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80.悪霊のいる屋敷を攻略せよ

第5章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!


 リーズは、俺に全力の霊力【ホーリー・レスフリー】を叩き込んだ。


「そういえば何のためにこんなことしましたの?」


 リーズは目を見開き、息を呑む。


「実は固有魔法『ラーニング』を活用するために…」


 俺は説明する。固有魔法『ラーニング』。

 エリスお嬢様から引き継いだ固有魔法だ。


 ラーニングはその技を受けることによって、様々なスキルを習得する。受けるのは瀕死のダメージはもちろん、かすり傷でも剣で受けてもノーダメージでもいい。


 習得には1分のロスがあるが、その1分の間に自動で解析してくれている。その解析のみを応用して、前にリーズの病気を呪いと突き止めたこともある。


「ということなんだ!」


ラーニングの全てを説明し終わる。と長々と話していると1分を経過した。


 俺はラーニングにより

『霊力』『ホーリー・レスフリー』を習得した。


 霊力を扱えるようになったので、精霊と契約すれば精霊を召喚して戦うことができるし、霊力を剣や拳に載せるだけでアンデッドや悪霊に、多大なダメージを与えることができる。


 さらに精霊アレクディアを呼ばなくても『ホーリー・レスフリー』を使うことができる。


 俺はまた1つ強くなった。


 「【霊力】はこんな感じでいいかな?」


 俺は手のひらに収縮させ、ボール状にした霊力をリーズに見せた。

 光を帯びて微かに震えるその球体を、リーズは目を見開いて見つめる。


「そ、そうですわ! わたくしの【霊力】をたったこれだけで習得するなんて…」


 何年もかけて研鑽を積んだ【霊力】を、たった一撃くらっただけで自分のものにしてしまう俺に、リーズは驚きを隠せない。


「まぁ、なんてすごい魔法なんでしょう。こんなに便利な固有魔法なんて聞いたことありませんわ!」


 テンちゃんには「ずるいアル!」と言われたが、リーズはただただ凄いと称賛してくれた。


「受けなければ習得できないなんて、まるでドM…」


「あああああああぁぁぁ!! ということで、あのAランククエストは俺とリーズの前衛で悪霊退治だ!」


 手を繋ぐと子供ができると勘違いするほど性の知識がないのに、なんでドMなんて単語知っているんだ!? 俺は咄嗟に話を逸らす。



 そして、あのAランククエストとは――。


 俺が国王陛下に、広くて良い空き家がないか図々しくも相談したのだ。

 貴族でもない俺が特別な紹介を受けることはできないので、冒険者のクエストとして正式に依頼されることになった。


 国王陛下自らのAランククエスト、【屋敷に住む悪霊を除霊せよ!】

 報酬はその【屋敷の譲渡】!

 さらに風呂まで付いているという。


 これならひいきにはならない。



 次の日、俺たちは幽霊屋敷へ向かった。


 このクエストに挑むのは、俺、リーズ、エリスお嬢様、テンちゃんの四人。

 幽霊屋敷は冒険者ギルド【ルミネスゲート】から徒歩30分ほどの隣町にあった。

 意外と近い場所にあるにも関わらず、今までクエストが出なかったのが不思議だ。



「見当たらないアルな…」


 いくら探しても、屋敷らしい建物は見当たらない。


「この辺のはずなんだけどなぁ。でもなんかピリピリする」


 地図を確認しながら頭を悩ませる俺。目には見えないが、確かに何かを感じる。


「ウェルの言う通り、この辺で間違いありませんわ。悪霊の邪な【霊力】を感じますわ!」


 俺が感じていたピリピリは、悪霊の邪な【霊力】によるものだったのか。霊力を持つ者にはわかるらしい。


「ふむ、少々厄介な認識阻害の結界が張っておるのう」


 防御や回復のスペシャリスト、エリスお嬢様が屋敷を囲む結界に気付く。


「ここじゃな」


 一見何の変哲もない一軒家。しかし、庭が広すぎることに違和感を覚える。


「妾たちが入れるよう、結界の入口を作ってやろう。そうすれば屋敷に行けるはずじゃ」


 結界の場所を見抜き、さらに一時的に部分解除も可能というエリスお嬢様。

 詠唱を始めると、力強い声で


「解!!」


 人一人が通れる入口が開いた。


「さぁ、入るのじゃ」


 入口をくぐると、禍々しい邪気に包まれた屋敷が目の前に現れた。

 昼間なのに、結界内だけ霧が立ち込め、陽の光は届かず夜のように暗い。


「アタシは【霊力】はないけど、嫌な力を感じるアル!」


「妾もじゃ。それに高レベルな結界を張れるほどの実力者…。簡単には除霊できそうにないな」


 霊力を持たないテンちゃんとエリスお嬢様が感じるほどの力。

 悪霊なのに高レベル結界を張れるという異例の強さだ。


「なぜ、悪霊が結界を張ったのかわかるのです?」


 俺は結界を張ったのは国王陛下だと思っていた。クエスト依頼者も国王陛下であり、高度な魔法を扱える陛下ならこの結界も可能だと思ったのだ。


「お主、【魔力残滓】というのを知らんのか?」


「魔力残滓?」


 初めて聞いたという顔をしていると、エリスお嬢様は説明した。


「【魔力残滓】というのは、魔法を使った痕跡じゃな。個々に違うので、誰が使ったか分かるのじゃ」


 なるほど、指紋のようなものか。


「結界を作った者と、この屋敷の奥で感じる魔力は同じ感じじゃ」


 国王陛下が張ったのではない、ということか。


「ちなみに【気】も同じアル! だから人や魔物という区別だけでなく、個人も特定可能アル!」


「【霊力】も同じですわね」


「…あれ? 知らなかったの俺だけ?」


 美少女三人が息を合わせて頷く。


「……ま、まぁ今知ったしノーカン!!」


 俺は無理やりな理論で場を取り繕う。


「ウェルって強いけど無知アルな」


「逆に凄いですわ!」


 仲間のフォローで変な空気を脱却――ということにしよう。


「和んでる暇はないぞ! 歓迎されておるのじゃ!」


 ギィィ、ガチャ、ガチャ。


 屋敷の扉が開くと、危険度Cランクの魔物【スケルトン】が大量に現れた。

 冷たい風が吹き抜け、朽ちた屋敷の中で骨の鎧が軋む音が響き渡る。

「面白かった!」


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