輪に最も必要な物なのだ。

 今までもそうだったが、妖怪としては比較的低い身体能力の持ち主であった一輪は、足りない部分を知恵と機転でカバーするのが常套手段であった。

 だからこそ落ち着いて策略を練り窮地を打破したいのだが、この猛攻撃の前では集中することすらままならない。


(せめてお互い牽制しあう場面くらいに持ち込まないとどうにもならないわ!)


 一輪はどうにか焦りを抑えて冷静になろうと努めながら、雲山を拳状にまとめて飛ばさせた。

 だがそれもメルランにはひらりとかわされてしまう。


「ふふ、だんだん撃ちこみが甘くなってきたわよ。その程度じゃ──」


 言葉を自ら遮るように、メルランはトランペットを吹き、そこから威力の増幅されたレーザー弾が一輪めがけて飛びだした。

 他の弾に気を取られていた一輪だったが、とっさに横へ飛び紙一重でレーザー弾をかわした。頬に弾をかすった跡が残ったが、今は仕方ない。


「──幸せになれないわよ」

「余計なお世話よ。そんな気遣いしてくれるのなら、少しくらい落ち着いて考えさせてほしいものね」

「落ち着いて考える? あっはっは、そんなことできるわけないじゃない! 私の音をこんなにも浴びているんですもの!」

「何を言い出すのよ、とつぜ──」


 そう言いかけたとき、一輪はその可能性に気づいた。

 今まで落ち着く事ができなかったのは、恐らく猛攻撃のせいではない。

 この音弾そのものに仕掛けがあるのではないかと考えると、自分が不自然なまでに焦りを抱いているのも納得がいく。


「……気がついたみたいね。そう、私の音は躁の音。これを聞いたら落ち着いてなんかいられないわ。そもそも失敗した人は皆こう言うの、『あそこであれをしていれば』ってね。

 落ち着いて考えたりするから大切なチャンスを逃すのよ。落ち着いちゃ駄目、すぐさま行動に移さないといけないのよ。本当に貴方って人は幸せになるコツが分かってないのね。かわいそな人」


 メルランはそう言いながら肩をすくめ、そして


「──まあ、本当に可哀想なのは姉さんの"鬱の音"に当てられちゃった人なんだけどね」


 と言ったものだから、一輪はすぐさま自らの判断ミスに気づいた。


(まずい、確か村紗は"そういうの"に弱かったはず──!)


 自分が躁の音に当てられつつあることなど最早些細な問題である。

 それより妖怪、特に死霊系統が共通して抱える問題である『精神攻撃に対し特に脆弱である』という事が一輪の頭に取りついて消えない。

 肉体が滅んだことで精神だけになった死霊系は、それだけ精神に重きをおくことになる。これにより身体攻撃に対する耐久力が跳ねあがる一方、精神攻撃には為すすべもなくやられることが多い。

