幕上がり
僕の家の庭には立派な桜の木がある。
しかしその桜の木はただの桜の木ではなかった。
枝から花が落ちればその花びらは霞のように消え また枝に桜の花が開く。
本来なら花が散り緑色の葉が生い茂ってゆくものだろう、しかしその桜の木は花が咲き続け、一年中花が咲き乱れていた。
他の木々が花を咲かせ、散り、緑を生い茂らせ、その葉が赤や茶、橙に色づきやがて散り、また花を咲かせる。
その繰り返しを断つようなそんな不思議な木だった。
僕はいつも庭先の縁側でその桜の木を見ていた。
しかし、ある日桜の木の枝に座る見知らぬ人影があった。
桜の花で顔が上手く見えないがその人物は桜の木から街を見渡しているように見えた。
僕はその人影に声を掛けた。
「あなたはだれですか?」と
桜の枝に座っていた人物は驚いた様子だった。
その人影は口を開いた。
「お前は俺の姿が見えるのか?」
僕は首を傾げた
「変なことを言いますね。あなたの姿が見えない人なんている方が不思議な気がしますよ」
その人物は腹を抱えて笑っていた。
「俺の姿が見えない人間がいるか?なんて聞いた奴はお前が初めてだ。なら、そんなことを言ったお前に先ほどの質問の答えを言おう、俺は名もなき妖怪だ。」
その人影の正体は僕よりはるかに年上のお面を被った男の人だった
しかし、その人の足元は透けていた。
僕は何となく納得した。
少しの間のあと僕はこう言った
「名無しの妖怪さん、僕とお友達になりましょう」
お面の下の顔はよく見えなかったが妖怪さんは呆れているようだった。
「はぁ……くっ、ははは 恐れるどころか名乗りもせず突然『お友達になりましょう』なんて 変な奴だなお前は。」
彼は笑っていた。
これが僕と名無しの妖怪 後に桜木と名乗る妖怪との出会いだった。
さぁさぁ、これから始まるのは 僕と妖怪さんとの出会いから遥か先 …気の遠くなるくらい遥か未来の話。
妖怪さんと彼を取り巻く仲間達の群像劇!!
時に涙あり笑いあり…(多分) 時には血生臭いこともあるかもしれませんが最後までお付き合いいただくと嬉しい限りです。
おや、時間となってしまいました。
それでは 下宿『幽玄荘』を舞台とした群像劇の始まり始まり。
はじめましてあるいはこんにちは。
一年間練って、なんかフワンフワンした感じ
しかし、最後までお付き合いいただいたら嬉しいです。




