第一話
「もしもし起きて! 始まってるよー!! 初めまして、ごきげんよう! サブロー君、そして読者の諸君!私の名は地獄の女神!! 天の川銀河オリオン腕太陽系第3惑星で生まれ育ちそして亡くなったあなたを遠いこの世界まで転生させて、あなたがこの世界で死ぬまで一緒に暮らす者!!!」
「うわっ! 急になに? って、ここどこ!?」
ふと目を覚ますと見知らぬ公園にいた
ここどこ? 知らない公園なんだけど
ていうかなんだこの人……、何で俺の名前を知ってるんだろうか
読者って、地獄ってなに? 中二病なのだろうか
地球の正確な住所初めて聞いたし、転生させたってどういうこと?
「ごめんなさい……トリビアさん でしたっけ、状況が整理出来なくて……ここは地球ではないってことですか? それに転生って……」
「あなた、亡くなった時のこと覚えていないの? まあ無理もないわね。駅前住宅街のメロンパンが美味しいパン屋の手前の三又路で……」
「駅前…、パン屋…、駅前のパン屋は下校するとき駅近くのスーパーで買い物をする時によく前を通るけど…」
「そうそう あなた、急いでいる様に見えたわ」
「そうだ、今日は帰宅したら爺ちゃん、ばあちゃんとカレーを作る予定だったからスーパーで材料を買いに寄り道してたんだ」
「カレーライスね、美味しそう! さてその後が大切なの!」
「え~~~~っと…、そうじゃん! 急いでスーパー向かってたら急に強い光に包まれて!!!」
女神は微笑んだ
「転生による記憶の異常もなさそうね、身体の欠損も見当たらないし」
「転生ってどういうことですか…? まさか俺死んじゃった?」
「単刀直入に言います。サブロー君、あなたは死にました 死因は衝突によるショック死です 衝突した際に心臓が停止したため外傷系の痛みを感じることなく終わりを迎えた筈ですよ 」
えっ? 本当に死んじゃったんだ。案外あっけないものなんだなぁ
「そして、謝らなければならないことがあります」
「それはあなたが亡くなった原因、衝突した物体というのは私なのです」
「……っは?」
「つまりあなたや読者の皆様に分かりやすく伝えるとすると、評判のメロンパンがあると聞いた私はさっそく買いに行ったのですが、売り切れの時間が迫っていたためやむを得ず《脅威の神様パワー》で高速で移動していたところ視界が見にくい三又路で前方不注意のあなたとぶつかってしまった…」
「…つまり」
「つまり?」
「私の過失です!」
「ゴメンねッ」
「ふざけんなよ!!!」
俺は女神の胸ぐらを掴んでゆすっていた 当然である
「ふざけんなよ! まーーじでふざけんな!! あんたのしょうもない不注意で俺の人生終わらせやがって 俺にだってやりたいこと色々あったんだ!」
「私から言わせて貰うとあなた達人間に限らず命というのはとても短く儚いものであなたの地球で生きた時間とあなたが自然に老衰を迎えた場合の時間の長さは私にとってはそう違いがないというか…」
「そりゃあそうでしょうよ! 神様なんだから!」
「でもね、俺にとってはそれが永遠に近い長いものだったはずなんだ…多分」
柄にも無く涙が出てしまった
それもそうだ、家族である爺ちゃん、ばあちゃんそれに学校の友人、それに親友のトムにももう会えないし、続きのゲームもできないのだ
憐れんだのか気まぐれか、加害者の女神様はハンカチを貸してくれた
おもいっきり鼻をかんでやった
「大丈夫 あなたは死んでなんかいないわ」
「だからね、こうして特例で転生して生かせてあげたの こちらの過失だからね、大変だったんだから」
「私があなたと衝突した事案はね《神様法》によるところの《神様業務上過失致死傷》にあたり死なせてしまった人間には特例で蘇生をさせなければならないと決まっているわ そこで私はあなたの肉片を一部持ち帰り地獄であなたを再生させてこの世界に連れてきたの!」
どうやら神様の法律に則って俺を蘇生してくれたらしい
「俺が生きているのはわかったよ 疑問に思ってることはなんで地球に送り返してくれないの? あとこの世界はなんなの?」
改めて周りを見渡して見る
俺たちは今芝生が生えてる丘のような場所にいる
当然高いので見晴らしもよく遠くの木々の後ろからは大きな建物群が見える
ビルに囲まれた典型的な都市公園といったところだろう
夕焼けに照らされたその街は相当な大都会に思えた
「先程の《神様法》にはね《神様業務上過失致死傷》にあたり死なせてしまった人間の転生先については明記されてないの」
「転生先については私よりも上の神様達が決めるの、普段だったら元居た世界に当人として転生されるのだけどあなたは違った」
「きっと元居た地球よりもこちらの世界の方が適正が合ってると判断されたんだと思うわ」
「あとね、わざわざ同行しなくていいのに私があなたと一緒に転生してきたのは私なりの贖罪なんだからね 逆にそこは感謝してほしいわ!」
意味が分からない
なぜこの俺が見ず知らずの女神様と一ミリも知らない世界で暮らさなければならないのか
「女神様 どうにかならな…むぐっ」
贖罪押し付け女神様は俺の唇に人差し指を充てた
「上の神様が決めたことで私にはどうしようもできないの」
「私が付いてるのですもの、大船に乗ったつもりでいるといいわ! あと、私のことは《トリビア》と呼んでくれて構わないわ! よろしくね サブロー!」
長い黒髪で三本の角のような髪飾りを付けている彼女は微笑んだ
見た目は18歳くらいだろうか15歳の俺より年上に見えた
「こちらこそどうもよろしく、女神様」
「そう言われても何をしたらいいのか分からないよ だってこの世界のこと何も知らないんだぜ」
「そうよね! まずはこの世界敷いてはこの街について実際に見てみないと分からないわよね。一緒に歩きましょう! 私がこの街を案内してあげるわ。そして、読者の諸君! 次の話は世界観説明回よ! 引き続き解説ばかりで申し訳ないけど楽しんでくれると嬉しいわ!」
「いや、誰に話してるんだよ…読者ってなに?」
「安心しなさい サブロー このお話の主人公はあなたよ! これからどうなるかなんて私には分からないんだから!!」
俺は思った この女神様ヤバいと
この世界のことなんてどうでもいいから早くお家に帰りたいと心の底から思った