 そして、『この死霊共通性質を水蜜も持ち合わせている事』が最大の問題なのだ。

 昔から水蜜は精神攻撃、特に暗示の類には弱い。

 もっとも、皮肉にもその脆弱性を突けたが故に白蓮は水蜜を救出することができたのだが。


「村紗!」


 とっさに一輪は水蜜の名を呼んでしまった。

 だが、彼女がいるであろう方を向いた時、そこにいたのは


「死んだはずなのにいつまでもこの世に駐在してゴメンなさい」

「売れ残りの分際でいつまでも処分されなくてゴメンなさい」


 既に十分当てられ、地に膝をつく水蜜と小傘の姿であった。

 いつでも陽気な水蜜と能天気な小傘がそろって絶望に打ちひしがれるシーンなど、想像すらできない物であった。

 そして、その隣でルナサは無表情のままバイオリンを弾いていた。


「ああ、またしても2人の少女が私の前に膝をついてしまった。哀しい、現実とは実に哀しいものですね、船長さん」

「哀しい思いさせてしまってゴメンなさい」

「もし貴方が海底という暗闇で過ごしていた時期に音を頼りに行動していれば、私の見えない弾の音を聴き取って感知することができたというのに」

「本当にすみません、死んでお詫びしたいのですが既に死んでいてゴメンなさい」


 完全に精神掌握されてしまった水蜜、その姿にいつもの活気は影も形も見えない。


「……ったく、だから修行には真剣に取り組めとあれほど言ったのに」


 その醜態に一輪は思わず眉間を抑えた。頭痛がしたのは躁の音の影響だけではあるまい。

 仏道修行はどちらかと言えば精神を鍛える修行がメインだ。

 なので日頃からきちんと精を出していれば、いくら精神攻撃に弱い死霊族と言えどここまで致命傷を受けることはなかったはずなのに。


「ちっ、小傘はまだアレだとしても村紗までやられたのか!? だらしないわよ、2人して!」


 同じくぬえもまた、失望していた。

 たぶん小傘が真っ先に撃沈するであろうことは容易に予想できていたが、よもや同時に水蜜までもが堕ちるとは。

 今ここにいる人物の中では最も信頼できる(なおかつ使える)奴と思っていたのに、このザマである。

 そんな半ば呆れに近い感情を持ったぬえや一輪であったが、それとは対照的に


(まずい、小傘と船長さんが危ない! 何とかしなきゃ!)


 響子はいてもたってもいられなくなった。

 一輪はメルランの相手をしているので動くに動けない、ぬえも恐らく動きたくない、そう考えるとどうにかできるのは自分しかいない。


「ぬえさん、ちょっとここ任せます!」

「なっ!? おい、響子!」


 後ろからぬえの呼びとめる声が聞こえたが、今は勘弁してほしいと響子は飛びだした。

 どうせ圧倒的な試合展開だったし、後はぬえが何とかしてくれるだろうと思ったのだ。

 その"圧倒的試合展開"の裏には響子の存在が必要不可欠だったのだが、この時の響子はそこまで頭が回らなかった。


(確か『鬱の音』が何とか言ってた気がするから、それを全部反射すれば良いはず……!)


 響子はポケットからスペルカードを取り出した。本日3回目の『パワーレゾナンス』、音を全反射させるにはこれが最も良いのだ。


「ルナサさん! 私が相手です!」


 まっすぐルナサ目指して飛びながら、響子は声高々に宣戦布告した。

 それに気づき、ルナサも響子の方を見る。


「いきます! 『パワーレじょな──」


 ……噛んだ。

 この、土壇場で、まさかの、噛んだ。

 そうと分かった途端、響子の顔が蒼白に染まった。

 響子に限らず、山彦にとって噛むことほど屈辱的なミスはない。

 山彦界隈の滑舌に対する執念は凄まじいものであり、産まれたての山彦は何より先に正確な発音をすることから教えられるのである。離乳食はその後。

 数十年前は響子もそうして(執拗なまでに)練習したものだ。それがまさか、この土壇場で噛むとは、夢にも思っていなかった。


「……噛んだ」


 その声にもう威勢は無く、それどころかかすれるような涙声で会った。

 自らプライドをへし折ってしまった響子に、ルナサの『鬱の音』が浸透するのはあまりに容易すぎた。

 さっきまでの勢いはどこへ消え去ったのやら、目頭に涙を浮かべながら響子は小傘の隣に膝をつき、地に伏した。


「……噛んだ、もう山に帰れない」


 勝手に自滅していった響子を見下ろすような形で、ルナサはバイオリンを弾く手を休めずに語りかけた。


「元気出してください、山彦さん。例え貴方が山に帰り『おまえは山彦の面汚しだ』『弾幕中に噛むとか、ないわー』などと呆れられ、失望され、なじられた末に山を追放されたとしても、私は貴方に愛想笑いを浮かべて『この前は大変でしたね』と言ってあげますから」

「うわぁ、もう駄目だ。人生詰んだ」


 こうしてまたたく間に寺側の3人が陥落してしまった。


「くっ、まさか響子までやられるなんて……!」


 その光景を一輪は遠巻きに眺め、より一層焦りを抱いた。

 既に自身の精神も蝕まれつつあるという事に加え、仲間の過半数が落ちたという事態は、とても楽観視できるものではない。


「あーあ、可哀想に。3人もアンハッピーになっちゃった。でも安心していいわよ、後で私がみんな揃って骨の髄まで幸せにしてあげるから」


 ただ1人、メルランだけがますますその笑顔を輝かせてそう言うのであった。


「生憎、そういう作業は私が担当するから別にいいわ。皆そろってあんたみたいにとち狂っちゃったら私が困るじゃない」

「ご心配なく、貴方も含めて全員幸せにしてあげるの。そうでないと仲間外れにされた子がアンハッピーでしょ?」

「ますます負けられなくなったわ。仕方ない、奥の手で行くわよ!」


 追い詰められた一輪、本日二枚目のスペルカードを取り出した。


「『帯電入道』!」


 その宣言と同時に、一輪の背後佇む雲山がバチバチと火花音を鳴らし始めた。




 他方で一輪と同じく、いやそれ以上にこの事態を不味いと思っていたのがぬえであった。


「馬鹿かあいつ! 何自滅してるのよ!」


 八つ当たりの要領で響子に叱咤したが、今更それで何かが変わるわけではない。

 そして


「あれれ? あれだけ威張り腐っていたくせに、山彦1人いなくなっただけでもう弱気なのかしら?」


 これで勢力を取り返したのがリリカであった。もう反射壁はない。

 ここまで追い詰められたリベンジタイム到来である。


「ま、私もかーなーり心が広い方だしね、『私が悪かったので許してください』と地面に頭こすりつけたら許してやらないこともないわ」


 さっきの仕返しとばかりに、わざとぬえの台詞をもじって返したリリカ。

 優勢になった途端に態度が大きくなるところを見ると、ぬえもリリカも実に似た者同士である。


「馬鹿言うな、何が悲しくておまえなんかに頭下げなきゃいけないのよ!」

「ふーん、そんな生意気なこと言っちゃって良いのかなぁ、良いのかなぁ」

「ちょうど良い、その『響子抜きでは何もできない』っていうその誤解、綺麗に払しょくしてやるわ!」


 このまま舐められ続けるのは癪以外の何物でもなかった。

 いっそスペルカードを使ってでも強烈な攻撃をぶちかましてやりたいと、カードを入れているポケットに手を入れた。

 だが真っ先に手に触ったのは、あからさまにカードとは異なる立体的な形状の物であった。

 なんだろうと取り出して見れば、出発前に食べていたバナナの食べ残しであった。


(ああ、そう言えばあの時ポケットに入れてきちゃったんだっけ)


 思いだして見れば、まさかこんな事になると予想などできるはずもなく、何気なくポケットに入れてしまったのだ。

 寺に置いておけばナズーリンを始めとした食欲旺盛な鼠に食べられてしまうに決まっているので、とりあえず持ってきてしまったのかもしれない。


(だからって、こんなの今はいらないんだよ!)


 イラつきをぶつけるようにバナナを投げ捨て、今度こそぬえはカードを取り出した。


「いくぞ、『忿怒のレッドUFO襲来』!」


 宣言と同時にどこからともなく赤いUFOが飛来し、ぬえを守るようにして周囲を漂い始める。

 『忿怒』の恥じぬ赤く染まったUFOは、どこか術者であるぬえにも負けないくらいの攻撃性が漂っているようにも見えた。

 全ての準備が整ったその瞬間、


「撃て!」


 ぬえの合図を待っていたかのように、赤UFOがそろって」火弾を吹いた。

 瞬間、今までの通常弾幕とは異なるパターンに沿った弾が、一斉にリリカに襲いかかる。


(……そこそこ濃い弾幕だけど、速度はあまりないし、何より狙いが甘いわね)


 だが、この程度で恐れ入るリリカでもない。

 狙いが甘いと分かればこっちの物と言うような感じで、その隙間を縫ってすいすい避けていく。


「何、『忿怒』って言うから身構えちゃったけど、この程度なの? 狙いが甘すぎよ」

「ふん、誰がおまえを狙ってると言ったよ。下見てみな、下」


 そうぬえが得意げに言う物だから、リリカも何だろうと言われた通り下に視線を向け、思わずぎょっとした。

 この辺り一帯に設置されていた、リリカの強力な援護射撃要因のアンプが全て黒煙を上げて使い物にならなくなってしまっていたのだ。


「ああっ!? なっ、何してくれてるのよ!」

「ま、あんたみたいな似非西洋人は知らんかもしれないけどね、『将を射んと欲すればまず馬を射よ』って言葉があるのよ」


 リリカの焦り具合を見る限り、これが痛手になったのは間違いなさそうであった。

 してやったり、とぬえはせせら笑った。


「そのくらい知ってるわ! って、そういうことじゃなくて、いくら魔法で変えたとは言え元は寺の備品なんだからもう少し丁寧に扱いなさいよ!」

「ふふん、折檻が怖くて寺に住めるかっての。第一、最初に壊したのはおまえ達なんだから、壊れた物をさらに壊した私が怒られるのは筋違いって奴よね」


 どうせ叱るのは一輪だろうし、今回の戦いでいくらか貸しを作っておけばやかましく言うこともなかろう。

 そうでなくても、弾幕戦の間の出来事は多少大目に見てもらいたい。


(……いや、待てよ。貸しを作ると言えば、確か私以外は皆苦戦してるのよね。仕方ない、このぬえ様が少し手を貸してやるか)


 自分から一番楽な相手を選んでおいての暴言であるが、兎も角この時ぬえはリリカの相手をすることに見切りをつけた。

 どちらかと言うまでもなく弱い者いじめは趣味のど真ん中だが、あまり熱中しすぎて一輪までもが撃沈してしまうのは好ましくない。


「さてと、それじゃ私忙しいから後は適当に遊んでちょうだいね」


 そう言い残し、ぬえはその場から飛び去ろうとした。


「な、ちょ、どこ行く気!? まだ勝負はついてないわよ!」

「言ったでしょ、忙しいって。勝敗は、そうね、私の勝ちってことにしておいてあげるわ」

「余計納得いかんわッ、なんで逃げ出したあんたが勝者を名乗るのよ!」

「四の五のやかましいわね、文句があるのなら──」


 そう言いながらぬえが腕を掲げると、彼女とリリカの間に割って入るようにレッドUFOが次から次へと飛びこんできた。


「──力づくで私を止めに来な。もっとも、"こいつら"の攻撃を掻い潜れればの話だけど」


 その言葉と共に、再びレッドUFOは火弾を撃ちだし始めた。

 勿論、今度はしっかりリリカに狙いを定めて。


「うわわっ、ひ、ひきょう者!」

「負け犬め、何とでも言いやがれ」


 そして今度こそぬえは、多量の弾に弄ばれ慌てふためくリリカを尻目に、そこから飛び去った。

 一輪の助っ人を務めてやるつもりはない、メルランはぬえの目から見ても面倒そうな相手だった。


(それよりはあの黒ずくめの団長だ。あっちを仕留めた方が、解放できる奴が多いし、気を確かに持てば強くなさそうだ)


 そう、ルナサにはもう水蜜、小傘、響子の3人がやられている。

 逆に言えばルナサ1人を倒すだけで3人もの人数を救出できる。それだけでも形成は逆転できるはずだ。

 

「おい、そこの黒ずくめ!」


 そう叫びながら、ぬえは鉾を構えてルナサに飛びかかった。


「……もしや私のことですか?」

「ああ、そうだよ、お前以外誰がいるって言うんだ!」

「御自分の服をご覧ください。この場で最も黒いのは私ではないはずです」

「"腹黒さ"を計上すればお前の方が黒いわ」


 かく言うぬえも相当腹黒い方だが、そんなことをいちいち気にするぬえではない。


「兎も角、そこの役立たず3人を返してもらうわよ!」

「役立たずとは酷い言い様ですね。例えどんなに役に立たなくても、どんなに鬱陶しくても、いっそいない方がマシと思っていたとしても、今度質屋に売り払って得た金で茶屋によって旨い物食べてやろうと企んでいたとしても──」

「話がくどい!」


 ぬえがルナサめがけて鉾を振りかざすが、先ほどと同じようにルナサもこれを弓で受け止めた。


「──兎に角、貴方はこの方々の仲間なんですから、せめて生温かい言葉をかけてあげてください」

「生憎、そこまで人格できてないんでねッ」

「……そうですか」


 そう言うとルナサはぬえを押し返し、


「まあ、落ち込んでいる人の気持ちなんて、同じくらい落ち込んでいる人にしか分からないものです。どうか貴方も一緒に落ち込んであげてください」


 そのまま弓を天高く掲げた。

 すると、先ほどと同じように何もなかった空間から次々と青白い弾が具現化しはじめた。

 やはりルナサはただ傍観していただけでなく、誰かが自分を撃ちに来ることを想定し、あらかじめ罠を張っていたのだ。


(まあ、こんなことだろうとは思ってたよ。だが、こいつが村紗を撃ち落とした技だな? 面白い、勝負してやろうじゃんか)


 ぬえがそう意気込んで弾の1つ1つの配置を見はじめたその時、


 ──バチッと火花が飛ぶ音がし、同時に辺りが眩く光った。


 最初は目がくらんで視界を奪われたぬえだが、目を開けるともうそこにルナサの弾幕が1つも残っていないことに気がついた。

 それどころか、ルナサの掲げていた弓が真っ黒く炭化し、黒い煙をぷすぷすとあげているではないか。

 ルナサ本人は何もダメージがなさそうで、ただ自分の楽器の亡きがらを他人事のような目で見ている。

 こんなことができるのは、今この場には1人しかいない。何せ水蜜も響子も小傘も動けなかったはずなのだ。


「一輪!?」


 即座に一輪の仕業だと察知したぬえは、彼女がいたはずの方向に視点を移した。

 一輪は確かにそこにいた。『帯電入道』により雲山が作りだした静電気を、手に持っていた法具から放電したのだ。

 だがそこまでは良いとして、問題はそのすぐ背後で、なんとメルランが今にも弾を撃ちだそうとしているのだ。


「馬鹿、後ろ見ろ! 後ろ!」


 ぬえはそう叫んだが、一輪は決して振り向かない。それどころか、少し笑っているようにも見えた。

 その笑顔が目に入った刹那に、ぬえは今何が起きているのかを理解できたように思えた。

 第一、一輪が戦闘中に相手から目を離すなんてことはないのだ。

 一発の雷撃を撃ちたかっただけなら、即座にメルランの方を向き直るのが当然である。


(そうか、そういうことかよ、クソっ!)

(悪いわね、ぬえ。分かってくれると嬉しいんだけれど)


 そう。一輪は悟ったのだ、『自分はメルラン相手に勝利を収めることはできない』と。

 だから、『このまま撃ち落とされるくらいなら』と、最後まで弾幕を回避することを諦め、その代償として一発の不意打ちを成し遂げた。

 無論、後ろからメルランが来ていることは承知している。しかし同時に、今から何かを企てようと間に合わないのも理解している。

 彼女に背を向けてこの一発を放った時点で、自分の敗北は確定した。だが、いずれ撃ち落とされていたと考えれば、この作戦に身を投げた意義はあっただろう。


(じゃあ、後は任せたわ)


 そう心に念じて、一輪は静かに目を瞑った。

 次までに対抗スペルの1つや2つでも考えておこうかしら、などと反省点について考えながら。


「『シンカーゴースト』ッ」


 そんな聞き覚えのある声がしたかと思った次の瞬間、一輪は背面から衝撃を受けた。

 だが、それは弾幕特有の痛みや鋭い熱さを持った物ではなく、よく知っている程度の冷たさであった。

 何が起きたかはすぐに察しがついた、だがそれが信じられず、一輪は即座に振り向いた。


「ふぅ、危なかった」


 そこにあったのは、やっぱり見慣れた水蜜の笑顔だった。

 『シンカーゴースト』による瞬間移動で、一輪が被弾する間一髪にその空間へ移動したのだ。

 その笑顔は、本当にいつも普通に振りまいているような笑顔で、たった今までそこで膝をついてへこんでいただなんて、そして"たった今ここで背面からメルランの集中砲火を浴びたばかり"だなんて思えないような物であった。


「……村紗?」

「ゴメン、足引っ張っちゃって。おかげで助かったわ」

「……何ともないの?」

「いや、流石にあれは効いたわ。明日から仏道修行、きちんとやろうかね」

「いやいや、そうじゃなくて今の弾幕──」

「ああ、これ? こんなのさっきのに比べればどうってことないわよ。むしろ気分も晴れやかになってちょうど良かったかもね」

「そう……、兎に角ありがとう、助かったわ」

「じゃあお互い様ってことで。て言うか、助けてもらってこんなこと言うのもアレだけど、ああいう自爆覚悟技は一輪には似合わないわよ」


 そう言いながら、水蜜はメルランの方を振り返った。

 一輪に見せた背中は、背負っていた錨でガードしていたとは言え、トレードマークのセーラー服が大きくえぐれてしまっている。

 幽霊という種族上、それ以上の怪我らしい怪我は見えないが、若干心配である。


「──ま、折角だし"道連れのプロ"が本物の自爆技って奴を見せてやるわ」

「あら、次は貴方なの? まあ、確か貴方さっき姉さんにやられたばかりなのよね。いいわ、ついでに貴方もハッピーにしてあげる」


 メルランも戦う相手を水蜜に変えたようで、両者の視線が交わった。

 戦いが始まる、その直前となる最後の瞬間に水蜜は、メルランから目を背けずに後ろにいるであろう一輪に語り変えた。


「ねぇ、一輪。やっぱさ、お互い相性の良い奴と戦った方がよいと思うの、だからこっちは任せて。で、そっちは任せた」

「分かったわ。──、あまり無茶しないでね」

「お互いね!」


 そう言い残し、水蜜は即座に消えた。まだ『シンカーゴースト』発動中である。

 姿を消した水蜜は、次の瞬間にはメルランの背後に現れた。


「こっちよ、汽笛吹き!」

「あらあら、テレポートなんて中々洒落た技を持ってるんじゃない?」

「驚くのはこれからよ!」


 そう言いながら水蜜は手元に水を集め、錨型の弾を作りだした。


「それっ」


 間髪いれず"それ"をぶん投げる。

 結構な早さがあったその弾を、メルランは寸でのところでかわした。


「おっとっと、危なかっ──」


 その途端、メルランはミスを犯したことに気がついた。

 錨に気を取られ、肝心な水蜜本体を見逃したのだ。恐らくはテレポートで消え去ったのだろうが、前後左右どこにも見当たらない。


「残念、上よ」


 その言葉と同時に、水蜜がメルランの視界の中に"降ってきた"。

 そしてちょうどメルランの正面に来た時、水弾ではなく本物の錨についた鎖が彼女を襲い、その胴に巻きついた。


「なっ!?」

「ハッピーにしてくれるんでしょ? もう少し付き合ってよ」


 その鎖のもう片方を持ったまま、水蜜は急降下を続けた。

 鎖に繋がれたメルランも必然的に地へ落とされることになる。


「ちょ、どこ行く気!?」

「それは着いてからのお楽しみ。私たちは舵も錨も失った幽霊船、もう止めることなんて誰にもできやしないのよ!」


 そのまま水蜜は進路を曲げることなく、地に飛びこんだ。

 瞬間、激突したかと思いきや、全く持って水気のない石畳の地面なのに、彼女と触れた部分から大きな水しぶきが上がった。

 そして後から連行されたメルランもまた、同じ水しぶきをあげて地中に消えていった。


「……村紗の奴、とうとうやりやがったわ」


 そんな"プロの道連れ"を遠巻きに眺めながら、ぬえはそう呟いた。

 水蜜が復活してからメルランを道連れにするまでの間、気を取られている隙にルナサがいなくなってしまったので、他にやることがないのだ。

 その一方で、まだ足元にうずくまっている響子と小傘をどうしてやろうかと考えていると


「あ、あれ? 私、いったい……?」

「うーん、なんであんなに落ち込んでたんだろう。忘れちゃった」


 水蜜に比べて結構な時間差をもって、ようやく2人が復活した。


「あ、生き返った。なんかゾンビみたいね、おまえ達」


 まだ何が起きたのか分からず、あたりをキョロキョロ見渡す2人。

 すると、小傘が何かに気がついたようで、ぬえの後ろを指差しながら声をあげた。


「あ、ぬえちゃん! あいつ!」


 そう言われて振り返ると、そこにはあれから大分ボロボロになったリリカがいた。

 上に来ていた赤いシャツは破れ各所からインナーが見えているし、本人も大分おぼつかない足取りで、しかも肩で息をしながらこちらに歩み寄ってきていた。

 しかしその顔は得意げに笑っていた。


「おい、UFO娘。あんたのUFO、全部撃ち落としてやったわよ。どう、私の実力思い知ったかしら?」


 そんなこと言われても、ぬえにはピンとこなかった。

 あまりに対ルナサからの一連の流れに夢中になっていたので、『ああ、そう言えばこいつにそんなことしたっけ』程度の認識しかなかった。


「あ、ああ、そう。お疲れ」

「何が"お疲れ"よ。今度こそ決着つけようじゃないの」


 そう投げかけるリリカだが、どう見てもこれ以上戦えそうになさそうなコンディションだ。

 むしろこのしつこさは、(さっきは響子や小傘に『ゾンビみたいだ』と言ってしまったが、こちらの方がよほど)まるでゾンビのようだ。


「ちっ、正直面倒だけどどうしてもって言うんなら楽にしてやるわ」

「あまり舐めないでよ? これでも私は誇り高きポルターガイストにして、プリズムリバー楽団の一員、リリカ・プ──」


 ちょうどその時、ぬえに歩み寄ろうとしていたリリカは


「ルィっ!?」


 足を滑らせ


「ぎゃふんッ」


 転倒し、ぬえが何の手を下すまでもなく沈黙した。

 転んだ程度で失神したということは、相当無理をしていたに違いない。


(それにしても、何もないところで転ぶか? 普通)


 そう思ったぬえだが、よくよく見てみると違った。

 リリカが足を滑らせたあの地点、黄色い何かが見える。もう少し目を凝らしてみると、それは紛れもなくバナナであった。

 そう、リリカ戦の真っ最中に投げ捨てたバナナはよりによってここに落下し、今になって地雷としての本能をむき出しにしたのだ。


(……なんていうか、おまえほど哀れな生き物を見たのはこれがはじめてだわ)


 地に伏して微動だにしないリリカを眺めながら、ぬえはほんの少し、本当にほんの少し同情の意を表そうかとも思ったが、面倒なのでやっぱりやめた。

 そこへ、


「どう? 2人とも大丈夫?」


 遅れて一輪がやってきた。


「はい、私たちは特に大丈夫なんですけど、その、一輪さんこそ大丈夫ですか?」


 響子が心配そうに問うと、一輪は気丈そうに振舞いながら答えた。


「結構こっぴどくやられたわ。まあ、見た目よりは動けるから安心して」


 トレードマークの頭巾はなくなってしまったし、服の袖も大きな穴があいている。

 あちこち目立たない程度に擦り傷もあるし、だいぶ苦しい戦いをしていたように響子には感じ取れた。

 肝心な何があったのかは、ルナサの暗示にやられてしまっていたため覚えていないが。


「遅かったわね、一輪。どこか行ってたの?」


 ぬえが尋ねた。

 確かに、水蜜がメルランを道連れにしてから若干のタイムラグがあり、どこかで何かをしてきたのは違いなさそうだった。


「ちょっとね、あの団長を見失ったから、どこに行ったのかと探してみたけど、見当たらないわね。……で、その妹さんがそこで突っ伏しているんだけど、あれ何?」

「あまり突っ込んでやるな、滑ったコメディアンの末路よ」

「……そう」


 どういうことなのかは分かりかねたが、とりあえずリリカはもう動きそうにないことだけは一輪にもよく分かった。

 そこへ、さらに遅れる形で


「おやおや、リリカまでやられてしまいましたか」


 とうとう最後の楽団員となったルナサが現れた。その手に例のトランクを携えて。


「なんだ、まだいたの? もう逃げ帰ったと思ってたわ」


 その登場に、ぬえは気だるさを隠すことなく露わにしながら呆れかえった。


「残念ながら、単にトランクを取りに行っていただけですよ。貴方たちに楽器を壊されてしまったので、予備の楽器を連れてこなければいけなかったのです」

「そう。まあ、それはどうでもいいわ。それで、どうするの? 妹2人のうち片方は村紗が道連れにしたし、もう片方はそこで沈黙してるけど、貴方1人でまだやる?」


 一輪の問いに、ルナサは迷いなく答えた。


「そうですね、折角ですしやらせていただきましょう。ただし貴方がたは4人、こちらは1人しかいません。故に手加減は致しませんよ、よろしいですか?」

「最初から手加減なんかしてなかった癖に!」


 小傘が口をとがらせた。

 それにルナサは『そんなつもりはなかったのだけれど』と言うかのように肩をすくめながら話を続けた。


「……まあ、では行かせてもらいますよ。私のお気に入り、プリズムリバー幻想曲第12楽章、『ハーモニクス・ハングドガール』」




  ※  ※  ※  ※  ※




「なんだ、ぬえの奴、結構良い仕事をするじゃないか」


 そしてこちらは傍観に徹底しているナズーリン。

 双眼鏡で墓地の様子を詳しく見ながら、夜のおやつとしてスティック状の干し肉をもぐもぐ頬張る。


「一輪があの思いきった一手に出た時は正直冷や汗をかかせられたが、良い結末に終わったのだから何も言うまい。それに船長も、相変わらず洗練された"道連れ"だな。ああいう迷いの無さは嫌いじゃないよ」


 1人1人の動きを誰にでもなく解説しながら、ナズーリンは双眼鏡で、今度はルナサの方を見た。


「さあ、これで残る敵もあいつ1人だ。厄介な暗示技の持ち主に見えるが、一輪とぬえなら完全に侵食されることもないだろう。それともまだ奥の手を持っているか? いずれにせよ、どうなるか楽しみだ」


 興味と興奮にナズーリンは笑顔を浮かべたが、ふとその口元が急に元の仏頂面に戻った。


「それにしても、残り2人は本当に役に立たないな」


※この解説員の実況には1割の事実と9割の偏見が含まれます。

※用量、用法を守って正しくご使用ください。



 はい、どうも。作者の兎です。

 正直こんなに戦闘シーンを書きこんだのは初めてで、結構息切れしています。頭が。


 実はこの話を書くためだけに妖々夢を何度もやり直してきました。

 勿論Stage4、三姉妹の弾幕を拝見、体験するのが目的で。

 三人とも音を媒体とする弾幕で、どう違いを出すか迷ったのですが、個人的に感じた点は以下の通り。

 ・ルナサ…… 何もない空間から弾が現れる物が印象的。

 ・メルラン…… レーザー弾が多い。

 ・リリカ…… よく曲がる。

 なのでそれを前面に押し出すように書いてみました。うまく現れていたかな……?

 それでなくても初めての本格的な純粋戦闘エピソードとなったので、色々と不安があります。

 大丈夫かな。


 それともう1つ、今エピソードで特に考えたのは一輪と水蜜の弱点ですね。

 とても仏教している一輪は精神的に鍛えられていそう、とかアンデッドの水蜜に物理攻撃は効かなさそう、とか考えていたらこうなりました。

 (つまりそれぞれの弱点を真逆にした)

 こういう互いに支え合う関係に浪漫を感じている作者です。

 自分で言うのも野暮かもしれませんが、ぬえ→一輪→水蜜の連続シーンは本当に書いていて楽しかったです。はい。


 だいぶ引っ張った(本当はこのエピソードで決着をつけるつもりだった)話も次回こそ決着がつくはずです。

 どうかその決着編も読んでいただけると嬉しいです。

 というわけで続きを書く作業に戻ります。

 たぶん。

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